童貞の読む本
at CHERRYBOY
[前50を表示]
150:矢印くん@ボインにターッチ ◆Ripvkk4JmM
06/08/21 23:51:30 0
>>148
『凌辱の魔界』ってのが好きでしてね。
『獣儀式』は最高傑作らしいけどね。
官能描写自体結構好きなもので。
『淫獣軍団』って読んでないけど期待できそうですね。
151:139
06/08/22 01:54:34 0
>>150
淫獣軍団はマジお勧めですよ
渋谷の東急をテロリスト軍団が襲うんだけど、女性客を人質にして陵辱の限りを尽くす
その他にもかなりエグイ描写が満載
152:名無しさん@ピンキー
06/08/22 19:51:49 0
Molecular Biology of the Cell
153:名無しさん@ピンキー
06/08/28 17:01:23 0
家畜人ヤプー
を読んだ後、
童貞のときに読んでおけば良かったと思った。
マンガのほうではなくね。
154:矢印くん@ボインにターッチ ◆MANKOyJseE
06/08/29 00:33:22 0
>>151
ダイナミックな展開やねW
ただ、淫獣軍団普通に売ってなくね?
>>153
マンガは江川達也だよな。
ってか、あれはマンガにすべきじゃないね〜。
壮大なホラ話SFの参考書みたいなもんだ。
ストーリー展開で読ませる代物じゃない。
155:名無しさん@ピンキー
06/09/01 17:25:22 0
漆黒の令嬢シスター 獣魔の贄
156:名無しさん@ピンキー
06/09/01 17:46:46 0
夜回り先生 いいんだよ。
157:矢印くん@ボインにターッチ ◆MANKOyJseE
06/09/01 17:57:14 0
>>155
二次元ドリーマーでつか?
158:名無しさん@ピンキー
06/09/01 18:01:00 0
NHKにようこそ
159:矢印くん@ボインにターッチ ◆MANKOyJseE
06/09/02 00:14:21 0
ネガティヴパッピー・チェーンソーエッヂは、迷作だと思います
まったくもって不可解な敵を配することで類型的でない物語要素を孕んでいる。
160:名無しさん@ピンキー
06/09/02 00:16:30 0
ヤヂルシたんこんばんわ
161:矢印くん@ボインにターッチ ◆MANKOyJseE
06/09/02 00:18:16 0
こんばんわー!!!!!
162:29歳童貞さん
06/09/02 01:01:04 0
ホットドッグ
163:矢印くん@ボインにターッチ ◆MANKOyJseE
06/09/02 01:22:25 0
まいるど7
164:名無しさん@ピンキー
06/09/02 01:51:16 0
>>161
ワロタ
165:名無しさん@ピンキー
06/09/02 16:13:44 0
>>157
よくご存知で・・wこれ、獣姦モノなんだけど
あんまりどぎつくないし、いいですよ
166:名無しさん@ピンキー
06/09/02 21:20:11 0
僕はつるつるとすべる十五段の階段を何千回となく往復する羽目になった。
葉を落とした雑木林はまるで海底のサンゴのように道の両脇に湿った枝を広げていた。
雨は日が暮れても降り続けていた。近所の酒屋でビールを二本買って、彼女にもらったグラスに注いで飲んだ。
暗い林があり、小さな丘があり、ところどころに白い水銀灯の光が
個人用のプールの水面を照らし出している。
霊園は山頂に近いゆったりとした台地利用して広がっている。
細かい砂利を敷き詰めた歩道が縦横に墓の間をめぐり、
刈り込まれたつつじが草を食む羊のような姿でところどころに散らばっていた。
それぞれの名前と時と、そしてそれぞれの過去の生を背負った死は、
まるで植物園の潅木の列のように、等間隔を取ってどこまでも続いていた。
二人は林に戻り、強く抱きしめ合った。海からの潮風、木々の葉の香り、叢のコオロギ、
そういった生き続ける世界の哀しみだけが辺りに充ちていた。
167:名無しさん@ピンキー
06/09/02 21:31:35 0
階段を上り外に出ると、冷ややかな秋の匂いがした。
少し迷ってから車を海に向けて走らせ、女のアパートが見える海岸沿いの道路に車を停めた。
女の部屋は暗かった。ベッドサイドのランプも消えている。
雨は永遠に降り続くかのようだった。十月の雨はいつもこんな風に降る。
何もかもを濡らすまで、いつまでも振り続ける。地表はぐっしょりと濡れていた。
木も高速道路も畑も車も家も犬も、全てが満遍なく雨を吸い込み、
世界は救いがたい冷ややかさに充ちていた。
しばらく山道を上り、深い林の間の道を抜けると貯水池に出た。
その間にも雨は休みなく貯水池の上に降り注いでいた。
新聞紙を細かく引き裂いて篤いカーペットの上に撒いたほどの音しかしなかった。
168:名無しさん@ピンキー
06/09/02 21:41:31 0
何日も降り続いた雨は金曜の夕方になって突然上がった。
アスファルトの舗道はところどころに静かな水溜りををたたえたまま
黒々どこまでも伸びている。街中に雨上がりの夕暮れの匂いがする。
山の手の坂道をを西に向かって白い霧が流れていた。結局川に沿って海岸に下る。
そして防波堤の脇に車を止め、シートを倒して煙草を吸った。
砂浜も護岸ブロックも防砂林も、何もかもが黒く濡れていた。
女の部屋のブラインドからは暖かそうな黄色い光がこぼれている。
霧は時を追うごとにその濃さを増していった。乳白色の闇が海辺をゆっくりと流れる。
僕は静かな喫茶店に入り、そのダイアルを回してみた。
169:名無しさん@ピンキー
06/09/02 21:55:52 0
僕とスペイン語の講師は最初と同じコーヒー店で待ち合わせ、すぐにタクシーに乗り込んだ。
明治通りをまっすぐ、と彼は言った。タクシーが早稲田通りを横切るあたりで、運転手が、
もっと先ですか、と訊ねた。目白通りに、と講師は言った。
僕は窓の外を過ぎていく商店街の風景をしばらく目で追った。
車は郊外にさしかかろうとしていた。
あたりはまったくの暗闇に変わっていた。それも単色の闇ではなく、
さまざまな絵の具をバターのように厚く塗りこめた暗闇だった。
人家は、進むにつれてまばらになり、ついには何万という虫の声が地鳴りのように沸き起こる草原や林だけになった。
タクシーの運転手も道路のヘッドライトの光を睨んだまま煙草を吸った。
なぜ僕は闇の中を走り続けるのだろう?
スペイン語の講師が車を停めたのは道路を五百メートルばかりはずれた空き地の真ん中だった。
空き地は平らで、くるぶしまでの柔らかい草が浅瀬のように広がっていた。
「金網に沿ってまっすぐ三百メートルばかり歩いてください。突き当たりに倉庫があります」
「倉庫?」
虫の声までが息苦しい。
一人で養鶏場の金網に沿って歩いた。
倉庫はうずくまった動物のように見えた。まわりには高い草がぎっしりと生い茂り、
切り立った灰色の壁には窓ひとつない。陰気な建物だった。
鉄の両開きの扉の上には養鶏場の名前らしき文字が白いペンキで分厚く塗り潰されている。
そして僕の前には待った区別の種類の闇が広がった。
170:名無しさん@ピンキー
06/09/05 20:55:27 0
村上春樹『1973年のピンボール』
「一九七三年九月、この小説はそこから始まる。それが入口だ。出口があればいいと思う。もしなければ文章を書く意味なんて何もない。」
69年の大学紛争で大学を中退した鼠。大学に残り、友達と会社を作った僕。まるで双子のような二人。この二人に今の自分とこうありたかった自分を投影するのは容易い。過去の思い出と対話する僕の姿に期待はないが、街を出ようとする鼠には期待の地平が広がっている。
入り口を問い続ける僕と、出口を問い続ける鼠。この二人によって導かれた小説。
171:矢印くん@ボインにターッチ ◆Dh.JsHzWH2
06/09/09 17:38:50 0
くノ一忍法勝負 山田風太郎忍法帖短編全集
172:名無しさん@ピンキー
06/09/23 03:05:07 0
河川敷の土手に座って、対岸の、工業団地の寂れたマンションが並ぶ光景を眺めていた。
隣には高校の制服を着たままの絵美子がいて、僕と同様、ぼんやりと対岸に目を向けてい
る。頬には、冬を間近にしてもなお暖かい風が擦れていて、首筋の辺りがじわりと汗ばん
で感じた。異常気象、ニュースではそう報じられていた。
「空が、もっと赤くなってきたね」
絵美子はマンションの向こう側の、燃えるような空を見つめて言った。夕焼けなんかじゃ
なくて、たぶん、向こうの空は本当に燃えているのかもしれない。一週間前、自衛官の
父親がそう言って慌てて家を飛び出していったから、そうなのだろう。
「明日辺りまでには、こっちの空も赤くなるらしいよ」
「知ってる」
「絵美子はどうする? 逃げないのか?」
僕がそう訊くと、絵美子は目許を弛緩させた。
「逃げないよ。だって、逃げても意味ないでしょ? どうせ全部、飲み込まれちゃうんだ
から」
僕はそれを聞いて安心した。父親が赤い空に挑んでいって、そのまま消息を絶ったと連絡
を受けて以来、逃げても無駄なのだと悟っていたから、どうせ死ぬなら生まれ育ったこの地
で死んでいきたいと決心していたのだ。絵美子もここにいてくれる。僕は死ぬことを寂しい
だなんて思わなくなった。
「あっ!」
不意に、絵美子が赤い空を指差して叫んだ。それに驚きつつも、僕は絵美子の指した先を
凝視した。しかし、特別何も見つけることができず、疑問に思って絵美子に振り向いた。
「どうかしたの?」
僕がそう訊くと、絵美子は腕を下げて笑い出し、ううん、何でもない、と、そのまま土手に
仰向けになって、上空の、まだ青い空を見つめた。僕は不思議に思って首を傾げていたが、
絵美子が、一緒に寝よ、と言うので、微笑んで仰向けになった。背中に刺さる草がちくちくと
痛くて、それをくすぐったく思ったが、絵美子の手が僕に伸びてきたのを機にそんなこと忘れて、 青い正常な空に見つめ入った。
「戦ってるね、お父さん達」 絵美子のその、儚い呟きに、僕は小さく頷いた。片手で絵美子の柔らかい手を握って、もう一方
の手には、父親が残していった、戦闘機の欠片が握られている。それらは、とても暖かかった。
173:名無しさん@ピンキー
06/09/23 15:30:20 0
ここは砂漠。追放の僻地。
何故こんな所に来ているのか?
それは、自分でもわからない。
ただ、今自分はここを歩いている。それだけは真実だ。
いつまで経っても景色の変わらない世界。
そこに あおい 少女がいた
174:名無しさん@ピンキー
06/10/06 01:45:51 0
源由来ピックアップ
神無月(かんなづき) ハロウィン 秋(あき)
イチョウ・銀杏・公孫樹 紅葉狩り(もみじがり) リンゴ・林檎(りんご)
サンマ・秋刀魚(さんま) サバ・鯖(さば) 大正海老(たいしょうえび)
カーディガン 海千山千(うみせんやません) 油断(ゆだん)
175:名無しさん@ピンキー
06/10/06 02:06:01 0
■ 2006/11/30〆『愛』のメッセージを募集!
更新日:2006/09/13(Wed) 20:06 ◆ Click: 133 (今回) / 512 (累計) [修正・削除] [管理者に通知]
私たちはどれだけ多くの人達の思いやりや優しさにつつまれて成長してきたのでしょう。『愛の詩』は、子どもを想い、親を想い、そしてふるさとを想うあなたの『愛』のメッセージです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【応募〆切】2006年11月30日
【最高賞金】愛の詩賞5万円、他
176:名無しさん@ピンキー
06/10/06 07:08:26 0
デラべっぴん
177:名無しさん@ピンキー
06/10/06 07:09:20 0
エロトピア
178:名無しさん@ピンキー
06/10/06 10:26:26 O
半分の月がのぼる空
涼宮ハルヒの憂鬱
179:名無しさん@ピンキー
06/10/12 03:15:22 0
ガンガンガン。ドラの音だ、何だろう。僕は外にでてみた。
「何ですか。」側にいる大人にたずねた。「なんか魔物が来た見たいだ」
「魔物ですか。」「やつら子供でも容赦しないぞ。家に入ってな」
バコーン。もの凄い爆発音がする。その方向をむくと奇妙な生き物が立っている。
背の高さは普通の大人ぐらいだが、皮膚は馬のようで顔は見たこともない野生の
顔付きだ。見ると手に大きな槌を持っている。バコーン。家を壊しながら
こっちに進んでくる。「えいやっ」僕は石をなげて見た。バコーン。打ち返された。
「坊や。さがってな」おじさんが鋼でできたデカイ剣を持って向かっていった。
バコーン。剣ごとおじさんはふっとばされた。即死のようだ、いやまだ持ちこたえてる。
「だいじょうぶですか?」「だめだ、お前この剣をだれか力のある大人に
わたしてくれ。」「わかりました。」剣を抱えて町を駆ける。どこもかしこもひどい有様だ。
一人の若者がいた。「これをつかって!」「ありがてぇ!たすかるぜ!」
鋼の剣を持った若者が魔物に向かっていく。ガキーン。勝負は五分だ。
いける、僕は草むらにおちている鍬で剣撃を受けて空いている魔物の右脇腹を
えぐった。ギャーン。魔物は力つき倒れた。おじさんは無事に一命をとりとめた。
「君たちの勇敢さ讃えます。」僕とおじさんと若者は騎士になった。明日は
叙任式を受けに南にあるエルフと人間の創った黒真珠国に出発だ。
180:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/10/12 20:37:05 0
村上春樹、ノーベル文学賞受賞ならず。
URLリンク(nobelprize.org)
The Nobel Prize in Literature 2006
Orhan Pamuk
Turkey
b. 1952
181:名無しさん@ピンキー
06/10/15 14:08:26 0
家畜人ヤプー
182:名無しさん@ピンキー
06/10/17 07:55:09 0
(携帯からは見れないぞ↓)
URLリンク(cream.ath.cx)
183:名無しさん@ピンキー
06/11/03 02:56:45 0
携帯から見れません
184:名無しさん@ピンキー
06/11/03 05:41:13 O
ビジネス英会話
185:名無しさん@ピンキー
06/11/15 17:40:34 0
武者さん
186:名無しさん@ピンキー
06/11/17 23:01:57 0
ウィーーーン
店員「いらっしゃいませ」
客「あのー、すみません。どうも最近目が見えにくくって・・・」
店員「まぁ、おかけください」
客「あ、はい。よいしょっと。イテッ!!なんですかこれは!?」
店員「あ!すみません。僕、いすにがびょうをおくのが趣味なんです。」
客「店でやっちゃだめだろ!」
店員「僕はお客様に『ガビョーン』って言ってほしかったんですけどね。」
客「しょうもないわ!」
店員「まぁまぁ怒らずに。ところで、目はどれくらい悪いのですか?」
客「どれくらいと言われましても・・・」
店員「視力とかでけっこうですよ。」
客「右は0.8くらいで、左は・・・分からないです。」
店員「右は0.8で左は分からない・・・と。じゃあそんな感じのメガネを持ってきます。」
187:名無しさん@ピンキー
06/11/20 03:32:10 O
童貞男
188:名無しさん@ピンキー
06/11/20 05:31:38 O
そんな本あるの?
189:名無しさん@ピンキー
06/11/24 02:44:38 0
彼は、若い男鹿の四肢のやうに、スラリと娜(しなやか)な少年の姿を、
飽かず眺めたり、父と母とに迭(かた)みに話しかける簡単な会話に、
耳を傾けたりしてゐた。此の一行の外には、洋服を着た会社員らしい二人連と、
田舎娘とその母親らしい女連が、乗り合はしてゐるだけである。
が、あの湯治階級と云つたやうな、男も女も、大島の揃か何かを着て、
金や白金(プラチナ)や宝石の装身具を身体のあらゆる部分に、
燦かしてゐるやうな人達が、乗り合はしてゐないことは信一郎にとつて結局気楽だつた。
190:名無しさん@ピンキー
06/11/24 02:46:46 0
信一郎は、いらいらしくなつて来る心を、ぢつと抑へ付けて、
湯河原の湯宿に、自分を待つてゐる若き愛妻の面影を、空(くう)に描いて見た。
何よりも先づ、その石竹色に湿(うる)んでゐる頬に、
微笑の先駆として浮かんで来る、笑靨(ゑくぼ)が現はれた。
それに続いて、慎ましい脣、高くはないけれども穏やかな品のいゝ鼻。
が、そんな目鼻立よりも、顔全体に現はれてゐる
処女らしい含羞性(シャイネス)、それを思ひ出す毎に、
信一郎自身の表情が、たるんで来て、其処には居合はさぬ妻に対する愛撫の微笑が、
何時の間にか、浮かんでゐた。
191:名無しさん@ピンキー
06/11/24 02:49:34 0
洋服を着た大男は、信一郎と同乗すべき客を、迎へて来る為に、
駅の真向ひにある待合所の方へ行つた。
信一郎は、大男の後姿を見ながら思つた、どうせ、旅行中のことだから、
どんな人間との合乗(あひのり)でもたかが三四十分の辛抱だから、
介意(かまは)ないが、それでも感じのいゝ、
道伴(みちづれ)であつて呉れゝばいゝと思つた。
傲然とふんぞり返るやうな、成金風の湯治階級の男なぞであつたら、
堪らないと思つた。
彼はでつぷりと肥つた男が、実印を刻んだ金指輪をでも、光らせながら、
大男に連れられて、やつて来るのではないかしらと思つた。
それとも、意外に美しい女か何かぢやないかしらと思つた。
が、まさか相当な位置の婦人が、合乗を承諾することもあるまいと、思ひ返した。
192:名無しさん@ピンキー
06/11/24 02:51:47 0
「御迷惑でせうが。」と、信一郎は快活に、挨拶した。学生は頭を下げた。
が、何(なん)にも物は云はなかつた。信一郎は、学生の顔を、
一目見て、その高貴な容貌に打たれざるを得なかつた。恐らく貴族か、
でなければ名門の子弟なのだらう。品のよい鼻と、黒く澄み渡つた眸とが、
争はれない生れのけ高さを示してゐた。殊に、け高く人懐しさうな眸が、
此の青年を見る人に、いゝ感じを与へずにはゐなかつた。
クレイヴネットの外套を着て、一寸した手提鞄を持つた姿は、
又なく瀟洒に打ち上つて見えた。
193:名無しさん@ピンキー
06/11/24 02:55:47 0
自分に対する罵詈のために、カツとなつてしまつて、青年の顔も少女の顔も、
十分眼に入らなかつたが、今は少し心が落着いたので、
二人の顔を、更めて見直した。
気が付いて見れば見るほど、青年は男らしく、美しく、女は女らしく美しかつた。
殊に、少女の顔に見る浄い美しさは、勝平などが夢にも接したことのない美しさだつた。
彼は、心の中で、金で購つた新橋や赤坂の、名高い美妓の面影と比較して見た。
何と云ふ格段な相違が其処にあつただらう。彼等の美しさは、造花の美しさであつた。
偽真珠の美しさであつた。
一目丈(だけ)は、ごまかしが利くが二目見るともう鼻に付く美しさであつた。
が、この少女は、夜毎に下る白露に育まれた自然の花のやうな生きた新鮮な美しさを持つてゐた。
人間の手の及ばない海底に、自然と造り上げらるゝ、天然真珠の如き輝きを持つてゐた。
一目見て美しく、二目見て美しく、見直せば見直す毎に蘇つて来る美しさを持つてゐた。
勝平が、今迄金で買ひ得た女性の美しさは、此少女の前では、皆偽物だつた。
金で買ひ得るものと思つてゐたものは、皆贋物だつたのだ。
勝平は此少女の美しさからも、今迄の誇(プライド)を可なり傷けられてしまつた。
194:名無しさん@ピンキー
06/11/29 02:40:52 0
私たちみんなの苦しみを、ほんとに誰も知らないのだも
の。いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘びしさ
は、可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるかも知れないのだけ
れど、けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を、どうして暮し
ていったらいいのだろう。誰も教えて呉れないのだ。ほって置くよりしようのな
い、ハシカみたいな病気なのかしら。でも、ハシカで死ぬる人もあるし、ハシカで目のつぶれ
る人だってあるのだ。放って置くのは、いけないことだ。私たち、こんな
に毎日、鬱々したり、かっとなったり、そのうちには、踏みはずし、うんと堕
落して取りかえしのつかないからだになってしまって一生をめちゃめちゃに送
る人だってあるのだ。また、ひと思いに自殺してしまう人だってあるのだ。そ
うなってしまってから、世の中のひとたちが、ああ、もう少し生きていたらわか
ることなのに、もう少し大人になったら、自然とわかって来ることなのにと、ど
んなに口惜しがったって、その当人にしてみれば、苦しくて苦しくて、それで
も、やっとそこまで堪えて、何か世の中から聞こう聞こうと懸命に耳をすま
していても、やっぱり、何かあたりさわりのない教訓を繰り返し
て、まあ、まあと、なだめるばかりで、私たち、いつまでも、恥
ずかしいスッポカシをくっているのだ。
195:名無しさん@ピンキー
06/11/29 02:44:31 0
ジャピイと、カア(可哀想(かわいそう)な犬だから、カアと呼ぶん
だ)と、二匹もつれ合いながら、走って来た。二匹をまえに並べて置い
て、ジャピイだけを、うんと可愛がってやった。ジャピイの真白い毛は光っ
て美しい。カアは、きたない。ジャピイを可愛がっていると、カアは、傍
で泣きそうな顔をしているのをちゃんと知っている。カアが片輪だとい
うことも知っている。カアは、悲しくて、いやだ。可哀想で可哀想でたまらな
いから、わざと意地悪くしてやるのだ。カアは、野良犬みたいに見えるか
ら、いつ犬殺しにやられるか、わからない。カアは、足が、こんなだか
ら、逃げるのに、おそいことだろう。カア、早く、山の中にでも行きなさ
い。おまえは誰にも可愛がられないのだから、早く死ねばいい。私は、カ
アだけでなく、人にもいけないことをする子なんだ。人を困らせて、刺
戟する。ほんとうに厭な子なんだ。縁側に腰かけて、ジャピイの頭を撫(
な)でてやりながら、目に浸(し)みる青葉を見ていると、情なくなっ
て、土(つち)の上に坐りたいような気持になった。
196:名無しさん@ピンキー
06/11/29 02:53:38 0
恋をはじめると、とても音楽が身にしみて来ますね。あれがコイのヤマ
イの一ばんたしかな兆候だと思います。
片恋なんです。でも私は、その女のひとを好きで好きで仕
方が無いんです。そのひとは、この海岸の部落にたった一軒し
かない小さい旅館の、女中さんなのです。まだ、はたち前のようです。伯
父の局長は酒飲みですから、何か部落の宴会が、その旅館の奥
座敷でひらかれたりするたびごとに、きっと欠かさず出かけますので、伯父とそ
の女中さんとはお互い心易い様子で、女中さんが貯金だの保険だの
の用事で郵便局の窓口の向う側にあらわれると、伯父はかなら
ず、可笑(おか)しくもない陳腐な冗談を言ってその女中さんをからかうのです。
「このごろはお前も景気がいいと見えて、なかなか貯金にも精が出るのう。感心かんしん。いい旦那でも、ついたかな?」
「つまらない」
と言います。そうして、じっさい、つ
まらなそうな顔をして言います。
197:名無しさん@ピンキー
06/11/29 03:54:52 0
ドストエフスキイ 「カラマーゾフの兄弟」
198:名無しさん@ピンキー
06/11/29 09:23:44 0
無料で利用できる出会い系を紹介してるよ
URLリンク(deaibest3.jpn.org)
199:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/11/30 00:22:15 0
天国とは場所ではない
時間でもない
天国とはすなわち
完全なる境地のことなのだから
by 『かもめのジョナサン』
200:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/11/30 00:26:48 0
論理療法というセラピーでは「できごと」と「結果」の間に、
「belief」(思い込み)があるとし、これを変えることで「結果」が変わる、としています。
by 『気づきの法則』
201:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/11/30 00:39:31 0
「ここではチキンサラダしか食べない。決まってるんだ。僕にいわせてもらえれば
デニーズで食べる価値があるのはチキンサラダぐらいだよ。メニューにあるものは
おおかた試してみたけどさ。君はここでチキンサラダ食べたことある?」
マリは首を振る。
「悪くないよ、チキンサラダとカリカリに焼いたトースト、デニーズではそれしか食べない」
「なのにどうしていちいちメニューを見るわけ」
by 『アフターダーク』
202:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/11/30 00:43:40 0
娘の声
娘の息
娘の肌の温かさ
娘の身体の重さや、乳房の感触
閨で交わした睦言の数々
娘の見せた痴態のあれこれが思い出されてならなかった
by 『鬼譚草子』
203:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/11/30 00:50:00 0
「すばらしい日本の戦争」は闇の中に立ち尽くしていた。
「どうかしたのかい」と私は聞いた。
「すばらしい日本の戦争」は震えている「パパゲーノ」を見つめ、
わたしを見つめ、そしてわたしと「パパゲーノ」の間辺りにある深遠を見つめた。
「死体を吹き飛ばすんだ」と「すばらしい日本の戦争」は言った。
by 『ジョンレノン対火星人』
204:名無しさん@ピンキー
06/11/30 02:03:16 O
・夜の代打王
・ヒップにご用心
俺が最近読んだエロ小説。
205:名無しさん@ピンキー
06/11/30 14:14:41 O
お気に召すまま
206:エイズ@ピンキー
06/11/30 22:18:12 0
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
何のとりえもない出たがり梅毒ヤリチンどもが何を書いても虚しいもんだな。
ケケケケケケケケケケケケケケ
207:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/12/01 00:57:20 0
>>206
うざい!
208:名無しさん@ピンキー
06/12/02 22:31:54 0
童貞って、京極とか森博詞みたいなありきたりなラノベとか官能系ばっかり読んでるイメージがあるな
209:名無しさん@ピンキー
06/12/03 01:34:42 0
男同士のセックス
210:名無しさん@ピンキー
06/12/03 03:36:59 O
>>208
同意。あと、はやりモノしか読まない低能とか。
211:名無しさん@ピンキー
06/12/05 00:51:09 0
思いは、ひとつ、窓前花。
十三日。 なし。
十四日。 なし。
十五日。 かくまで深き、
十六日。 なし。
十七日。 なし。
十八日。
ものかいて扇ひき裂くなごり哉(かな)
ふたみにわかれ
212:名無しさん@ピンキー
06/12/05 00:55:04 0
十九日。
十月十三日より、板橋区のとある病院にいる。来て、三日間、
歯ぎしりして泣いてばかりいた。銅貨のふくしゅうだ。ここは、
気ちがい病院なのだ。となりの部屋の若旦那(わかだんな)は、
ふすまをあけたら、浴衣(ゆかた)がかかっていて、どうも工合いがわるかった、
など言って、みんな私よりからだが丈夫で、大河内昇とか、星武太郎などの重すぎる名を有し、
帝大、立大を卒業して、しかも帝王の如く尊厳の風貌をしている。
惜しいことには、諸氏ひとしく自らの身の丈(たけ)よりも五寸ほどずつ恐縮していた。
母を殴(なぐ)った人たちである。
四日目、私は遊説(ゆうぜい)に出た。鉄格子と、金網(かなあみ)と、それから、
重い扉、開閉のたびごとに、がちん、がちん、と鍵(かぎ)の音。寝ずの番の看守、
うろ、うろ。この人間倉庫の中の、二十余名の患者すべてに、
私のからだを投げ捨てて、話かけた。まるまると白く太った美男の、
肩を力一杯ゆすってやって、なまけもの! と罵(ののし)った。
眼のさめて在る限り、枕頭の商法の教科書を百人一首を読むような、
あんなふしをつけて大声で読みわめきつづけている一受験狂に、勉強やめよ、
試験全廃だ、と教えてやったら、一瞬ぱっと愁眉(しゅうび)をひらいた。
213:名無しさん@ピンキー
06/12/05 00:57:49 0
うしろ姿のおせん様というあだ名の、セル着たる二十五歳の一青年、
日がな一日、部屋の隅、壁にむかってしょんぼり横坐りに居崩(いくず)れて坐って、
だしぬけに私に頭を殴られても、僕はたった二十五歳だ、捨てろ、捨てろ、
と低く呟(つぶや)きつづけるばかりで私の顔を見ようとさえせぬ故、
こんどは私、めそめそするな、と叱って、力いっぱいうしろから抱いてやって激しくせきにむせかえったら、
青年いささか得意げに、放せ、放せ、肺病がうつると軽蔑して、
私は有難(ありがた)くて泣いてしまった。元気を出せ。
みんな、青草原をほしがっていた。私は、部屋へかえって、
「花をかえせ。」という帝王の呟きに似た調子の張った詩を書いて、
廻診しに来た若い一医師にお見せして、しんみに話合った。
午睡という題の、「人間は人間のとおりに生きて行くものだ。」という詩を書いてみせて、
ふたりとも、顔を赤くして笑った。五六百万人のひとたちが、
五六百万回、六七十年つづけて囁(ささや)き合っている言葉、
「気の持ち様。」というこのなぐさめを信じよう。僕は、きょうから涙、一滴、見せないつもりだ。
ここに七夜あそんだならば、少しは人が変ります。豚箱などは、のどかであった。
214:名無しさん@ピンキー
06/12/05 00:59:39 0
越中富山の万金丹(まんきんたん)でも、熊の胃でも、三光丸でも五光丸でも、ぐっと奥歯に噛みしめて苦(にが)いが男、微笑、うたを唄えよ。私の私のスウィートピイちゃん。
あら、
あたし、
いけない
女?
ほらふきだとさ、
わかっているわよ。
虹(にじ)よりも、
それから、
しんきろうよりも、きれいなんだけれど。
いけない?
215:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:02:37 0
一週間、私は誰とも逢っていません。面会、禁じられて、私は、投げられた様に寝ているが、
けれども、これは熱のせいで、いじめられたからではない。みんな私を好いている。
Iさん、一生にいちどのたのみだ、はいって呉れ、と手をつかぬばかりにたのんで下さって、
ありがとう。
私は、どうしてこんなに、情が深くなったのだろう。Kでも、Yでも、Hさんでも、
Dはうろうろ、Yのばか、善四郎ののろま、Y子さん。逢いたくて、逢いたくて、のたうちまわっているんだよ。
先生夫婦と、Kさん夫婦と、Fさん夫婦、無理矢理つれて、浅虫へ行こうか、
われは軍師さ、途中の山々の景色眺めて、おれは、なんにも要らない。
乃公(だいこう)いでずんば、蒼生(そうせい)をいかんせむ、さ。
三十八度の熱を、きみ、たのむ、あざむけ。プウシュキンは三十六で死んでも、
オネエギンをのこした。不能の文字なし、とナポレオンの歯ぎしり。
けれども仕事は、神聖の机で行え。そうして、花を、立ちはだかって、
きっぱりと要求しよう。
立て。権威の表現に努めよ。おれは、いま、目の見えなくなるまで、おまえを愛している。
216:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:09:40 0
「日没の唄。」
蝉(せみ)は、やがて死ぬる午後に気づいた。
ああ、私たち、もっと仕合せになってよかったのだ。もっと遊んで、かまわなかったのだ。
いと、せめて、われに許せよ、花の中のねむりだけでも。
ああ、花をかえせ! (私は、目が見えなくなるまでおまえを愛した。)
ミルクを、草原を、雲、―(とっぷり暮れても嘆くまい。私は、―なくした。)
「一行あけて。」
あとは、なぐるだけだ。
217:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:12:21 0
「花一輪。」
サインを消せ
みんなみんなの合作だ
おまえのもの
私のもの
みんなが
心配して心配して
やっと咲かせた花一輪
ひとりじめは
ひどい
どれどれ わしに貸してごらん
やっぱり
じいさん
ひとりじめの机の上
いいんだよ
さきを歩く人は
白いひげの
羊飼いのじいさんに
きまっているのだ
みんなのもの サインを消そう
みなさん
みなさん
おつかれさん
犬馬の労
骨を折って
やっと咲かせた花一輪
やや お礼わすれた
声をそろえて
ありがとう、よ、ありがとう!(聞えたかな?)
218:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:14:53 0
二十日。
この五、六年、きみたち千人、私は、ひとり。
二十一日。
罰。
二十二日。
死ねと教えし君の眼わすれず。
二十三日。
「妻をののしる文。」
私が君を、どのように、いたわったか、君は識(し)っているか。
どのように、いたわったか。どのように、賢明にかばってやったか。
お金を欲しがったのは、誰であったか。私は、筋子(すじこ)に味の素の雪きらきら降らせ、
納豆(なっとう)に、青のり、と、からし、添えて在れば、他には何も不足なかった。
人を悪しざまにののしったのは、誰であったか。
閨(ねや)の審判を、どんなにきびしく排撃しても、しすぎることはない、と、
とうとう私に確信させてしまったほどの功労者は、誰であったか。
無智の洗濯女よ。妻は、職業でない。妻は、事務でない。
ただ、すがれよ、頼れよ、わが腕の枕の細きが故か、
猫の子一匹、いのち委(ゆだ)ねては眠って呉れぬ。
まことの愛の有様は、たとえば、みゆき、朝顔日記、めくらめっぽう雨の中、
ふしつ、まろびつ、あと追うてゆく狂乱の姿である。君ひとりの、ごていしゅだ。
自信を以て、愛して下さい。
219:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:17:23 0
一豊(かずとよ)の妻など、いやなこった。だまって、百円のへそくり出されたとて、
こちらは、いやな気がするだけだ。なんにも要らない。
はい、と素直な返事だけでも、してお呉れ。すみません、と軽い口調で一言そっと、おわびをなさい。
君は、無智だ。歴史を知らぬ。
芸術の花うかびたる小川の流れの起伏を知らない。
陋屋(ろうおく)の半坪の台所で、ちくわの夕食に馴れたる盲目の鼠だ。
君には、ひとりの良人を愛することさえできなかった。
かつて君には、一葉の恋文さえ書けなかった。
恥じるがいい。女体の不言実行の愛とは、何を意味するか。
ああ、君のぼろを見とどけてしまった私の眼を、
私自身でくじり取ろうとした痛苦の夜々を、知っているか。
人には、それぞれ天職というものが与えられています。
君は、私を嘘つきだと言った。もっと、はっきり言ってごらん。
君こそ私をあざむいている。私は、いったい、どんな嘘をついたというのだ。
そうして、もっと重大なことには、その具体的の結果が、どうなったか。
記録的にお知らせ願いたいのだ。
220:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:23:51 0
人を、いのちも心も君に一任したひとりの人間を、あざむき、脳病院にぶちこみ、
しかも完全に十日間、一葉の消息だに無く、一輪の花、一個の梨(なし)の投入をさえ試みない。
君は、いったい、誰の嫁さんなんだい。武士の妻。よしやがれ!
ただ、T家よりの銅銭の仕送りに小心よくよく、或いは左、或いは右。
真実、なんの権威もない。信じないのか、妻の特権を。
含羞(がんしゅう)は、誰でも心得ています。けれども、一切に眼をつぶって、
ひと思いに飛び込むところに真実の行為があるのです。
できぬとならば、「薄情。」受けよ、これこそは君の冠。
人、おのおの天職あり。十坪の庭にトマトを植え、ちくわを食いて、洗濯に専念するも、
これ天職、われとわがはらわたを破り、わが袖(そで)、炎々の焔あげつつあるも、
われは嵐にさからって、王者、肩そびやかしてすすまなければならぬ、
さだめを負うて生れた。大礼服着たる衣紋竹(えもんだけ)、
すでに枯木、刺さば、あ、と一声の叫びも無く、
そのままに、かさと倒れ、失せむ。空なる花。
ゆるせよ、私はすすまなければいけないのだ。母の胸ひからびて、われを抱き入れることなし。
上へ、上へ、と逃れゆくこそ、われのさだめ。
断絶、この苦、君にはわからぬ。
221:名無しさん@ピンキー
06/12/05 01:27:47 0
投げ捨てよ、私を。とわに遠のけ! 「テニスコートがあって、看護婦さんとあそんで、
ゆっくり御静養できますわよ。」と悪婆の囁き。
われは、君のそのいたわりの胸を、ありがたく思っていました。
見よ、あくる日、運動場に出ずれば、蒼(あお)き鬼、黒い熊、
さながら地獄、ここは、かの、どんぞこの、脳病院に非ずや。
我もまた、一囚人、「ひとり!」と鍵の束(たば)持てるポマアドの悪臭たかき一看守に背押されて、
昨夜あこがれ見しテニスコートに降り立ちぬ。
銅貨のふくしゅう。……の暗躍。ただ、ただ、レッド・テエプにすぎざる責任、
規約の槍玉にあげられた鼻のまるいキリスト。
「温度表を見て下さい。二十日以降、注射一本、求めていません。
私にも、責任の一半を持たせて下さい。注射しなけれあいいんでしょう?」
「いいえ、保証人から全快までは、と厳格にたのまれてあります。」
ただ、飼い放ち在るだけでは、金魚も月余の命、保たず。いつわりでよし、
プライドを、自由を、青草原を!
尚、ここに名を録すにも価せぬ……のその閨に於ける鼻たかだかの手柄話に就いては、
私、一笑し去りて、余は、われより年若き、骨たくましきものに、
世界歴史はじまりて、このかた、一筋に高く潔く直く燃えつぎたるこの光栄の炬火(たいまつ)を手渡す。
心すべきは、きみ、ロヴェスピエルが瞳のみ。
222:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:03:52 0
二十四日。 なし。
二十五日。
「金魚も、ただ飼い放ち在るだけでは、月余の命、保たず。」(その一。)
われより若きものへ自信つけさせたく、走り書。断片の語なれども、
私は、狂っていません。
社会制裁の目茶目茶は医師のはんらんと、小市民の医師の良心に対する
盲目的信仰より起った。たしかに重大の一因である。
ヴェルレエヌ氏の施療病院に於ける最後の詩句、「医者をののしる歌。」を読み、
思わず哄笑(こうしょう)した五年まえのおのれを恥じる。
厳粛の意味で、医師の瞳の奥をさぐれ!
223:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:07:13 0
私営脳病院のトリック。
一、この病棟、患者十五名ほどの中、三分の二は、ふつうの人格者だ。
他人の財をかすめる者、又、かすめむとする者、ひとりもなかった。人を信じすぎて、ぶちこまれた。
一、医師は、決して退院の日を教えぬ。確言せぬのだ。底知れず、言を左右にする。
一、新入院の者ある時には、必ず、二階の見はらしよき一室に寝かせ、
電球もあかるきものとつけかえ、そうして、附き添って来た家族の者を、
やや、安心させて、あくる日、院長、二階は未だ許可とってないから、と下の陰気な十五名ほどの患者と同じの病棟へ投じる。
一、ちくおんき慰安。私は、はじめの日、腹から感謝して泣いてしまった。
新入の患者あるごとに、ちくおんき、高田浩吉、はじめる如し。
一、事務所のほうからは、決して保証人へ来いと電話せぬ。
むこうのきびしく、さいそくせぬうちは、永遠に黙している。
たいてい、二年、三年放し飼い。みんな、出ること許(ばか)り考えている。
一、外部との通信、全部没収。
一、見舞い絶対に謝絶、若しくは時間定めて看守立ち合い。
一、その他、たくさんある。思い出し次第、書きつづける。
忘れねばこそ、思い出さずそろ、か。
(この日、退院の約束、断腸(だんちょう)のことどもあり、
自動車の音、三十も、四十も、はては、飛行機の爆音、牛車、自転車のきしりにさえ胸やぶれる思い。)
「出してくれ!」「やかまし!」どしんのもの音ありて、秋の日あえなく暮れむとす。
224:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:10:46 0
二十六日。
「金魚も、ただ飼い放ち在るだけでは、月余の命、保たず。」(その二。)
昨日、約束の迎え来らず。ありがとう。けさ、おもむろに鉛筆執った。
愛している、という。けれども、小市民四十歳の者は、われらを愛する術を知っていない。
愛し得ぬのだ。金魚へ「ふ」だ。愛していないと、言い切り得る。
夫を失いし或る妻の呟(つぶや)き、「夜のつらさは、ごまかせるけれども、
夜あけが―。」あかつきばかり憂きものはなし、とは眠いうらみを述べているのではない。
くらきうち眼さえて、かならず断腸のこと、正確に在り。
大西郷は、眼さむるとともに、ふとん蹴ってはね起きてしまったという。
菊池寛は、午前三時でも、四時でも、やはり、はね起き、
而(しか)して必ず早すぎる朝食を喫するという。
すべて、みな、この憂さに沈むことの害毒を人一倍知れる心弱くやさしき者の自衛手段と解して大過なかるべし。
われ、事に於いて後悔せず、との菊池氏の金看板の楯(たて)の弱さにも、
ふと気づいて、地上の王者へ、無言で一杯のミルクささげてやって呉れる決意ついたら、
それが、また、君のからだの一歩前進なること疑う勿(なか)れ。
225:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:14:47 0
営利目的の病院ゆえ、あらゆる手段にて患者の退院はばむが、
これ、院主、院長、医師、看護婦、看守のはてまで、おのおの天職なりと、
きびしく固く信じている様子である。悪の数々、目おおえども、耳ふさげども、
壁のすきま、鉄格子の窓、四方八方よりひそひそ忍びいる様、春の風の如く、
むしろ快し。院主(出資者)の訓辞、かの説教強盗のそれより、
少し声やさしく、温顔なるのみ。
内容、もとより、底知れぬトリックの沼。
しかも直接に、人のいのちを奪うトリック。
病院では、死骸など、飼い犬死にたるよりも、さわがず、思わず、噂せず。
壁塗り左官のかけ梯子(はしご)より落ちしものの左腕の肉、煮て食いし話、
一看守の語るところ、信ずべきふし在り。
再び、かの、ひらひらの金魚を思う。
「人権」なる言葉を思い出す。ここの患者すべて、人の資格はがれ落されている。
226:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:18:00 0
われら生き伸びてゆくには、二つの途(みち)のみ。
脱走、足袋(たび)はだしのまま、雨中、追われつつ、一汁一菜、半畳の居室与えられ、
犬馬の労、誓言して、巷(ちまた)の塵の底に沈むか、
若しくは、とても金魚として短きいのち終らむと、
ごろり寝ころび、いとせめて、油多き「ふ」を食い、
鱗(うろこ)の輝き増したるを紙より薄き人の口の端(は)にのぼせられて、
ぺちゃぺちゃほめられ、数分後は、けろりと忘れられ、
笑われ、冷き血のまま往生(おうじょう)とげむか。
あとは、自らくびれて、甲斐(かい)なき命絶ち、
四、五日、人の心の片端、ひやとさせるもよからむ。
すべて皆、人のための手本。
われの享楽のための一夜もなかった。
私は、享楽のために売春婦かったこと一夜もなし。
母を求めに行ったのだ。乳房を求めに行ったのだ。
葡萄の一かご、書籍、絵画、その他のお土産(みやげ)もっていっても、
たいてい私は軽んぜられた。
わが一夜の行為、うたがわしくば、君、みずから行きて問え。
私は、住所も名前も、いつわりしことなし。
恥ずべきこととも思わねば。
227:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:20:13 0
私は享楽のために、一本の注射打ちたることなし。
心身ともにへたばって、なお、家の鞭(むち)の音を背後に聞き、
ふるいたちて、強精ざい、すなわち用いて、
愚妻よ、われ、どのような苦労の仕事し了せたか、おまえにはわからなかった。
食わぬ、しし、食ったふりして、しし食ったむくいを受ける。
その人と、面とむかって言えないことは、かげでも言うな。
私は、この律法を守って、脳病院にぶちこまれた。
求めもせぬに、私に、とめどなき告白したる十数人の男女、
三つき経ちて、必ず私を悪しざまに、それも陰口、言いちらした。
いままでお世辞たらたら、厠(かわや)に立ちし後姿見えずなるやいな、ちえっ!
と悪魔の嘲笑。
私は、この鬼を、殴り殺した。
228:名無しさん@ピンキー
06/12/05 02:25:02 0
私の辞書に軽視の文字なかった。
作品のかげの、私の固き戒律、知るや君。否、その激しさの、高さの、ほどを!
私は、私の作品の中の人物に、なり切ったほうがむしろ、よかった。
ぐうだらの漁色家。
私は、「おめん!」のかけごえのみ盛大の、
里見、島崎などの姓名によりて代表せられる老作家たちの剣術先生的硬直を避けた。
キリストの卑屈を得たく修業した。
聖書一巻によりて、日本の文学史は、かつてなき程の鮮明さをもて、
はっきりと二分されている。マタイ伝二十八章、読み終えるのに、三年かかった。
マルコ、ルカ、ヨハネ、ああ、ヨハネ伝の翼を得るは、いつの日か。
229:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
06/12/06 22:16:16 0
太宰のヒューマン・ロスト乙^^^
230:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/06 02:55:08 0
口は一文字を結んで静(しずか)である。眼は五分(ごぶ)のすきさえ
見出すべく動いている。顔は下膨(しもぶくれ)の瓜実形(うりざねがた)で、
豊かに落ちつきを見せているに引き易(か)えて、額(ひたい)は狭苦(せまくる)しくも、
こせついて、いわゆる富士額(ふじびたい)の俗臭(ぞくしゅう)を帯びている。
のみならず眉(まゆ)は両方から逼(せま)って、中間に数滴の薄荷(はっか)を
点じたるごとく、ぴくぴく焦慮(じれ)ている。鼻ばかりは軽薄に鋭どくもない、
遅鈍に丸くもない。画(え)にしたら美しかろう。
かように別れ別れの道具が皆一癖(ひとくせ)あって、
乱調にどやどやと余の双眼に飛び込んだのだから迷うのも無理はない。
231:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/06 02:59:39 0
しばらく人情界を離れたる余は、少なくともこの旅中(りょちゅう)に
人情界に帰る必要はない。あってはせっかくの旅が無駄になる。
人情世界から、じゃりじゃりする砂をふるって、底にあまる、
うつくしい金(きん)のみを眺めて暮さなければならぬ。
余自(みずか)らも社会の一員をもって任じてはおらぬ。
純粋なる専門画家として、己(おの)れさえ、纏綿(てんめん)たる
利害の累索(るいさく)を絶って、優(ゆう)に画布裏(がふり)に往来している。
いわんや山をや水をや他人をや。
那美さんの行為動作といえどもただそのままの姿と見るよりほかに致し方がない。
232:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/06 03:08:26 0
狂つた智恵子は口をきかない
ただ尾長や千鳥と相図する
防風林の丘つづき
いちめんの松の花粉は黄いろく流れ
五月晴(さつきばれ)の風に九十九里の浜はけむる
智恵子の浴衣(ゆかた)が松にかくれ又あらはれ
白い砂には松露がある
わたしは松露をひろひながら
ゆつくり智恵子のあとをおふ
尾長や千鳥が智恵子の友だち
もう人間であることをやめた智恵子に
恐ろしくきれいな朝の天空は絶好の遊歩場
智恵子飛ぶ
233:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/06 03:14:39 0
真昼(まひる) ルコント・ドゥ・リイル
「夏」の帝(みかど)の「真昼時(まひるどき)」は、大野(おほの)が原に広ごりて、
白銀色(しろがねいろ)の布引(ぬのびき)に、青天(あをぞら)くだし天降(あもり)しぬ。
寂(じやく)たるよもの光景(けしき)かな。耀く虚空(こくう)、風絶えて、
炎(ほのほ)のころも、纏(まと)ひたる地(つち)の熟睡(うまい)の静心(しづごころ)。
眼路眇茫(めぢびようぼう)として極(きはみ)無く、樹蔭(こかげ)も見えぬ大野らや、
牧(まき)の畜(けもの)の水かひ場(ば)、泉は涸(か)れて音も無し。
野末遙けき森陰は、裾(すそ)の界(さかひ)の線(すぢ)黒み、
不動の姿夢重く、寂寞(じやくまく)として眠りたり。
234:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/19 00:41:11 0
運慶は今太い眉(まゆ)を一寸(いっすん)の高さに横へ彫り抜いて、
鑿の歯を竪(たて)に返すや否や斜(は)すに、上から槌を
打(う)ち下(おろ)した。堅い木を一(ひ)と刻(きざ)みに削(けず)って、
厚い木屑(きくず)が槌の声に応じて飛んだと思ったら、
小鼻のおっ開(ぴら)いた怒り鼻の側面
がたちまち浮き上がって来た。その刀(とう)の入れ方がいかにも無遠慮であった。
そうして少しも疑念を挾(さしはさ)んでおらんように見えた。
「よくああ無造作(むぞうさ)に鑿を使って、
思うような眉(まみえ)や鼻ができるものだな」
と自分はあんまり感心したから独言(ひとりごと)のように言った。
するとさっきの若い男が、
「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。
あの通りの眉や鼻が木の中に埋(うま)っているのを、
鑿(のみ)と槌(つち)の力で掘り出すまでだ。
まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。
235:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/19 00:45:09 0
色の浅黒い眉毛(まみえ)の濃い大柄(おおがら)な女で、
髪を銀杏返(いちょうがえ)しに結(ゆ)って、
黒繻子(くろじゅす)の半襟(はんえり)のかかった素袷(すあわせ)で、
立膝(たてひざ)のまま、札(さつ)の勘定(かんじょう)をしている。
札は十円札らしい。
女は長い睫(まつげ)を伏せて
薄い唇(くちびる)を結んで一生懸命に、
札の数を読んでいるが、その読み方がいかにも早い。
しかも札の数はどこまで行っても尽きる様子がない。
膝(ひざ)の上に乗っているのはたかだか百枚ぐらいだが、
その百枚がいつまで勘定しても百枚である。
236:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/19 00:48:44 0
庄太郎は町内一の好男子(こうだんし)で、至極(しごく)善良な正直者である。
ただ一つの道楽がある。
パナマの帽子を被(かぶ)って、夕方になると水菓子屋(みずがしや)の店先へ腰をかけて、
往来(おうらい)の女の顔を眺めている。
そうしてしきりに感心している。そのほかにはこれと云うほどの特色もない。
237:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/19 00:51:45 0
遥(はるか)の青草原の尽きる辺(あたり)から
幾万匹か数え切れぬ豚が、群(むれ)をなして一直線に、
この絶壁の上に立っている庄太郎を目懸(めが)けて鼻を鳴らしてくる。
庄太郎は心(しん)から恐縮した。けれども仕方がないから、
近寄ってくる豚の鼻頭を、一つ一つ丁寧(ていねい)に檳榔樹の洋杖で打っていた。
不思議な事に洋杖が鼻へ触(さわ)りさえすれば豚はころりと谷の底へ落ちて行く。
覗(のぞ)いて見ると底の見えない絶壁を、
逆(さか)さになった豚が行列して落ちて行く。
自分がこのくらい多くの豚を谷へ落したかと思うと、
庄太郎は我ながら怖(こわ)くなった。
けれども豚は続々くる。
黒雲に足が生(は)えて、青草を踏み分けるような勢いで無尽蔵(むじんぞう)に鼻を鳴らしてくる。
238:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/19 00:57:23 0
死にますとも、と云いながら、女はぱっちりと眼を開(あ)けた。大き
な潤(うるおい)のある眼で、長い睫(まつげ)に包まれた中は、ただ一面に
真黒であった。その真黒な眸(ひとみ)の奥に、自分の姿が鮮(あざやか)に
浮かんでいる。
自分は透(す)き徹(とお)るほど深く見えるこの黒眼の色沢(つや)を眺め
て、これでも死ぬのかと思った。それで、ねんごろに枕の傍(そば)へ口を付け
て、死ぬんじゃなかろうね、大丈夫だろうね、とまた聞き返した。すると女は黒
い眼を眠そうに(みはっ)たまま、やっぱり静かな声で、でも、死ぬんですもの
、仕方がないわと云った。
239:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/19 01:02:06 0
奥歯を強く咬(か)み締(し)めたので、鼻から熱い息が荒く出る。
こめかみが釣って痛い。眼は普通の倍も大きく開けてやった。
懸物(かけもの)が見える。行灯が見える。畳(たたみ)が見える。
和尚の薬缶頭(やかんあたま)がありありと見える。
鰐口(わにぐち)を開(あ)いて嘲笑(あざわら)った声まで聞える。
怪(け)しからん坊主だ。どうしてもあの薬缶を首にしなくてはならん。
悟ってやる。
無だ、無だと舌の根で念じた。
無だと云うのにやっぱり線香の香(におい)がした。何だ線香のくせに。
240:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 17:56:57 0
『変形の記録』(安部公房) 皇軍の少将閣下が銃撃されて死に、
彼の魂は肉体から離れる。閣下の魂は、飢えて昏睡状態の浮浪児を見つ
け、その魂を追い出して身体を乗っ取る。浮浪児の魂は「小父さん。困るよ」と言って後を
追うが、身体にさわることができない。どうやら、死んだ閣下の肉体
も、かつて乗っ取られたものであるらしかった
241:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 17:59:00 0
『完全映画(トータル・スコープ)』(安部公房)
東洋映画会社は諸方面から多額の資金を集め、観客が映
画の内容をそのまま事実として体験できる、「完全映画
」を開発する。しかし、試写会で『怪獣ゾガバの東京見
物』を体験したAはゾガバ同様に狂暴化し、『ナポレオ
ンの生涯』を体験したBは肉体が消滅してしまうなど、
思わぬ事態が起こり、「完全映画」開発は失敗に終わる
(*実はこれは、破産寸前の東洋映画が金を集めるための詐欺だった)。
242:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 18:00:37 0
『ユープケッチャ』(安部公房) ユープケッチ
ャは体長一センチ五ミリの昆虫で、自分の糞を主食と
する。移動する必要がないため肢は退化して、なくなっ
てしまった。ユープケッチャは体を左に回転させつつ食べ、
食べながら脱糞する。糞はつねにきれいな半円を描く(*→
〔箱船(方舟)〕2の『方舟(はこぶね)さくら丸』にも、
自給自足の閉鎖系の象徴として、この虫が出てくる)
243:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 18:10:13 0
『バベルの塔の狸』(安部公房)
詩人の「ぼく」が公園のベンチに坐っていると、「ぼ
く」の日頃の空想から生まれた「とらぬ狸」
が現れ、「ぼく」の影をくわえて逃げる。影がなけれ
ば、影の原因の肉体も消えるのが当然で、「ぼく」は透明人間になる。
「ぼく」は、人間たちの空想の集積であるバベルの塔を訪れるが、気
づくと再び公園のベンチに坐っていた。
244:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 21:24:41 0
『他人の顔』(安部公房) 実験中に液体空気が爆発し、
「ぼく」の顔はケロイド瘢痕におおわれる。以来、妻との夫婦
関係も絶える。「ぼく」は合成樹脂の仮面を作り、他人の顔を手に
入れ、妻を誘惑する→〔妻〕6c。
245:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 21:27:26 0
『闖入者』(安部公房) 深夜、見知らぬ九人家族が、独身のK君の
住む安アパートを訪れ、部屋に上がりこんで居すわる。多数決の原理に
よって、食事の用意などをK君は要求される。管理人や交番に助けを求めても取り合ってもらえず、弁護士の所へ行くと、彼も
また十三人の闖入家族に苦しめられている。K君は疲れ果てて縊死する。
246:矢印くん ◆Ripvkk4JmM
07/02/20 21:32:13 0
『カンガルー・ノート』(安部公房) 「ぼく」の脛
に、かいわれ大根が生え出し、皮膚科の医者は「私の手
には負えない」と言って、「ぼく」を自走ベッドに寝かせ
て追い出す。「ぼく」はベッドとともに賽の河原へ行き、病院へ行
き、最後に廃駅にたどり着く。かいわれ大根は脛に密生し、やがて「
ぼく」は駅構内で死ぬ→〔自己視〕3。
247:名無しさん@ピンキー
07/02/21 01:47:28 O
平野と丘陵の境界線には何があるの?
248:名無しさん@ピンキー
07/02/21 02:05:18 O
よし
やまだゆうすけ
みやべみゆき
ひがしのけいご
あさだじろう
249:名無しさん@ピンキー
07/02/21 09:20:40 O
カート・ヴォネガット
250:名無しさん@ピンキー
07/02/25 17:17:57 O
たのしい幼稚園
251:名無しさん@ピンキー
07/02/25 20:37:39 0
ブルーベリーってうまいの
252:名無しさん@ピンキー
07/02/25 20:48:09 O
楳図かずお
乙一
森博嗣
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