綿矢りさの書評がとにかくすごい件 at BOOK
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1:吾輩は名無しである
08/05/05 02:46:39
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 大学生のとき、原作をわくわくしながら読み始めて、早々にあきらめた。難しかった……。それに長い。
著者プルーストの自伝的小説なのだが、彼の人生が全十三巻分(集英社文庫刊)のドラマみたいだったわけではなく、
彼が自分の内的世界のことを、綿密に綿密に書いた結果、長大な物語になった。
だから読んでいる方も感覚を研ぎ澄ませ集中して読まないと、作者の考えていることがすぐ分からなくなってしまう。

 結局、「マドレーヌ」の文字だけを探した。
あの有名な「マドレーヌを紅茶に浸したときに過去の記憶が膨大な量でよみがえってきた」の箇所(かしょ)だけを
読むためにだ。見つけてから、これは本当にすごい本なんだと確信した。だって有名なところだけ読んでも意味が分からない。

 “読みきれそうにない”と判断すると、有名なシーンやラストだけを読んでしまう悪癖が私にはある。
いままではそのシーンさえ読めば、物語のだいたいの流れだとか、明るい話か暗い話かは分かった。
でも本作は、「わかった!」という感覚が訪れない。紅茶にマドレーヌじゃないといけない? 
パンにバターを塗るのでは、だめ? 全部読まないとやっぱり掴(つか)めないのだろう。でも根気がない、謎は知りたい。

 コミック版は答えをくれた。原作のガイド的な役目を果たしてくれる。コミック独特の世界の雰囲気にも魅了された。
絵はシンプルで表情豊かなキャラクターたち、背景の描写の緻密(ちみつ)さは映画的で、
どことなく不安な雰囲気の漂う色使いもきれいだ。小説の文章も意訳でたくさん引用してあって、
本として読んでも読み応えはある。だからといって「大体分かったから小説を読む必要はない」と思わせるところはない。
原作の底知れない深さが、コミック版を通して伝わってくるからだ。中条省平訳。


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