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89:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 00:40:54.37 .net
自分の養父を信じ込ませるのが、私の任務なのだ。
少なくとも、彼が私を信じている振りをするところにまで持ってこなければならない。
だが、第一夜はかなり難航した。博士は、自分が出会った中でも、
珍しいほど知性的な男だった。これまでにないほど面白い勝負になった。
翌日、私は、司教に会わせてほしいと二人に頼んだ。
養母は司教とは子供のときからの知り合いである。
彼は私を丁寧に迎えたが、熱中してはくれなかった。
彼は、召し出しを煽るより、撥ねつける方を得策と考えるカトリックに違いない。
真の召し出しであれば、どんな難関をも突破できるという考えである。
幸いにも、私はこの種の考え方には慣れていたので、少しも困惑しなかったが、
こういう考えに混乱する者も少なくないだろうと思う。
自分に関して言えば、私はクリスチャンとしての謙遜を保つ術を心得ていた。
司教が自分を不愉快に思うはずはない。
彼は、司教区の司祭と、もう一人、心を読むことで有名なある信仰者に会うよう私に勧めた。
この信仰者は、ただの妄想と明らかな召し出しとを識別して、
誤った召し出しを看破できるというのだ。
まず、司祭に会いに行った。男らしく、また単純な信仰の持ち主だった。
彼は、自分の司教区に召し出しの花が咲くことを望んでいた。
この朗報を告げるためなら、何でもしてくれそうな勢いだ。
私は、自分の聖なる情熱を博士の心に印象付けるため、
司祭を家での晩餐会に招くよう、義母に願った。
集いはうまく行った。司祭は子供のような霊魂を持っていたからだ。
この滅多にない現象を前に、列聖審査に通じていた義父は、
罪責感を感じ始めた。誠実なクリスチャンに聖人を拒めるはずがない。
このようなわけで、読心術に長けているという信仰者に会いに行くときには、
私はかなり気が楽になっていた。

90:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 00:43:19.15 .net
だが、この男は、最初に会ったときには、とても耐えられない存在に思えた。
彼は、ゆっくりした話し方と、頻繁に起こる沈黙で影響を与えているようにみえた。

ともかく、私は、真の召し出しを言葉に表そうと、あらゆる手を尽くした。
私は心の中では笑っていた。
自分の心に秘めた思いが、相手になど伝わるはずがない。
別の思いを秘めていることなど、どうして相手に分かるものか。
面談は長時間に及んだが、私は次第にこれが好きになってきた。
私は雄弁に語り、自分の言葉に耳を傾けた。
むろん、謙遜の徳を忘れなかった。
これほど容易に真似できる徳はない。とても楽しい勝負でさえあった。
私は謙遜ばかりか、他の多くの徳を装うことができるのだ。
パドアの聖アンソニーの出現談については、あえて話さずにいた。
これについては、母から話が行っているに違いない。
これについては沈黙していたほうが得策だ。
だが、一人の女性とも関係してはいないこと、セックスには関心のないこと、
子供を作るときのみそれは善であると思っていると彼に話した。
これも召し出しのしるしの一つに数えられるはずである。
党の中で自分が選択した仕事を言い表すのに、
この召し出しという語を使えると思った。
女性に対する自分の無関心さは、そのための条件なのだ。
使徒も偽使徒も、自分の使徒職とのみ結婚するべきなのだ。
それで、使徒職という語が出てくるときには、私は特に雄弁になった。
自分が熱心な使徒になろうとしていることは、明らかに伝わったはずだ。

91:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 00:45:58.52 .net
この宗教者は、嘘をつかせようと、私を何度も罠にはめた。幼稚なやり方だ。
知的な男は、嘘は使ってはならないこと、ごく稀な場合にしか
使ってはならぬことを知っている。
仮に、自分が嘘をつかざるを得ないと感じたとしても、
私の記憶容量は余りに大きいので、自己矛盾を起こすようなことはない。
この宗教者は、私が六年間、消息を絶った理由を知りたがっていた。
さすがに、このときばかりは心が動揺した。
過去を思い出せば、自分をロシアに行かせた心の痛みが戻ってくる。
だが、この男は、私が共産主義者になっているのではないかと感じていたのである。
そこで、私は自分は政治には無関心であるとだけ言った。
六年間留守にした理由については、話せなかった。
ときには弱い人間を見せることも大事だ。
こうすると、上に立つ人間は、逆にかばってくれるものだ。
私は、消息を断っていたことを激しく後悔しているといい、
私の召し出しで母の気持ちは報われていることを理解させようとした。
この老人は、老母の唯一の望みを奪うことによって、
彼女の気持ちを傷つけたいとは思わないだろう。
むろん、そんな言葉は使わなかった。そうあって欲しいと心の中で望んだだけである。
進むにつれて、次第に話は丁寧になってきた。
私は満足を感じ、最後に友人として別れた。
だが、教会からは何の音沙汰もなかった。
まるで、新しい神学生の受け入れを急いでいないかのように、長いときが過ぎた。
私自身は、ロシア経由で全世界に届けられているはずの
次の指令に、熱心に取り組んでいた。
だが、最後に、司教館に呼ばれたときには、目の前が真暗になった。
宗教者は私が召し出しを受けてはいないと考えている、そう司教は話したのだ。

92:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 00:53:24.46 .net
>>74-76
に続く

93:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 00:58:35.38 .net
義母は病に伏せり、病院で看護されていた。
父は、信心の反作用からか、私に親切にし始めた。
父は、これからのことを尋ねた。私は、諦めてはいないけれど、
教会が本当に私を必要としていないのであれば、医師になる覚悟ですと答えた。
むろん、私は、緊急の電報を伯父に打った。
私の私書箱になっている司祭を通して、返事はすぐに来た。
簡潔だったが、内容にはちょっと驚かされた。
「邪魔者は消せ」とあったのだ。
無論、私は、秘密諜報員として、特殊訓練を受けていた。
攻撃する方法と護身術も熟知していた。
今回の場合、事故死を膳立てすべきか心臓発作に見せかけるかについて
長いこと自問した。
簡単に言えば、悲劇を起こすか、手心を加えるかということだ。
決着をつける場所は、修道院以外の場所が最適と考えた。
その結果、私は文通相手に、この宗教者を何とか彼の家に招いて欲しい、と頼んだ。
幸いにも、二人は知り合いだった。
私は、この宗教者が自分に召し出しの印が認められないと
結論した理由が知りたいのだと説明したが、これは嘘ではない。
これは私にとって重要なことだった。どうすれば自分の宗教行為を
完璧にできるかが分かるからだ。
そればかりか、今回の逆転劇で、すっかり私は取り乱していた。
それから、この宗教者の決意を変えることにも望みを託していた。
この二度目の会見を待つあいだ、私は注意深く、自分の本来の仕事に携わっていた。
私は、次のように書いた。
>>74

94:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:02:54.69 .net
一九三八年にこんなことを言ったのは、私が最初だ。
その同じ年に、私は、聖職者になる権利を求めるよう、女たちを動かした。
それから、教区のミサとは異なるミサも推奨した。
食事の前に父母が家庭で挙げるミサのことだ。
次々と、色々な考えが頭に入ってきたが、ますますもって興奮するものばかりだった。
この計画をみな暗号で記録し終えた頃に、
翌日にあの宗教者がくることになったとの連絡が、友人から入った。
私は行動方針を決定していた。それをごく単純化しようと考えた。
彼は、私がやってくるのを見ても、驚いた素振りを見せなかった。
友人は、私について話をしてくれるよう頼んだが、無駄だったので、降参の合図をした。
だが、私は落胆するどころか、いかにも誠実そうなこの男を、
柔らかく攻撃することにした。
私は、自分が司祭職に入ることを拒むのは、殺人と同罪だと指摘した。
彼はこう答えた。
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>>75
-
その翌日、体が吹き出物に覆われ、私は恐怖に包まれた。
体が弱くなった証拠である。肝臓が緊張に耐えられなくなった証拠だ。
だが、朗報が入り、私は狂喜した。
父は、私が神学校に入れなくなったために本当に苦しんでいると考え、
司教に嘆願しに行ったのである。その願いが聞き届けられたのだ!

95:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:07:11.08 .net
第六章 修道服を脱ぎ捨てよ
こうして、私は神学院に堂々と入学する準備を進めた。
入学許可を伝える電報がローマから着くと、病み上がりの母はまた泣き出したが、
私はこれで子供時代の家を離れられると、安堵の溜息をついた。
もう二度と郷里に戻ることはない。
ローマでは、私が司祭職を受け入れるときに専任となる教授と、
実に面白い話を交わした。
彼は、我々のネットワークの一員だったのだ。
彼は非常に楽観的な考えを持っていた。特に、聖書に通じ、聖書を
英訳し直す仕事に取り組んでいた。
もっとも驚かされたのは、彼がこの仕事の唯一の協力者に選んだのが、
ルーテル派の牧師だったことだ。牧師は、古代の遺物に思える
自分の母教会とは、すでに袂を分かっていた。
この協力体制は、もちろん極秘である。聖書、特に新約聖書から
引き出されるカトリックの教理体系を、全部除こうというのが、彼ら二人の目的だった。
マリアの処女性、御聖体におけるキリストの現存、そして復活は、
彼らによれば、完全に始末するべき課題であった。
人間の尊厳は、それだけの犠牲を払う価値がある。
教授は、合理的なミサの挙げ方を私に伝授した。
今後六年で、私自らがそれを挙げることになるからだ。
彼は、奉献のことばを一切発音しなかった。だが、少しも怪しまれぬよう、
少なくとも語尾だけは、ほとんど類似する言葉を発音していた。

96:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:09:41.17 .net
彼は、同じことをするよう私に助言した。
ミサをイエズスの犠牲のように思わせるものすべてを、
僅かづつ、僅かづつ削除するのだ。
こうなれば、ミサ全体は、プロテスタントの聖餐式と同じく、
ただの食事会と化す。
彼は、これしか方法はないとさえ言った。
彼はまた、新しいミサの秩序を考案するのに忙しくし、
私にも同じことをするように言った。
色々に違ったミサを民衆に提供することが何としても望ましい、と彼は考えていた。
家族や小グループには、ごく短いミサ、祝日にはより長いミサがある。
だが、彼によれば、労働者階級にとっての真の祝いは、
自然の中での散歩だった。
日曜日を、自然に捧げられた日と考えさせるところにまで
漕ぎ付けるのは容易だ、と彼は考えていた。

97:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:12:18.49 .net
彼は、仕事上、ユダヤやイスラム、東洋や他の宗教の面倒まで見る時間はもてないが、
その仕事は非常に重要で、自分の取り組んでいる聖書の
新しい翻訳以上に大事なものになるだろう、と言った。
そして、人間を最大限高め推奨する要素を、
キリスト教以外のすべての宗教から探し出すよう、私に助言した。
私は、自分のように党に関わっている、他の神学者や学生について
話してくれるよう求めたが、彼は知らない振りをした。
それでも、あるフランス人の住所を教えてくれた。
彼は聖歌の教授で、私が退屈な勉強をするために
六年行かなければならない町に住んでいた。
この男は完全に信頼できる、たっぷり金を払えば、俗人の衣類を
彼の家においておくなど、慎重な配慮をしてくれるだろうとも保証した。
もちろん、彼は、それ以外にも、ローマ中を案内して回り、
この町で一番敬われている聖人たちの伝説についても披露してくれた。
聖人の名をすべて暦から消し去る必要がある。
これもまた、われわれの目標の一つだ。
だが、われわれは、神を始末するよりも、聖人全員を始末することのほうが、
はるかに時間のかかることを知っていた。

98:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:15:22.61 .net
ある日、カフェテラスで休んでいたときに、彼は私にこう言った。
「この街から、宗教服がひとつ残らず消え去ったときのことを想像してみろ、
男も女もだ。
何という空虚。
何と素晴らしい空虚!
私は、ここローマで、修道衣がいかに重要なものであるかを知ったのだ。
どの街角からも、教会からも、それが消え去ると誓おう。
外套を着ながらでも、ミサは簡単に挙げられるのだ。」
修道服のない街を想像することに始まる、この小さな勝負は、
私にとって一種の反射行動になった。
私は、この黒い僧服に絶えず憎悪を燃やすようになった。
修道服は何も語らないが、何と雄弁な言語だろう。
修道服はどれも、信徒にも、未信徒にも、それに身を包んでいる者が、
見えざる神に捧げられていることを告げているのだ。
この滑稽な衣を着ざるを得なくなったときに、私は二つのことを自分に約束した。
司祭への召し出しが、なぜ、どのようにして、
若者たちに来たのかを理解すること。
第二に、修道服を脱ぎたいという気持ちを修道士に起こさせることである。
私は、この目的に大きな情熱を燃やすことを自分に誓った。
自分にとっては、これは比較的容易なことだ。
だが、若者たちに召し出しが起こる理由が理解できなかった。
召し出しは、とても真実とは信じられないほど簡単に起こる。
だが、四歳から十歳の少年たちが共感する司祭を知ると、
その司祭を模倣したい気持ちに駆られるという話は、本当のようだ。

99:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:18:32.19 .net
修道服に対する自分の憎悪が、その瞬間に理解できた。
俗人と違う生き方をしている合図を出さなければ、
それが本当であれ、想像上のものであれ、
子供たちは司祭の力を感じ取ったりはしないはずなのだ。
違いをつくりだしている一つがコスチュームである。
コスチュームは、それを着ている人間の教えをすべて物語っているとさえ言える。
私にとって、修道服は、全能と称される神と、歩くたびに賜物と区別を
ちらつかせるこの男たちが、結婚していることを示すものだった。
それを思えば思うほど、怒りが込み上げてきた。
だが、子供時代と思春期を、カトリック信仰の篤い家で過ごせたことは幸いだった。
私は、偽司祭としての自分の価値は、このことから来ていると信じている。
私は、経験からそれを知ったのだ。
私は最高の工作員になろうと思った。
このやりがいのある仕事の最高指導者になるのだ。
嬉しさが込み上げてきた。
俗人と変わらぬ生活をする司祭たちに会えば、
子供は彼らを模倣したいとは思わなくなるだろう。
彼らは「誰をも」見なければならなくなる。
こうして、司祭から遠く引き離すことができる。 
真に模倣すべき人間の選択は、それほど大きなものなのだ。
万人に向けて解放されるべき、この「普遍教会」に所属する新司祭は、
均一であってはならない。

100:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:20:33.30 .net
彼らは同じ教えを説かなくなる。
少なくとも、神学面で協調できなくなれば、各自の支持者は数えるほどになる。
彼らは、横で監視しているわれわれの仲間にびくつくようになる。
要するに、彼らに唯一合意できるのは、博愛の問題だけになる。
こうして、ついに神はいなくなるのだ。
結局のところ、これはそんなに難しい問題ではない。
こんな方法を、どうしてこれまで誰も考え出せずにいたのか不思議だ。
ある花が開くのに適した世紀があるということなのだろう。
神学校での最初の生活は、もっとも楽しいものだった。
戦争より神への奉仕を選んだ、富豪の最愛の一人息子という履歴が、
私をみなの関心の的にした。誰もが、勇敢なポーランド人青年に共感を見せた。
私にとって、神の栄光は祖国よりも尊いのだと誰もが言った。
「何という聖性だろうか」と。私は、謙遜を装って、彼らを言わせるままにしておいた。
私は、何事においても一番になると自分に約束した。
語学力は天才的だった。私は、ラテン語とギリシャ語を必死になって勉強した。
また、フランス人の友人と共に聖歌の特訓をした。
この神学校は全く厳格ではなかった。性格形成についてもうるさくなかった。
競技でも力を発揮したが、日本伝来の素手で戦う技は人には見せなかった。
簡単にいえば、何もかもうまく行ったので、面白くなくなり、
刺激を求めだしていたのである。
自分がもっとも心を引かれる教授に告解しに行こうと思い立ったのもそのためだ。

101:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:30:59.64 .net
そこで、私は「青い目」と呼ばれてみなから親しまれている気高い年寄りに
告解しに行くことにした。
彼の子供のような眼差しを前に、この私さえ跪くこと度々だった。
実験に彼を選んだ理由はそこにある。自分自身は、
彼がどうやって告解の秘密をもって行動し、
私に退学を命ずるかどうかを知りたかったのだ。
それが危険なことだとは考えなかった。
私はどんなことでも一番だったので、とても有利な立場にあった。
この一団の中では最優秀な学生なのだ。
告解を聴いてくれるよう、「青い目」に願い、何もかも話し始めた。
大事なところはみな喋った。
自分が共産主義者であること、
国家秘密警察の工作員であること、
自分に召し出しがないと偽ったポーランド人宗教者を殺したことなど。
ところが、不思議なことに、彼は私の言葉を即座に信じたのだ。
みな作り話かもしれないというのにである。
彼は、永遠の救いについて、使い古されたセリフを並べ立てた。
私は大声で笑い出すところだった。
この男は、私が僅かでも信仰をもっていると考えているのだろうか。

102:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:32:12.82 .net
私は、彼に断言せざるを得なくなった。
「私は神も悪魔も信じてはいないのですよ。」
こんな告解は、多分、彼にとっても初めてのことだったろう。私は彼に同情した。
すると、彼はこう言った。
「いったい、修道会に入って、何を得ようというのか。」
私は、自分の考えを率直に述べた。
「教会を内側から破壊することです。」
「それは大した自惚れだ」と彼は答えた。
私は怒りそうになったが、自慢げに言った。
「すでに千人以上のわれわれの仲間が、神学生、司祭として入り込んでいるのですよ。」
「そんな話は信じない。」
「それはあなたの勝手です。だが、私の認識番号は1025です。
死んでいる者もいるかもしれないが、大体千人いると言っていいでしょう。」
それから、長い沈黙を置いてから彼はこう言った。
「わしに何を求めているのか。」
告解の秘密をもって、彼がどんな行動に出るかを見届けたいだけだ、とは言えなかった。そこで、この言葉に留めた。
「私を退学させるつもりでしょう。」
「退学だと! おまえは一番優秀な学生、それに一番信心深い一人ではないか!」
返す言葉を失ったのは私のほうだ。

103:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:35:12.85 .net
「このように告解しても、私の正体が分からないのですか。」
すると、彼はこう答えた。
「告解は霊魂の益のために、われらの主、イエズス・キリストによって
定められたものなのだ。だから、おまえの告解は無意味だ。」
「私の理解を深めることにもならないというのですか。」
「それどころか、おまえがここから出て行ったら、
わしは告解の内容をすべて忘れてしまうのだよ。」
「本当ですか。」
「ともに学んでいるのだから、おまえにもそれ位分かっているだろう。」
「言葉の上では分かっています。しかし、現実には理解できないことです。」
「なら、この信じ難い告解の本当の目的は、そこにあると見て良いのではないかな。」
「そうなのかもしれません。」
「他に目的があるのなら言うがよい。」
「いいえ、ありません」と私は彼に丁寧に答えた。
「御一緒に学びたかっただけです。それだけです。」
彼は考え込んでいる様子だった。それから、私にこう言った。
「つまらないことだ。そんなことからは、何も結果しない。」
「何もですか?」
「全く何物も結果しない。分かっているはずだ。」
彼はこう言うと、私一人を置いて出て行った。
翌日、私の友人だと勝手に思い込んでいるクラスメートが、低い声で耳打ちした。
「昨夜、“青い目”は、礼拝堂で徹夜で祈っていたそうだ」

104:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:39:18.31 .net
私は老いた聴罪神父を見つめた。
彼は、寝ずに夜を過ごした人のようには見えなかった。
だが、彼が講義を進める間、私はその夜のことを黙想していた。
彼は、オリーブの園でのイエズスの苦しみを真似していたのかもしれない。
「青い目」は、自分からこの杯を遠ざけてほしいと祈っていたのかもしれない。
だが、この告白から逃れることはできなかったのだ。
あの告解を忘れるのは、彼にとってほとんど不可能なことではないかと私は思った。
彼は、祈りの中で、私が回心するか、自分から出ていくよう願っていたに違いない。
それとも、私を追い出す方法を見つけ出そうとしていたのだろうか。
そんな考えが頭に昇ってくるたびに、
「いやいや、自分は何も覚えてはいないのだ」と心の中で叫んでいたのだろう。
この告解とは無関係なことで、私の悪口をたたくことが、彼にできるだろうか。
それはまったくありえない。
完璧な神学生の見本でなかったならば、私は告解になど行かなかったのだ。
彼は、共産主義者がどんな犠牲をも厭わないことを知らなかったのだろうか。
この人々は、犠牲的行ないができるのはクリスチャンだけと信じているのだ。
それからというもの、私は「青い目」を注意深く観察し続けた。
そして、彼がいつもと変わらないことを知った。
彼は、いつも通り穏やかで、親切だった。

105:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:41:42.98 .net
本当のことをいえば、私は彼が好きになっていた。
伯父への手紙で彼に触れるときには、自分を咎めそうになったほどである。
だが、告解の件だけは書かなかった。書いても彼らには理解できまい。
数ヶ月後に、私は他の教授にも告解したい気持ちに襲われた。
本当は、単調な毎日と、周囲を喜ばせてばかりいなければならない自分に、
嫌気が差していたのだ。
ちょっと暴れたかったのだ。
それで、私はすべての教授に告解しに行った。
そして、彼ら全員に、恐るべき秘密を伝えることができたと喜んだ。
だが、私のような人間が存在するということ、
将来どんな問題でも起こせるということに、
彼らがどうして我慢していられるのか理解できなかった。
だが、しばらくして、私は問題視され始めた。
実を言えば、この刺激が欲しかったのだ。
彼らは、私が修道会を受け入れるのを阻止する方法を探っているのではないか、
と私は想像した。
闘志は二倍になり、ますます自信を強めた。
全世界におよぶ反宗教活動を推進するのが自分の役目なのだ。
仕事の暗号化を伯父から求められなかったのは、幸いだった。
私はただ、週に一つの計画を作成するだけでよかった。
次々にアイデアがあふれてきて、この仕事には飽きることがなかった。
逆に、自分にとっては喜びであり、支えでさえあった。

106:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:44:54.18 .net
告解ゲームを楽しんでいた頃に、私は特に、教理のある点に敏感になっていた。
彼らの言うところの、「従順の聖徳」である。
従順は、特に教皇に関係する。
私はこの問題を理解できないまま、いろいろな角度から引っくり返した。
そこで、機会あるごとに、カトリック信徒が教皇に向ける信頼を
冷笑するよう指令を出した。
それがいかに難しい注文であるかが、自分には理解できていなかったのだが、
ともかく、教皇を批判させるよう、カトリックを煽動しなければならないと考えたのだ。
ある仲間は、バチカンのすべての文書に目を通し、
誰でもいいから不愉快にさせられる、どんな些細な言葉でも見つけ出す任務についた。
教皇を批判する人々の質は問わない。
唯一重要なのは、教皇が批判されるということなのだ。 
一番理想的なのは、教皇が、保守派とモダニストの
両陣営を不愉快にさせるということだ。
従順の徳は、この教会の中心的しきたりの一つだ。
私は、彼らに良心の呵責を増幅させて、これを弱体化させることを考えた。
キリスト教の分裂に対する責任を、カトリックの誰もが感じなければならない。
この四世紀あまりのあいだ、彼らがプロテスタントに向けてきた侮辱の数々を
償う方法を、カトリック各人に探らせるのだ。
私は、プロテスタントの感情を害するものをみな列挙し、
もっと彼らに慈愛(チャリティー)を向けるべきだと提起した。
慈愛には利点がある。それによってどんな愚行にも誘うことができる。

107:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:48:34.73 .net
当時、私は、自分の計画が露見して、神をなきものにせんとする方法が、
多くの者に気取られるのではないかと心配していた。
その後の展開によって、このような不安が誤っていたことが分かった。
「善の敵が最大の敵」というフランスのことわざがある。
プロテスタントに向けた私の同胞愛が、キリスト教全体の破滅を目指していることなど、
誰も気付きはしなかったのだ。
プロテスタントが信仰(あるいは、違った「信仰」)を持ってはいないとか、
自分の任務がプロテスタントとは無関係であるとかいうつもりはない。
だが、私は、彼らがカトリックに改宗してはならないこと、
逆に、プロテスタントに歩み寄るべきはローマカトリックであることを
示すことによって、彼らを目覚めさせる。
バチカン会議の声明の時でさえ、私は全世界にメッセージを打ち出した。
それは、指令と予言を含むものだ。
予言はこうである。神ご自身が、大いなる奇跡、目を見張るばかりの奇跡によって、
キリスト教徒の一致を実現される。
だから、これに干渉してはならない。広い心、真に寛大な心をもたない限りは。

108:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 01:48:56.34 .net
言葉をかえれば、神が「きれいな心の中で」壮大な奇跡を演じることを許すため、
カトリック信徒はみな、心を空っぽにしておかなければならない。
現代のカトリック信徒にとって、心のきれいな人間とは、
あらゆる手段を尽くしてプロテスタントを喜ばせる人でなければならない。
指令も、ごく簡単なものだった。
プロテスタントがカトリックに改宗することを、厳禁するということだ。
自分がこの点を重視したのは、改宗者の数が加速していたからだ。
カトリックがプロテスタントの改宗者を受け入れ続けている限り、
偉大な奇跡は起こり得ないことを、私はどこででも強調した。
私は、神の働きに干渉してはならないことを、はっきり知らしめた。
人々は私に傾聴し従った。
奇跡を演じたのは、彼らの神ではない、この私なのだ。
私は今でも喜びに震えている。これは、私の大成功のうちに数えられるだろう。

109:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:03:12.32 .net
神学校生活二年目の終わりに、
私は今後も続けて行けるのかどうかを真剣に自分に問いかけていた。
意志力だけでは十分ではなく、憎しみだけで生きていくには若すぎた。
それでも、この憎しみが膨れあがっていくのを私は見た。
最初は神に向けられていたこの憎しみは、回りの全員に拡大した。
私が全員をどれほど憎んでいるかさえ、彼らには分からなかった。
よく彼らに耐えることができたと今でも思う。
私は、本当に孤独な人間なのだ。
社交性は、自分には無用だったとしても、人間的な暖かさという僅かな安らぎさえ、
青年時代にはなかった。
実際、毎土曜日に通うあの聖歌の教授しか、私にはいなかった。
彼とは、ある面では言葉を交わさずとも理解し合えたが、彼には
私の広範囲な使命の現実性がまったく理解できてはいなかった。
だが、彼の家にいると、真実くつろげるのが救いだった。
彼がいなかったら、私は抵抗する力さえ持てなかったかもしれない。
この手記が出版されないのは幸いだ。仲間にとっていい見本にはなるまい。
私は、世間の行事に招かれるようにとの指令も受けていた。
どこからどうやってくるのか分からないが、指令は私の元に来たため、
従わざるを得なかった。
私は、伯父に手紙を書くときにも、このようなつまらぬ任務の価値について、
あえて尋ねようともしなかった。
私がこの種のことを不愉快に思うと知っていたのだろう。
彼は、世間を知っておくのもためになると最初から言っていた。
それは認めるが、役に立つような発見は一度もしたことがない。

110:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:06:28.67 .net
ある晩、私は、特別豪華な大レセプションに顔を出していた。
ある若い娘の横顔に視線を移した。
突然、彼女の周囲が全て消え、自分の感覚さえ失せた。
彼女は、長い首をして、ピサの斜塔よりもほっそりとし、
かき乱したくなるような豊かな黒髪をもち、わがままそうな横顔と同時に、
子供っぽさも残っていた。
息を呑んで彼女を見た。彼女は私を見なかったが、
まるで二人しかいないような感覚に陥った。
私は顔を盗み見しようと、大声を出し、こちらを振り向かせようとしたが、
彼女は振り向かなかった。
どれくらいの時間陶酔に浸っていたか分からない。
だが、その時に、見知らぬ若者から声をかけられたのだ。
彼はすべてを呑み込んでいた。
「Xさんにご紹介しましょうか」と言ってきたからだ。
彼は私の名を知っていたが、私を大学生と誤解していた。
このような社交の場で、私を神学生と思う人間は一人もいない。
それから少しして、この若者は「黒髪」に私を紹介した。(彼女の名前は書くまい。)
私は、呼吸法のおかげで落ち着きを取り戻していた。
自分は完全に別の人間になっていた。
一瞬の間にだ。
その晩中、私は自分に何事が起きたのか、理解しようと努めた。
この新しい気持ちを楽しむことで余りに忙しかった。
私は、少しの時間「黒髪」と話をした。
だが、彼女の気を引くことはできなかった。
彼女を独り占めにして、誰も知らない小さな家に移し、
そこで自分を待つと約束させたい、そんな気持ちで頭が一杯だった。
彼女は困らせるような真剣なまなざしで人を見る、黒い大きな瞳を持っていた。

111:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:09:46.91 .net
彼女がダンスに誘われた時には、私を彼女から引き離した男を殺さないよう、
手を背後で固く握り締めていた。
ダンスは悪魔的な発明だ。
他の男とダンスしている妻に我慢していられる男の気が知れない。
ワルツを踊る彼女を見た。ドレスも素晴らしかったが、
彼女のしなった首に、私の目は恍惚となった。
それは処刑人の斧に差し出されているかのように見えた。
この娘が残酷な死にかたをする運命にあると、
なぜ自分が思い込んだのかは分からない。
この感覚が、彼女を全員から引き離したいという気持ちをいっそう強めた。
こんなアホどもの中で、いったい彼女は何をしているのだろう。
彼女はどんな仕事をしているのだろう。
自分だけを待っていてくれるよう、何としても彼女を説得しなければならない。
この目的を遂げるためなら、何でもしようと思った。彼女は私のものだ。それだけだ。
だが、彼女は老いた夫婦と一緒だった。どうしたら、また会えるだろうか。
彼女は、私には全く注目してはいなかった。
最後に一瞥しただけである。この一瞥は何を意味しているのだろう。
またお会いできますかという意味だろうか。そうかもしれない。
いずれにせよ、私は彼女の考えをこれ以上案じるのはやめることにした。
自分のものだと結論したからには、彼女の気持ちをこちらに向けさせるだけだ。
同意しないかもしれないが、試すだけの価値はある。
わたしは彼女の名前しか知らなかったので、彼女を探す仕事を聖歌の教授に託した。
彼はこの仕事をとても面白がった。彼は私にこう言った。
「おまえも人間だったということだ」

112:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:12:55.51 .net
私のどこが非人間的だと彼が思っていたのかは分からないが、
この言葉には当惑させられたが、釈明しようとしなかった。
調べには時間がかかったが、私は自分を落ちつかせようと、
何倍もの情熱を仕事に向けた。
この頃、私は、カトリックをプロテスタントに受け入れられるようにするための計画を、
市場に打ち上げることで大忙しだった。
カトリックは、プロテスタントが母教会の囲いに戻ってくると期待しすぎた。
彼らはその傲慢さを無くすべき時に来ていたのだ。
慈善事業がそれを彼らに義務付けた。慈善事業がうまくいかなくても大丈夫だ。
私は、ラテン語ミサの廃止、聖職者の着衣、像、絵、蝋燭、
祈祷台の廃止(彼らが跪かずにすむため)を、同じ響きで何度となく繰り返されるよう、
確信をもって予言した。
それから、十字の印を禁止する活発な宣伝活動にも着手した。
このしるしは、ローマカトリックとギリシャ正教でしか行なわれていない。
十字の印と跪きは、みな滑稽な習慣だ。
私はまた(一九四〇年代だった)、祭壇がなくなって裸の机に替えられること、
キリストが神ではなく人と見なされるため、十字架もなくなると予言した。
ミサはただの会食に過ぎない。誰もが、未信者さえ招かれるようになると主張した。
そして、次の予言に行きついた。
現代人のための洗礼は、滑稽な魔術と化している。
全浸礼であろうとなかろうと、洗礼は、大人の宗教のために廃止しなければならない。

113:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:17:44.63 .net
私は、教皇を排除するための効果的手段を発見しようとしたが、
そうする可能性を発見できなかった。
「汝はペトロなり。この岩の上にわれは教会を立てん。
地獄の門もそれに勝つことあたわず」
というキリストの言葉が、狂信的ローマの発明なのだと言わない限り、
教皇はいつまでも力を持ち続けるだろう。
だが、どうしてそれを証明できるだろうか。可能だと言うだけでは不充分だ。
私は、教皇を必ずや愚者と思わせることに成功できると期待して、自分を慰めた。
大切なことは、彼が何か新しいことを始めるたびに、
難しすぎて従えないような古い習慣を復活させる時にも、反対声明を出すことだった。
それだけではなく、離婚者の再婚、一夫多妻、避妊、安楽死、同性愛など、
プロテスタントの、たとえ一つの教派でも許可されているものは、
すべてカトリックの間で正式に許可されなければならない。
世界教会は、すべての宗教、未信者の哲学者さえ受け入れなければ
ならないため、キリスト教諸教会は個々の所有権を放棄しなければならないのである。
そこで、私はおおがかりな粛清を行うよう要請した。
見えざる神を拝む狂信的心も精神も、容赦なく除く必要がある。
無視した奴らもいるが(その名前は言うまい)、ジェスチャーの力、
感覚に訴えかける力を、私は見逃しはしなかった。
注意深く観察すれば、私が、厳しい宗教の中から、
愛を感じさせるものをみな覆い隠したことが分かるはずだ。
それを厳しいものにしておくのも大事な仕掛けなのだ。
この狂気の神が、つまるところ、人間の発明したものに過ぎないということを、
仄めかしているのだ。
自分の一人子を十字架にかけるために送るほど残酷な神であるということだ。
だが、私は、自分の憎しみが著作の中に現れぬよう、細心の注意を払った。

114:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:21:59.96 .net
これらの指令書と予言に大喜びしていたときに、わが聖歌教授が電話をしてきた。
彼女を見つけたというのだ。しかも、その晩に開かれるコンサートに私を招待してきた。
そこで彼女に会えるだろうということだった。
幸いにも、私は外出許可を得ることができた。
私は歌が上手なことでも知られていたし、教会は音楽家に対しては寛容だ。
私は彼女に再会した。前以上に美しかった。
本当に、本当に、美しく、私は気がおかしくなりそうになった。
彼女は、翌土曜日に、わが聖歌教授の家で開かれる茶会に出ることを、
すすんで承諾した。
私は、大学センターに住んでいるふりをした。
声楽の教授は、アキレスの名前をもっていたので、アキレス伯父と
自分を呼ぶように言った。そうすることによって、
家族を持っていると思わせるつもりなのだろう、そう私は理解した。
だが、この件については有り難いとは思わなかった。
私が真剣に結婚を考えるよう希望していることが、彼の態度から読み取れたからだ。
どうして、彼はこんな馬鹿げた考えを持てるのだろう。
それは、私が召し出しに相応しくない、と彼が感じている印なのだ。
だが、彼は、私が社会主義者としての召し出しに
どれほどの力と真剣さを傾けているか、まったく知らずにいるのだ。
だが、そのことを考えているうちに、この無理解が自分の偽装の力を
証明するものであり、逆に好都合であることが分かってきた。
真実偉大な人間であるには、平凡で、馬鹿にさえ見せかけていることが肝要だ。
人前で自分を見せびらかす人間は、実際に弓を引く者ではないのである。

115:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:22:50.05 .net
「黒髪」は、アキレス伯父の家を満喫している様子だった。
私は、自分のスラブ人としての魅力をたっぷり披露した。
それは誰から教わったものでもない、本能的なものである。
自分がそれに大きな誇りを持っていることを伝えなければならなかった。
夢の女性は、その日は、簡素な青いドレスを着て、
首には飾りを一つだけつけていた。
「不思議のメダイ」と呼ばれる、聖母の大きなメダルだ。
この飾りに目が引き戻されるたびに、自分が非難されているような感覚を覚えた。
私は、できればそれを彼女の首からひきちぎり、
窓から放り投げてやりたいと思った。

116:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:26:32.95 .net
私は、真実に直面しなければならなかった。
生まれて初めて恋をしたのだ。
知性で本能を抑えられない哀れな奴と同じく、恋をしてしまったのだ。
だが薬が一つだけあった。いつも通り、防衛に全力を尽くし、
プロレタリアート精神を貫くことだ。
当時、私は聖書対話という大掛りなキャンペーンを立ち上げていた。
それは、四世紀にわたってプロテスタントが実施してきた
自由な聖書解釈を強調して、カトリック信徒に神の言葉を
根気強く読ませるという計画である。
このような自由によって、真の大人と人生の支配者の多くの世代が
生まれたことを私は示した。このような極めて敬虔な手段によって、
教皇制の支配を捨てさせ、プロテスタントを新時代の主人にさせるよう、
カトリック信徒を動かしていた。
プロテスタントには、優勢な立場をあてがってはいたが、
プライドを持たせず、彼らを弱めることを怠らなかった。
弱体化は、数限りないセクトをつくりだすことによって自然発生してくる。
この文脈では、カトリックは仲裁者の役割を果たすことはできない。
彼らは、自分たちを改革することで精一杯だからだ。
原点に戻って、輝かしい現代化を実現しなければならないと彼らを説き伏せるのは、
簡単だった。
あらゆる国語の新聖書訳を、今の文体で提供し直す仕事を遅らせないよう、
私はハッパをかけた。私は、生き生きとした競い合いに注目した。

117:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:31:37.54 .net
費用の面については何も言わなかったが、この面が教会関係者の
監視の目を免れないことに気がついた。
神の言葉の現代化によって、教会の頑固な態度が崩れることが多くなった。
それは、ごく自然な方法によって起きてきた。
滅多に使われず、理解しづらい言葉が出て来れば、ごく簡単な語に置き換える。
そうすれば、本来の意味が崩れてくるのは当然だ。文句のつけようがあるだろうか。
そればかりか、これら新しい翻訳が、われわれが大きな期待をかけている
「聖書対話」に門戸を開いた。
この対話によって、聖職者はそれこそどこにでも派遣されるようになり、
平の信徒が一人前に行動する自由を持つようになる。
私は、異宗教間聖書会議さえ提起した。本当の目的はここにあったのだ。
コーランなどの東洋の書物を、良く解釈することによって、さらに目標を拡大できる。
「黒髪」を忘れるために、私は幾つか鍵となる問題点を強調することによって、
聖書対話の会議をたくさんお膳立てした。
自分の好きな対話の一つが、教皇に関するものだった。
自分の本当の邪魔者はこの人物だからだ。
「この人物」と言うときには、彼の称号の元になっている聖書の箇所をも意味している。
これらの聖句は、彼らのいう「分裂したクリスチャン」と同じく、
私にとっても当惑させるものだ。

118:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:35:01.48 .net
「勝つ」(prevail)の語が現代人に理解できなくなっていると考え、
これを「できる」(be able)という語に差し替えた男には、本当に感謝している。
彼は、「ハデスの門はけっしてそれに勝つことはない」を
「ハデスの門はそれに対してけっして何もできない」と訳し直した
(訳注:マタイ福音書十六18)。
これが、特にフランス語圏での聖書対話会議を非常にやり易くしてくれたのだ。
地獄が教会に対して何もできないと主張するこの預言が、
完璧に誤っていることは、誰でもすぐに分かるだろう。
カトリックのやることにばかり味方する、この神の保護に対する古い信仰が、
こうして崩れれば、誰もが安心を覚えるはずだ。
「黒髪」と三度目に出会ってからまもなく、彼女の母国フランスは、
ヒットラーの軍勢に侵略され、抵抗さえ諦めたかに見えた。
この時期に、私は誇り高い彼女に上手な手紙を書き、彼女を慰めようとした。
彼女は、郊外を一緒にドライブすることに同意した。
彼女には、伯父から借りている車があった。
実際には、彼女は伯父の家に住んでいたのだが、
本当の家族はフランスの占領地の真っ只中に住んでいたのだ。
彼女は、故国に戻りたがっていた。その非常に人間的な反応に、私はとても嬉しくなった。
私はこのような自尊心が好きだ。このような自尊心は高めたほうがいい。
どれほど彼女に仲間になってほしいと思ったことか。
それでも、なるべく信仰の問題と、それから政治の問題には触れないように注意した。
この四度目のデートのときにも、彼女は「不思議のメダイ」を首に下げていた。
私たちの間で、それが一つの世界をつくっていた。

119:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:39:14.54 .net
恋人用につくられた感じの、しゃれた店でお茶を楽しんでいたときに、
あるカップルがこちらに向かって控え目に合図をしてみせた。
私は不安に満たされた。男は私の同級生の弟だったのだ。
彼の家に招かれたことがあるので、弟は私を知っているはずだ。
自分が神学生であることを、彼が忘れるだろうか。
とてもそんな期待は持てなかった。横にいる娘は「黒髪」の従姉妹だ。
私は気が動転した。「黒髪」もそれに気がついた。
彼女は、私が安心して、ごく自然に彼女の家を訪問できるよう、
叔父と叔母に紹介しようと申し出た。

120:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:41:28.46 .net
「どういう口実で」と聞きたくなった。婚約者としてか。
彼女を是が非でも自分のものにしたいが、結婚する意志は毛頭ないなどと
どうして言えるだろう。私は、プロレタリアートの思想に仕えるために、
カトリックの独身主義に入ったのだ。結婚など、とんでもないことだ。
彼女に私の情熱を理解することができれば、どんなに素晴らしいだろう。
だが、私はこの問題を彼女に打ち明けようとは思わなかった。
彼女の家には行っても構わない。
彼女が曖昧な立場を受け入れてくれれば、それで十分なのだ。
だが、彼女は、家族に紹介するという提案に私が乗り気ではないことを知り、
感情を害した。
最初の喧嘩だったわけではない。それは最初の深刻な誤解だった。
私はアパートを借りる金さえなかった。こんな迷い事に、
党は一文たりともカネを出しはしない。それはブルジョワに寝返ることだからだ。
その日、私たちはほとんど別離寸前になった。
何か未知の力が二人に立ち向かい、生まれたばかりの愛を引き裂こう
しているかのような感覚を、お互いが感じ取った。
気持ちを確かめるために、話を交わす必要はない。
他の娘と同じように、彼女は、ただ結婚願望に動かされているに
過ぎないのだろうかとも考えた。むろん、それは正常な感覚だ。
それをもって彼女を責めることはできないが、この場合、破滅は目に見えている。

121:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 02:42:11.98 .net
それで、私は再会を期待せずに、冷たさを装って彼女に別れを告げた。
彼女は軽く肩をすくめて応え、ゆっくりと歩き去った。
私は、重たすぎる髪と、沈んだ思いの下で傾く彼女の白い首を見つめながら、
石のように立っていた。身動きしないで立っていると、彼女は振り返ってこちらを見た。
二人の間は十メートルほどだ。それから、驚くべきことが起こった。
彼女が戻ってきたのだ。
ゆっくりと、私の目を見つめながら、こちらに歩いてくる。
私の元に帰ってきたのだ。
間近に来ると、彼女はゆっくりと両手を私の肩の上に載せた。
彼女は私を見つめ続け、私も身動き一つしなかった。
それから、彼女は唇で私の唇に触れた。
自分にとって、これが初めてのキスの経験だった。

122:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:39:36.39 .net
私が最初から私書箱を設けていたのは幸いだった。
鍵を持っているのはアキレス伯父だ。
私書箱は、自分の本当の居所を知られたくないときには、本当に便利である。
その記憶のお蔭で毎晩のように目を覚ますことになったあのキスから二、三日して、
「黒髪」から素晴らしい手紙が届いた。
彼女は、こう書いてきた。
「絵の勉強をしっかり続けられるように、伯父様が小さな工房を借りてくださいました。
土曜日にお出でください。お茶でも御一緒にいかがですか。」
当時、私は歌うのを休んで土曜日は彼女の工房で過ごしていた。
彼女は、私の肖像さえ描いてくれた。
真実をいえば、彼女の絵の才能はたいしたもので、自分の性格を写し取る
その天才的な腕に、私は誇りさえ感じた。
肖像を見ると、彼女にどう思われているかがよく分かった。
私は、彼女の目には、やさしい王子様ではない、より征服者に近い存在だ。
残虐さを隠し持つ、より男性的な存在である。
私は、どうして自分の性格が分かるのかと彼女にたずねた。
自分が本当は秘密を隠し持っている、どうしようもない欠点を
隠し持っていると考えているのかと。
この言葉に、彼女は不快感を露わにした。私は彼女にこう言った。
「確かに、この肖像は残虐の炎を隠し持つ、誇り高い征服者の精神を描いている。」

123:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:46:24.24 .net
彼女は、この言葉に当惑し、それは私自身の思い込みに過ぎないのだと言った。
真実はその逆で、彼女にとっての私、つまり理想の男性像を描いたのだと。
理想的な男性に、どうして秘密の欠点があるでしょうとも言った。
私は、隠しているものがないとすれば、どんな欠点があると思うかと聴いてみた。
彼女は、怖いほどの洞察をもって、「象牙の搭が好きなところかしら」と答えた。
仲直りをするために、そのとおりだと答えた。これは嘘ではない。
彼女は、「象牙の搭」にこもっている私といつも一緒にいるのだから。
彼女は、まったくその通りだと思うが、その存在を感じ取れるのは私自身であり、
彼女自身は空虚さを感じているだけなのだと答えた。
彼女のすべてを自分のものにしたいという気持ちと、
彼女には何一つしてやれないというそれとを、どう一致させればいいのだろう。
彼女は、私が心を開く邪魔になっているものは何なのか、と尋ねた。
私は、しばらく返答に困ったが、ついに意を決して、
彼女がいつも胸に着けている「不思議のメダイ」を指差した。
彼女は驚きの目で私を見た。
「信仰をもってはいないのですか。」
私は余計な語句を付けずに、「そうです」とだけ答えた。
すると、彼女は、メダイがどんな影響を私に与えたのかを、しきりに知りたがった。
こう答えた。
「僕たちがけっして愛し合えないことを象徴しているような気がする。
その意味で邪魔なのだ。」
彼女が考え込んでいるあいだに、さらに力を込めていった。
「それどころか、僕たちが絶対にお互いのものになれないように、
わざとそこにいるような気がするんだ。」

124:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:48:49.49 .net
すると、彼女はメダイを外して私に手渡した。
私は、どうしてやろうかと考えながら、メダイを自分のポケットにしまった。
ただの金のメダルであることは分かっている。
それを溶かして別の像を刻もうかとも考えたが、それはできなかった。
この仕草によって、彼女は、二人の運命を実に不思議な方法で結びつけたのだ。
彼女は、それをどうするつもりかとは聞かなかった。頭の良い女性だ。
この日以来、私はこの問題に少し悩まされるようになってきた。
私は、「不思議」の異名を持つこの品物について、知りたいという
誘惑にかられるようになった。
この飾り物に奇跡を働く力があると信じるためではない。
私の考えによれば、奇跡を行えるものなど、この世に存在しないのだ。
そう言われているものは、ただの人間の妄想の所産か、
いつか科学で証明できるものだ。
私は、このメダイが、未信者を信仰に引き戻す力を持つことで有名なことを知った。
そんな事実があると信じているわけではない。そんな可能性さえ信じてはいない。
だが、自分の恋人がそんな願いを心に抱いているのだろうかと訝った。
それは、私のために諦めた、つまりメダイを捨てたという
あの仕草を打ち壊すものだ。この場合、彼女は何一つ捨ててはいないことになる。
俺はそんなに馬鹿だったのだろうか。
こんなことに頭を悩ますのも、同じほど馬鹿らしいことではなかろうか。

125:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:51:35.07 .net
それから二、三ヶ月ほどして、燃える暖炉の前で、
二人で仕上がったばかりの肖像画を見ていたときに、
私は彼女に穏やかに問いかけた。
「メダイを手渡したのは、僕を回心させるためだったのか。
だとすれば、捨てるのとは意味が全く逆になるのではないか。」
彼女は私の腕に寄り添いながらこう答えた。
「嘘は嫌い。確かに、あなたを回心させたくてメダイを渡したわ。
私は、毎日、毎晩、そのことをお祈りしているの。
毎日何度も、それこそ十五分に一度の割りでお願いしているのよ。」
私はどう答えて良いか分からなかった。
私は、このメダイも、彼女の祈りも恐れたりはしなかった。
自分にとっては、こんなものは子供だましに過ぎないのだ。
ところが、まるで自分が敗北したように、苦しむようになってきたのだ。
自分としては、彼女を、仲間としてどうしても欲しかった。
メダイ抜きでだ。
なぜこれが間になければならないのか。
考えれば考えるほど、このような大恋愛では、
男が勝たなければならないと確信するようになった。
だが、そんなことは口には出さなかった。
いずれにせよ、彼女が自分と同じ考え方をしない限り、
自分のものとはならない。これはプライドの問題ではない、
自分が結婚できない理由を彼女に説明しなければならなかった。

126:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:53:51.45 .net
彼女が私と同じ考えをもち、任務をすすんで助ける気があれば、
秘密の同棲生活をすることに同意していたはずだ。そう私は思った。
私は結婚できないばかりか、完全に人徳のある人間を装わなければならないのだ。
ある冬の夜、私がカーテンを引き、彼女がお茶を用意していたときに、
外し忘れたピンが指に刺さったような痛みが走った。
よく見ると、それがとても小さなメダイであることに気がついた。
白いメダイだ。ただ小さいというだけで、全く同じメダイである。
振り向くと、彼女がこちらを見ているのを知った。彼女は知っていたのだ。
「カーテンまで回心させる気か」と私はふてくされた。
「馬鹿なことを」と彼女。
「馬鹿なことじゃない。こんな魔除けに、いったい何を期待しているのか知りたいんだ。」
彼女は顔を真赤にした。気持ちが傷つけられたのだ。
「魔除けではありません!」
「なら、何なのだ。」
「これは信心行です。」
「どんな物を信じているのだ。」
「物ではなくて聖母様です。イエズス・キリストのお母様よ!」
こんな話を続けていたくなかったので、私は黙っていた。
彼女はとても低い声で話し続けた。

127:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:57:03.12 .net
「メダイは信じなくては駄目よ。紙や木では、まったく意味はないの。
それがあなたの邪魔になっていることは分かっているわ。
メダイは、本当に、信仰心を広げてくれるものなの。
広げるだけではなくて、増してくれるものなの。
それを身につけて、仕事場にも置いておくことによって、
イエズス様を与えてくださった聖母に、もっともっと、
頻繁にお祈りができるようになるのよ。」
彼女は、私のためにメダイを捨てたのではなかった。メダイは他に沢山あったのだ。
そのときには、自分が彼女をこれまで襲えずにいた理由が分からなかった。
彼女は、自分がいつもすれすれの状態にいることさえ全く知らなかった。
それから、長い沈黙が続いた。
私は怒りに震え始めていた。憎悪の気持ちを叫びたかったが、こう言うに留めた。
「君は僕のものだ。だから、僕以上に愛する者がいることに、我慢がならないのだ!」
「おかしなことを仰るのね。較べられることではないでしょう。
宗教的なことはみな、別な次元に属しているのよ。
それは知性にも、心にも、属するものではありません。」
「なら、何に属しているというのだね」と私は苛々しながら言った。
彼女は柔らかく答えた。
「超自然という大きな世界です。」
「そんなもの分かるか!」
「そうでしょうね」
彼女は、抗しがたい微笑を浮かべながら言った。
微笑みだけで男を支配できると考えているのだろうか。

128:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 08:59:08.14 .net
この不思議な力だけが自分にのしかかって来るように思えることも度々だった。
彼女はゆっくりと微笑む。その効果が出てくるには時間がかかる。
唇が柔らかく、早く全開になってほしいと思うほどゆっくりと開く。
白く光る歯が見えてくると、歓喜に包まれた。
私は、この何ともいえない優しさの前に、力を失うのだった。
静かな安らぎを求めているときは、特にそうだった。
それから、彼女は、なんとも不可解な質問をした。
「なぜ、私と結婚したくないの?」と言ったのだ。
私は、結婚したくないなどと、一度たりとも言ったことはない。
だが、「黒髪」には占いの素質があるようだ。
この才能には度々驚かされてきた。どうして、私の気持ちがこんなによく分かるのだろう。
私は答えた。「結婚はしたくない。だが、どうしてかは言えないんだ。」
彼女は少しため息をついてから、こう言った。
「私が神様を信じているからかしら?」
女は不思議な生き物である。子供から占い師に豹変できる。母もそうだった。
私は答えた。
「恋人は同じものを愛さなければならない。確かに、それが一番の邪魔だ。」
彼女はふたたび微笑ながら答えた。
「あなた以外の人はけっして愛さないでしょう。」

129:名無しが氏んでも代わりはいるもの
21/03/20 09:16:13.16 .net
その頃、私は、マリア信仰の破壊に全力を注いでいた。
カトリックとギリシャ正教が各種のマリア信仰を保持しているのだが、
これがプロテスタントとの間に問題を生じているのだ、と強く訴えた。
分離した愛すべき兄弟たちの方が、より論理的で賢明である。
正体も分からぬただの被造物が、われわれの教会で
神よりも強力な(あるいは少なくとも優しい)存在になっていると訴えた。
私は、この点において神の権利を擁護して楽しんだ。
また、多くのプロテスタントが、マリアがイエズスのあとで何人も子供を持った
と考えていることを力説した。
プロテスタントは、長男の出生のときだけマリアの処女性が守られた、
と信じているのだろうか。それを語るのは難しい。
だが、それでなくとも、これら自称キリスト教諸派の
正確な信仰を決定するのは困難なのだ。
事実、どの教派も自分の信じたいことを信じている。
とはいえ、彼らが嫌っているものを知ることは比較的容易だ。
そこで、私はロザリオと、マリアに捧げられている幾つもの祝日を除くことを提起した。
私の典礼書には、祝日が二五もある。地域的な祝日もこれに加えられる。
次に、メダイと御像、御絵の徹底的な破壊が、私の計画の中にあった。
多くの仕事が控えているが、やるだけの価値がある。


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