【神々の】ガロア生誕200周年記念スレ【愛でし人】 at MATH
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500:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 10:06:40.04
299 名前:Kummer ◆SgHZJkrsn08e :2011/11/15(火) 10:03:17.62
Galois理論の基本定理は体論の初歩が理解出来ていれば簡単に理解出来る。
実際、高木の代数的整数論では正味1ページ程度で(数体において)基本定理を証明している。
その証明はガロア生誕200周年記念スレの318と452とほぼ同じである。
しかし、方程式の可解性の必要十分条件はその方程式のGalois群が可解群となることという
Galoisの主定理の証明はそれほど簡単ではない。

501:132人目の素数さん
11/11/15 10:12:05.74
簡単だから。
簡単でないと思うのはお前が馬鹿な証拠

502:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 10:32:43.45
命題 197
L/K を有限(>>87)なGalois拡大(>>251)とし、そのGalois群(>>251)を G とする。
M_1、M_2、...、M_r を L/K の中間体(>>309)とする。
H_i = Aut(L/M_i)、i =1、...、r とする。
H_i、i =1、...、r で生成される G の部分群を H とする。
このとき、Aut(L/(M_1)∩...∩(M_r)) = H である。

証明
Galois理論の基本定理(>>451)と>>454の 1) より明らかであるが、一応証明しよう。
>>451より (M_1)∩...∩(M_r) = L^H (>>311) を証明すれば良い。

α ∈ L^H なら α ∈ L^(H_i)、i = 1、...、r である。
>>451より、L^(H_i) = M_i であるから α ∈ (M_1)∩...∩(M_r) である。

逆に α ∈ (M_1)∩...∩(M_r) なら α ∈ L^(H_i)、i = 1、...、r である。
H の元は各 H_i の元の積として表されるから α ∈ L^H である。
証明終

503:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 10:45:05.61
命題 198
L/K をGalois拡大(>>251)とする。
F/K を任意の拡大(>>82)とする。
このとき LF/F はGalois拡大である。
ここで LF は L と F の合成体(>>132)である。

証明
>>171より、LF/F は正規拡大(>>163)である。
>>284より、LF/F は分離代数的(>>247)である。
よって、LF/F はGalois拡大である。
証明終

504:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 12:15:42.03
次の命題はGaloisの主定理(>>85)の証明において重要な役割をする。

505:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 12:17:16.17
命題 199
L/K を有限(>>87)なGalois拡大(>>251)とする。
F/K を任意の拡大(>>82)とする。
>>503より、LF/F はGalois拡大である。
K ⊂ L∩F ⊂ L であるから>>310より L/L∩F はGalois拡大である。
このとき、任意の σ ∈ G(LF/F) (>>251)に対して σ の L への制限 σ|L は
G(L/(L∩F)) の元である。
σ ∈ G(LF/F) に σ|L ∈ G(L/(L∩F)) を対応させる写像 λ は
G(LF/F) から G(L/(L∩F)) への同型である。

証明
>>166より、任意の σ ∈ G(LF/F) に対して σ(L) = L である。
よって、σ|L ∈ G(L/(L∩F)) である。
λ:G(LF/F) → G(L/(L∩F)) が準同型であることは明らかである。
σ が λ の核の元なら σ は L の各元を固定する。
一方、σ は F の各元を固定するから σ = 1 である。
よって、λ は単射である。
よって、λ が全射であることを証明すればよい。
λ の像を H とする。
H = G(L/(L∩F)) を示せばよい。
それにはGalois理論の基本定理(>>451)より L∩F = L^H を示せばよい。
α ∈ L∩F とする。
α ∈ F だから、任意の σ ∈ G(LF/F) に対して σ(α) = α である。
即ち α ∈ L^H である。
よって、L∩F ⊂ L^H である。

逆に α ∈ L^H とする。
任意の σ ∈ G(LF/F) に対して σ|L ∈ H であるから σ(α) = α である。
よって、Galois理論の基本定理(>>451)より、α ∈ F である。
よって、α ∈ L∩F である。
よって、L^H ⊂ L∩F である。
証明終

506:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 12:21:13.10
>>505は L/K が有限でなくても成り立つ。
その証明には無限次Galois理論が必要である。

507:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 15:20:24.98
命題 200
L_1/K、...、L_n/K をGalois拡大(>>251)とする。
G_i = G(L_i/K)、i = 1、...、n とおく。
E を L_1、...、L_n の合成体(>>291)とする。
このとき、E/K はGalois拡大である。
G = G(E/K) とおく。
σ ∈ G に (σ|L_1、...、σ|L_n) ∈ (G_1)×...×(G_n) を
対応させることにより写像 λ:G → (G_1)×...×(G_n) が定義される。
ここで σ|L_i、i = 1、...、n は σ の定義域を L_i に制限した写像である。
このとき、λ は単射準同型である。

証明
>>173(と n に関する帰納法)より、E/K は正規拡大である。
>>284>>137(と n に関する帰納法)より、E/K は分離代数的である。
よって、E/K はGalois拡大である。

>>166より、任意の σ ∈ G(E/K) に対して σ|L_i ∈ G_i、i = 1、...、n となる。
よって写像 λ:G → (G_1)×...×(G_n) が定義される。
λ が準同型であることは明らかである。
σ ∈ G(E/K) が各 L_i の全ての元を固定すれば、σ は E の全ての元を固定する。
よって、σ = 1 である。
よって、λ は単射である。
証明終

508:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 15:38:52.08
命題 201
L_1/K と L_2/K を有限(>>87)なGalois拡大(>>251)とする。
G_i = G(L_i/K)、i = 1、2 とおく。
E を L_1 と L_2 の合成体(>>291)とする。
G = G(E/K) とおく。
>>507より E/K はGalois拡大である。
このとき、L_1 ∩ L_2 = K であれば、>>507の λ:G → (G_1)×(G_2) は同型である。

証明
>>507より、λ は単射準同型であるから λ が全射であることを証明すればよい。
>>505より、任意の τ_1 ∈ G_1 に対して σ_1 ∈ G(E/L_2) で σ_1|L_1 = τ_1 となるものがある。
σ_1|L_2 = 1 だから λ(σ_1) = (τ_1、1) である。
同様に、任意の τ_2 ∈ G_2 に対して σ_2 ∈ G(E/L_1) で σ_2|L_2 = τ_2 となるものがある。
σ_2|L_1 = 1 だから λ(σ_2) = (1、τ_2) である。
このとき、λ(σ_1σ_2) = λ(σ_1)λ(σ_2) = (τ_1、1)(1、τ_2) = (τ_1、τ_2)
よって、λ は全射である。
証明終

509:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 15:41:21.60
>>508は L_1/K と L_2/K が有限でなくても成り立つ(>>506参照)。

510:132人目の素数さん
11/11/15 15:45:13.66
クズ。お前に才能はなし。

511:猫 ◆MuKUnGPXAY
11/11/15 15:48:09.01
>>510
才能が無いクズはオマエや。




512:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 16:27:00.68
定義 202
L/K を拡大(>>82)とする。
L = K(α)、α^n ∈ K となる α ∈ L と整数 n ≧ 1 があるとき L/K を単冪根拡大と呼ぶ。

513:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 16:36:16.82
定義 203
K = K_0 ⊂ K_1 ⊂ ...⊂ K_n = L を体(>>82)の増大列とする。
各 K_i/K_(i-1)、i = 1、...、n が単冪根拡大(>>512)であるとき
L/K を冪根拡大(radical extension)と呼ぶ。

514:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 16:40:57.71
定義 204
L/K を拡大(>>82)とする。
冪根拡大(>>513) E/K があり L ⊂ E となるとき L/K を可解拡大という。

515:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 16:45:45.76
定義 205
K を体(>>82)とし、f(X) ∈ K[X] を定数でない多項式とする。
f(X) の最小分解体(>>149)が K 上可解(>>514)となるとき f(X) を(K 上)可解という。

516:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 17:57:48.17
命題 206
n ≧ 1 を Ω(>>82)の標数で割れない整数とする。
このとき、多項式 X^n - 1 の Ω における根の全体は Ω の乗法群の
位数 n の巡回部分群である。

証明
X^n - 1 の Ω における根の全体は明らかに Ω の乗法群の有限部分群である。
よって、>>332より巡回群である。
この群を G とする。
n = 1 なら |G| = 1 である。
よって、n ≧ 2 とする。
X^n - 1 の導多項式(>>182)は nX^(n-1) であるから
Ωの標数の仮定より、nX^(n-1) ≠ 0 である。
よって、nX^(n-1) の根は 0 のみである。
よって、X^n - 1 と nX^(n-1) は共通根を持たない。
よって、>>190より、X^n - 1 は重根(>>189)を持たない。
よって、|G| = n である。
証明終

517:132人目の素数さん
11/11/15 18:23:46.72
つぶやき猫

518:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 20:06:41.38
命題 207
Ω(>>82)の標数(>>214)を p ≠ 0 とする。
n ≧ 2 を p で割れる整数とし、 n = (p^e)m とする。
ここで m は p で割れない整数である。
このとき、多項式 X^n - 1 の Ω における根の全体は Ω の乗法群の
位数 m の巡回部分群である。

証明
A = Ω[X] は>>219の条件を満たす可換環である。
よって、X^n - 1 = (X^m - 1)^(p^e) である。
よって、本命題は>>516より直ちに得られる。
証明終

519:猫 ◆MuKUnGPXAY
11/11/15 20:07:01.45
つぶしや猫




520:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 21:08:12.69
定義 208
n ≧ 1 を整数とする。
X^n - 1 の Ω(>>82) における根を 1 の n 乗根と言う。
n が Ωの標数(>>214)で割れないとき、>>516より 1 の n 乗根全体は
Ω の乗法群の位数 n の巡回部分群である。
この巡回部分群の生成元を 1 の原始 n 乗根と言う。

521:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 21:35:09.42
定義 209
K を体(>>82)とする。
n ≧ 1 を整数とする。
X^n - 1 の K 上の最小分解体(>>149)を K 上の位数 n の円分体(cyclotomic field)と言う。

522:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 21:39:09.44
記法
A を環とする。
A の可逆元全体のなす群を A^* と書く。

523:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/15 22:31:32.37
命題 210
n ≧ 1 を Ω(>>82)の標数(>>214)で割れない整数とする。
K を体(>>82)とする。
このとき、K 上の位数 n の円分体(>>521) L はGalois拡大(>>251)であり、
そのGalois群は (Z/nZ)^* の部分群に同型である。
ここで Z は有理整数環である。
よって、L/K はAbel拡大(>>490)である。

証明
>>516より X^n - 1 は分離的(>>193)である。
よって、>>322より、L/K は有限(>>87)なGalois拡大(>>251)である。
G を L/K のGalois群(>>251)とする。
>>516より、多項式 X^n - 1 の Ω における根の全体は Ω の乗法群の位数 n の巡回部分群である。
この群を μ_n とする。
L = K(μ_n) である。
ζ を 1 の原始 n 乗根(>>520)とすると、μ_n の元はすべて ζ の冪である。
よって、L = K(ζ) である。
任意の σ ∈ G は μ_n の自己同型を引き起こす。
よって、σ(ζ) は 1 の原始 n 乗根である。
よって、σ(ζ) = ζ^i となる。
ここで、i は n と素な整数である。
ζ^i = ζ^k なら i ≡ k (mod n) である。
よって、σ ∈ G に i (mod n) ∈ (Z/nZ)^* を対応させることにより
写像 ψ:G → (Z/nZ)^* が得られる。
σ、τ ∈ G とし、σ(ζ) = ζ^i、τ(ζ) = ζ^k とする。
στ(ζ) = σ(ζ^k) = (σ(ζ))^k = ζ^(ik)
よって、ψ(στ) = ψ(σ)ψ(τ) である。
よって、ψ は準同型である。
ψ(σ) = 1 なら σ(ζ) = ζ
よって、σ = 1 である。
よって、σ は単射である。
証明終

524:132人目の素数さん
11/11/16 06:48:06.32
■■■■■■フジデモwith電通・朝日新聞 抗議デモ■■■■■■

日時    11月20日(日) 

場所     JR東京駅八重洲南口から徒歩約8分

       地下鉄有楽町線銀座一丁目駅7番出口から徒歩約1分

集合場所  水谷橋公園

集合時間  12時30分 

出発時間  12時45分 雨天決行

主催    2ch大規模off フジデモwith朝日新聞・電通抗議デモ 実行委員会



525:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 12:43:47.93
命題 211
n ≧ 1 を Ω(>>82)の標数(>>214)で割れない整数とする。
よって、>>516より、Ω は 1 の原始 n 乗根(>>520) ζ を含む。
K を体(>>82)とし、ζ ∈ K とする。
a ∈ K とし、X^n - a の Ω における根を α とする。
このとき、K(α)/K は巡回拡大(>>491)であり、
[K(α) : K] は n の約数である。

証明
a = 0 の場合は自明であるから a ≠ 0 と仮定する。
よって、α ≠ 0 である。
α、αζ、...、αζ^(n-1) は X^n - a の相異なる根である。
よって、X^n - a は分離的(>>193)である。
よって、>>450より、X^n - a の K 上の最小分解体(>>149) L は K のGalois拡大(>>251)である。
L = K(α、αζ、...、αζ^(n-1)) であるが ζ ∈ K であるから L = K(α) である。
G を L/K のGalois群(>>251)とする。
>>516より、多項式 X^n - 1 の Ω における根の全体は Ω の乗法群の位数 n の巡回部分群である。
この群を μ_n とする。
σ ∈ G に対して σ(α) は X^n - a の根であるから σ(α) = ωα、ω ∈ μ_n と書ける。
σ ∈ G にこの ω ∈ μ_n を対応させることにより写像 ψ:G → μ_n が得られる。
よって σ(α) = ψ(σ)α である。
σ、τ ∈ G のとき στ(α) = σ(ψ(τ)α) = ψ(τ)σ(α) = ψ(τ)ψ(σ)α
よって、ψ(στ)α = ψ(τ)ψ(σ)α
α ≠ 0 であるから ψ(στ) = ψ(τ)ψ(σ)
よって、ψ:G → μ_n は準同型である。
L = K(α) であるから σ(α) = α なら σ = 1 である。
よって、ψ は単射である。
よって、G は μ_n の部分群に同型である。
よって、G は巡回群であり、|G| = [K(α) : K] は n の約数である。
証明終

526:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 12:59:48.10
命題 212
>>525と同じ条件の下で d = [K(α) : K] とすると α^d ∈ K である。
よって、α^m ∈ K となる整数 m ≧ 1 の最小値が n であれば
[K(α) : K] = n となる。
よって、このとき X^n - a は K[X] において既約である。

証明
|ψ(G)| = |G| = d であるから、任意の σ ∈ G に対して ψ(σ)^d = 1 である。
よって、σ(α^d) = (σ(α))^d = (ψ(σ)α)^d = α^d
よって、Galois理論の基本定理(>>451)より、α^d ∈ K である。
証明終

527:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 13:20:35.00
>>117の証明は次のようしたほうが良い。
f(X) = g(X)h(X) とする。ここで、g(X)、h(X) ∈ K[X] であり、deg g(X) ≧ 1、deg h(X) ≧ 1 である。
f(α) = g(α)h(α) = 0 であるから g(α) = 0 または h(α) = 0 である。
しかし、deg g(X) < deg f(X) であるから g(α) ≠ 0 である。
同様に h(α) ≠ 0 である。

528:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 13:22:30.53
命題 213
p を Ω(>>82)の標数(>>214)と異なる素数とする。
よって、>>516より、Ω は 1 の原始 p 乗根(>>520) ζ を持つ。
K を体(>>82)とし、ζ ∈ K とする。
a ∈ K とし、X^p - a は K において根を持たないとする。
このとき、X^p - a は K[X] において既約である。

証明
X^p - a の Ω における根を α とする。
>>525より、[K(α) : K] は p の約数である。
よって、[K(α) : K] = p または [K(α) : K] = 1 である。
仮定より、[K(α) : K] ≠ 1 であるから [K(α) : K] = p である。
よって、X^p - a は α の K 上の最小多項式(>>116)である。
よって、>>117より X^p - a は K[X] において既約である。
証明終

529:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 14:26:07.55
次の命題が示すように>>528は ζ ∈ K でなくとも成り立つ。

530:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 14:30:49.74
命題 214
p を Ω(>>82)の標数(>>214)と異なる素数とする。
K を体(>>82)とする。
a ∈ K とし、X^p - a は K において根を持たないとする。
このとき、X^p - a は K[X] において既約である。

証明
>>516より、Ω は 1 の原始 n 乗根(>>520) ζ を持つ。
X^p - a の Ω における根の一つを α とする。
α は K に含まれないから α ≠ 0 である。
よって、α、αζ、...、αζ^(p-1) は X^p - a の相異なる根である。
X^p - a = g(X)h(X) とする。
ここで、g(X) と h(X) は K[X] のモニックな多項式で、1 ≦ deg g(X) < p とする。
g(X) の根は αζ^i の形であるから g(X) の定数項を b とすると、
b = ±(α^kζ^m) である。ここで、k = deg g(X) である。
この両辺を p 乗する。α^p = a、ζ^p = 1 であるから、
p が奇素数であれば b^p = ±a^k である。
p = 2 なら b^p = a^k である。
p が奇素数で b^p = -a^k のとき (-b)^p = -b^p = a^k
よって、どの場合でも c^p = a^k となる c ∈ K がある。

Γ = K^* (>>522)とおき、Γ^p = {x^p; x ∈ Γ} とおく。
Γ^p は Γ の部分群である。
π:Γ → Γ/Γ^p を標準的な準同型とする。
即ち、π(x) = x (mod Γ^p) である。
α = π(a) とおく。
X^p - a は K において根を持たないから α ≠ 1 である。
一方、α^p = π(a^p) = 1
よって、群 Γ/Γ^p の元として α の位数は p である。
しかし、c^p = a^k より α^k = 1 である。
1 ≦ k < p であるから、これは矛盾である。
証明終

531:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 16:52:56.94
定義 215
A を可換環とする。
a ∈ A^* (522)と b ∈ A に対して写像 λ:A → A を λ(x) = ax + b で定義する。
この写像を φ(a, b) と書く。
φ(a, b) = φ(1, b)φ(a, 0) である。
φ(a, 0) と φ(1, b) はそれぞれ全単射であるから φ(a, b) も全単射である。
φ(a, b)(0) = b
φ(a, b)(1) = a + b
よって、a = φ(a, b)(1) - φ(a, b)(0)
よって、a と b は写像 φ(a, b) により一意に決まる。

(a, b)、(c, d) ∈ (A^*)×A のとき
φ(a, b)φ(c, d)(x) = a(cx + d) + b = acx + ad + b
よって、φ(a, b)φ(c, d) = φ(ac, ad + b) である。
よって、φ(a, b)φ(a^(-1), -(a^(-1))b) = φ(1, 0)
φ(1, 0) は A の恒等写像であるから φ(a^(-1), -(a^(-1))b) は φ(a, b) の逆写像である。

以上から {φ(a, b); (a, b) ∈ (A^*)×A} は集合 A 上の対称群 Sym(A) の部分群である。
この群を A 上の一次の一般affine群と言い、Aff(1, A) と書く。

532:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 17:11:46.72
>>531
Aff(1, A) の元を A 上の一次のaffine変換と言う。

533:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 17:29:16.40
A を可換環とする。
>>531の記号で (a, b)、(c, d) ∈ (A^*)×A のとき
φ(a, b)φ(c, d) = φ(ac, ad + b) であった。
よって、φ(a, b) に a を対応させる写像 f:Aff(1, A) → A^* は準同型である。
f の核は N = {φ(1, b); b ∈ A} である。
よって、N は Aff(1, A) の正規部分群である。
f は全射であるから Aff(1, A)/N は A^* に同型である。
よって |Aff(1, A)/N| = |A^*| (>>180)
よって、|Aff(1, A)| = |N||A^*|
一方、|N| = |A| であるから |Aff(1, A)| = |A||A^*| である。

b, c ∈ A のとき φ(1, b)φ(1, c) = φ(1, b + c)
よって、b ∈ A に φ(1, b) ∈ N を対応させる写像は A の加法群から N への準同型である。
この写像は単射であるから N は A の加法群に同型である。

H = {φ(a, 0); a ∈ A^*} とおく。
a ∈ A^* に φ(a, 0) を対応させる写像は単射準同型である。
よって、H は A^* に同型である。
(a, b) ∈ (A^*)×A のとき φ(a, b) = φ(1, b)φ(a, 0) であるから
Aff(1, A) = NH である。
明らかに N ∩ H = {1} である。

534:検便のナウシカ ◆UVkh7uHFoI
11/11/16 19:13:55.71
リンク貼ってくれてるから読むのに助かる

535:132人目の素数さん
11/11/16 19:15:50.80
じゃあ俺はハルヒ

536:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 20:15:51.88
定義 216
G を群とし、N をその正規部分群、H をその部分群とする。
G = NH、N ∩ H = {1} となるとき G を N と H の半直積と言う。

537:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 21:14:44.77
命題 217
G を群とし、N をその正規部分群、H をその部分群とする。
以下の条件は互いに同値である。

(1) G は N と H の半直積(>>536)である。
(2) G = HN、N ∩ H = {1}
(3) G の任意の元 g は g = nh、n ∈ N、h ∈ H と一意に書ける。
(4) G の任意の元 g は g = hn、h ∈ H、n ∈ N と一意に書ける。
(5) 標準単射 ι:H → G と標準全射 π:G → G/N の合成は H と G/N の同型である。
(6) 準同型 μ:G → H で H 上で恒等写像になり、Ker(μ) = N となるものがある。

証明
(1) ⇔ (2):HN = NH より明らか。
(1) ⇒ (3):
G = NH だから g = nh、n ∈ N、h ∈ H と書ける。
nh = mk、n、m ∈ N、h、k ∈ H とする。
m^(-1)n = kh^(-1) ∈ N ∩ H = {1}
よって、n = m、h = k

(3) ⇒ (1):
G = NH である。
g ∈ N ∩ H とする。
g = g1 = 1g
g ∈ N、g ∈ H だから一意性より g = 1 である。
よって、N ∩ H = {1}

(2) ⇔ (4):上と同様

(続く)

538:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 21:15:40.73
>>537の続き

2) ⇒ 5)
λ = πι とおく。
λ(H) = HN/N = G/N である。
Ker(λ) = H ∩ N = {1}
よって、λ:H → G/N は同型である。

5) ⇒ 6)
λ = πι とおく。
λ:H → G/N は同型である。
μ = λ^(-1)π とおく。
h ∈ H のとき μ(h) = λ^(-1)π(h) = λ^(-1)λ(h) = h
任意の g ∈ G に対して μ(g) = λ^(-1)π(g)
λ^(-1) は同型だから μ(g) = 1 と π(g) = 1 は同値である。
よって、Ker(μ) = N

6) ⇒ 1)
任意の g ∈ G に対して μ(g) = h とおく。
h ∈ H である。
μ(gh^(-1)) = μ(g)μ(h^(-1)) = hh^(-1) = 1
よって、gh^(-1) ∈ N である。
よって、g ∈ Nh ∈ NH
よって、G = NH
h ∈ N ∩ H とする。
h = μ(h) = 1
よって N ∩ H = {1}
証明終

539:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 21:20:37.17
A を可換環とする。
>>533より Aff(1, A) (>>531)は N = {φ(1, b); b ∈ A} と
H = {φ(a, 0); a ∈ A^*} の半直積(>>536)である。

540:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 22:17:21.63
命題 218
L/K を有限(>>87)なGalois拡大(>>251)とする。
E と F を L/K の中間体(>>309)とする。
以下の条件が成り立つとする。

1) E/K はGalois拡大である。

2) L = EF (>>132)

3) E ∩ F = K

G = G(L/K) (>>251)、N = Aut(L/E) (>>123)、H = Aut(L/F) とおく。
>>485より、N は G の正規部分群である。
このとき G は N と H の半直積(>>536)である。

証明
>>505より、η ∈ H = G(EF/F) に η|E ∈ G(E/(E ∩ F)) = G(E/K) を対応させる写像は同型である。
一方、>>488より、σ ∈ G に σ|E ∈ G(E/K) を対応させる写像は全射準同型であり、
その核は N である。

上記から任意の σ ∈ G に対して σ|E = η|E となる η ∈ H が一意に存在する。
η^(-1)σ|E は E の恒等写像であるから η^(-1)σ ∈ N である。
よって、σ ∈ HN である。
τ ∈ N ∩ H とすると τ は E と F の元を固定する。
L = EF だから τ = 1 である。
よって、N ∩ H = {1} である。
よって、>>537の (2) より G は N と H の半直積である。
証明終

541:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 22:19:16.66
>>540は L/K が有限でなくても成り立つ(>>506参照)。

542:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 22:44:48.37
命題 219
n ≧ 1 を Ω(>>82)の標数(>>214)で割れない整数とする。
K を体(>>82)とする。
a ∈ K とし、X^n - a の K 上の最小分解体(>>149) を L とする。
このとき L/K はGalois拡大(>>251)である。
G をそのGalois群(>>251)とする。
このとき、G は Aff(1, Z/nZ) (>>531)の部分群に同型である。
ここで Z は有理整数環である。

証明
>>516より、Ω は 1 の原始 n 乗根(>>520) ζ を含む。
X^n - a の Ω における根の一つを α とする。
a = 0 の場合は G = {1} であり、本命題は自明であるから a ≠ 0 と仮定する。
よって、α ≠ 0 である。
よって、α、αζ、...、αζ^(n-1) は X^n - a の相異なる根である。
よって、X^n - a は分離的(>>193)である。
よって、>>450より L/K はGalois拡大(>>251)である。
L = K(α、αζ、...、αζ^(n-1)) であるが α ≠ 0 より、ζ = (αζ)/α ∈ L である。
よって、L = K(α、ζ) である。

(続く)

543:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/16 22:45:35.49
>>542の続き

任意の σ ∈ G に対して σ(ζ) は 1 の原始 n 乗根であるから σ(ζ) = ζ^b、b ∈ Z と書ける。
このとき b は n と素である。
ζ^b = ζ^e なら b ≡ e であるから b (mod n) は σ により一意に決まる。
このとき、b (mod n) ∈ (Z/nZ)^* (>>522)である。

一方、σ(α) は X^n - a の根であるから σ(α) = αζ^c、c ∈ Z と書ける。
上と同じ理由により c (mod n) は σ により一意に決まる。

よって、σ ∈ G に対して (b mod n、c mod n) ∈ (Z/nZ)^*×(Z/nZ) が定まる。
よって、φ(σ) = (b mod n、c mod n) と定義することにより
写像 φ:G → (Z/nZ)^*×(Z/nZ) が得られる。
L = K(α、ζ) であるから任意の σ ∈ G は σ(α) と σ(ζ) で決まる。
よって、φ は単射である。

σ、τ ∈ G とし、φ(σ) = (b mod n、c mod n)、φ(τ) = (d mod n、e mod n) とする。
στ(ζ) = σ(ζ^d) = ζ^(bd)
στ(α) = σ(αζ^e) = (αζ^c)ζ^(be) = αζ^(be + c)
よって、φ(στ) = (bd mod n、be + c mod n)
よって、>>531より φ は G から Aff(1, Z/nZ) への単射準同型と見なせる。
証明終

544:132人目の素数さん
11/11/16 22:48:06.19
くまーさんって、血の通った人間なのだろうか。
淡々と書き込んでる様子を想像できない。

545:猫 ◆MuKUnGPXAY
11/11/16 23:22:50.01
>>544
アンタ等みたいに大脳が腐ってるよりもよっぽどマシ。




546:132人目の素数さん
11/11/16 23:53:27.90
ガロア支援してやろう

547:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 00:42:51.78
命題 220
p を Ω(>>82)の標数(>>214)と異なる素数とする。
>>516より、Ω は 1 の原始 n 乗根(>>520) ζ を含む。
K を体(>>82)とする。
[K(ζ) : K] = p - 1 とする。
a ∈ K とし、X^p - a は K において根を持たないとする。
X^n - a の K 上の最小分解体(>>149) を L とする。
このとき L/K はGalois拡大(>>251)であり、
そのGalois群(>>251) G は Aff(1, Z/pZ) (>>531)に同型である。
ここで Z は有理整数環である。

証明
X^n - a の Ω における根を α とする。
α は K に含まれないから α ≠ 0 である。
>>542の証明と同様に L/K はGalois拡大であり、L = K(α、ζ) である。

>>530より、X^p - a は K[X] において既約である。
よって、[K(α) : K] = p である。
よって、[K(α) : K] > [K(ζ) : K] である。
よって、[K(α、ζ) : K(ζ)] > 1 である。
一方、>>525より、[K(α、ζ) : K(ζ)] は p の約数である。
よって、[K(α、ζ) : K(ζ)] = p である。
よって、>>88より、[K(α、ζ) : K] = [K(α、ζ) : K(ζ)][K(ζ) : K] = p(p-1)
一方、>>542より、G は Aff(1, Z/pZ) の部分群に同型である。
>>533より、|Aff(1, Z/pZ)| = p(p-1) であるから G は Aff(1, Z/pZ) に同型である。
証明終

548:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 00:48:06.62
>>547の条件の一つである [K(ζ) : K] = p - 1 は K が有理数体の場合に成り立つ。
このことは代数的整数論003の162で証明されている。

549:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 01:39:18.53
n ≧ 1 を Ω(>>82)の標数(>>214)で割れない整数とする。
K を体(>>82)とする。
a ∈ K とし、X^n - a の K 上の最小分解体(>>149) を L とする。
>>542より、L/K はGalois拡大(>>251)である。
G をそのGalois群(>>251)とする。
>>516より、Ω は 1 の原始 n 乗根(>>520) ζ を持つ。
X^n - a の Ω における根の一つを α とする。
>>542の証明で示したように L = K(α、ζ) である。
>>523より、K(ζ)/K Galois拡大であり、 そのGalois群は (Z/nZ)^* の部分群に同型である。
L = K(α、ζ) = K(ζ)(α) であるから>>525より、L/K(ζ) は巡回拡大(>>491)である。
N = G(L/K(ζ)) とおくと>>488より G/N は G(K(ζ)/K) (>>251)に同型である。
よって、N と G/N はともにabel群である。
よって、G は可解群(定義は次に述べる)である。

550:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 02:07:27.31
定義 221
G を群とする。
G の部分群の列 G = G_0 ⊃ G_1 ⊃ ... ⊃ G_n = {1} があり、
各 G_i(i = 1、...、n) は G_(i-1) の正規部分群であり、G_(i-1)/G_i がabel群であるとき
G を可解群と言う。

551:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 02:24:45.42
奇数位数の有限群は可解群である(Feit-Thompson 1963)。
Feit-Thompsonのこの論文は255ページと長大である。

552:132人目の素数さん
11/11/17 02:27:37.60
>>551
その大結果の証明は今だに
簡略化されていないの?

553:猫 ◆MuKUnGPXAY
11/11/17 02:27:42.17
有限群論という範疇の中でソコまでの主張が成立するのは素晴らしい事。




554:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 07:50:57.76
定義 222
G ≠ {1} を群とする。
G が G と {1} 以外の正規部分群を持たないとき G を単純群と言う。

555:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 07:52:26.63
定義 223
G を群とする。
G の部分群の列 G = G_0 ⊃ G_1 ⊃ ... ⊃ G_n = {1} があり、
各 G_i(i = 1、...、n) は G_(i-1) の正規部分群であり、G_(i-1)/G_i が単純群(>>554) であるとき
この列を G の組成列(composition series)と言う。
各 G_(i-1)/G_i をこの組成列の組成因子(composition factor)または因子と呼ぶ。
n をこの組成列の長さと呼ぶ。

556:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 08:16:16.69
命題 224
G を群とする。
N を G の正規部分群とし、H を G の部分群とする。
このとき、HN は G の部分群であり、N は HN の正規部分群である。
さらに、H ∩ N は H の正規部分群であり、H/(H ∩ N) は HN/N に同型である。

証明
HN = NH、(HN)(HN) = HHNN = HN
よって、HN は G の部分群である。
N ⊂ HN であるから N は HN の正規部分群である。
π:G → G/N を標準的な準同型とする。
π を H に制限した写像 π|H:H → G/N を考える。
π|H の像は HN/N である。
π|H の核は H ∩ N である。
よって、H/(H ∩ N) は HN/N に同型である。
証明終

557:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 08:48:02.63
命題 225
G を群とする。
G が長さ n の組成列(>>555)を持てば、G の任意の真正規部分群 N は、
長さ ≦ n - 1 の組成列を持つ。

証明
n に関する帰納法を使う。
n = 1 の場合は自明である。
n ≧ 2 とする。
G = G_0 ⊃ G_1 ⊃ ... ⊃ G_n = {1} を組成列とする。
>>556より、NG_1/G_1 は N/(N ∩ G_1) と同型である。
NG_1 = G_1 の場合、即ち N ⊂ G_1 の場合は帰納法の仮定より、
N は長さ ≦ n - 1 の組成列を持つ。
NG_1 ≠ G_1 の場合とする。
G ⊃ NG_1 ⊃ G であり、NG_1 は G の正規部分群であるから NG_1 = G である。
>>556より、N/(N ∩ G_1) は G/G_1 に同型であるから N/(N ∩ G_1) は単純群(>>554)である。
N ∩ G_1 = G_1 とすると N ⊃ G_1 となり、N = G または N = G_1 となって仮定に反する。
よって、N ∩ G_1 ≠ G_1 である。
よって、N ∩ G_1 は帰納法の仮定より長さ ≦ n - 2 の組成列を持つ。
よって、N は 長さ ≦ n - 1 の組成列を持つ。
証明終

558:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 10:13:11.38
命題 226
G を群とする。
H_1 ⊃ H_2 を G の部分群とし、H_2 は H_1 の正規部分群とする。
(H_1)/(H_2) は単純群であるとする。
N を G の正規部分群とする。
このとき、(H_1)N/(H_2)N は単純群であるか (H_1)N = (H_2)N である。

証明
標準準同型:(H_1)N → (H_1)N/(H_2)N を H_1 に制限することにより、
準同型 f:H_1 → (H_1)N/(H_2)N が得られる。
f は全射である。
f(H_2) = {1} であるから f は全射準同型 g:(H_1)/(H_2) → (H_1)N/(H_2)N を誘導する。
(H_1)/(H_2) は単純群であるから Ker(g) = {1} または Ker(g) = (H_1)/(H_2) である。
よって、(H_1)N/(H_2)N は (H_1)/(H_2) に同型であるから {1} である。
よって、(H_1)N/(H_2)N は単純群であるか (H_1)N = (H_2)N である。
証明終

559:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 10:56:44.27
命題 227
G を群とする。
H_1 ⊃ H_2 を G の部分群とし、H_2 は H_1 の正規部分群とする。
N を G の正規部分群とする。
このとき、全射準同型 g:(H_1)/(H_2) → (H_1)N/(H_2)N が存在する。

証明
>>558で証明されている。

560:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 11:07:13.60
命題 228
G を可解群(>>550)とする。
N を G の任意の正規部分群とする。
このとき、G/N は可解群である。

証明
G の部分群の列 G = G_0 ⊃ G_1 ⊃ ... ⊃ G_n = {1} があり、
各 G_i(i = 1、...、n) は G_(i-1) の正規部分群であり、G_(i-1)/G_i はabel群である。
列 G = (G_0)N ⊃ (G_1)N ⊃ ... ⊃ (G_n)N = N を考える。
>>559より、各 i に対して 全射準同型 (G_(i-1))/(G_i) → (G_(i-1))N/(G_i)N が存在する。
よって、各 (G_(i-1))N/(G_i)N はabel群である。
よって、G/N は可解群である。
証明終

561:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 11:47:55.43
命題 229(Jordan-Hoelderの定理)
G を群とする。
G = G_0 ⊃ G_1 ⊃ ... ⊃ G_n = {1} を組成列とする。
このとき、G の任意の組成列の長さは n であり、その組成因子の列は、
順序を別にして列 (G_(i-1)/G_i)、i = 1、...、n と同型である。

証明
n に関する帰納法を使う。
n = 1 の場合は自明である。
n ≧ 2 とする。
G = H_0 ⊃ H_1 ⊃ H_2 ... ⊃ H_m = 0 を別の組成列とする。
G_1 = H_1 なら帰納法の仮定から成り立つ。
よって、G_1 ≠ H_1 とする。
H_0 ⊃ (G_1)(H_1) ⊃ H_1 であるが (G_1)(H_1) ≠ H_1 であるから H_0 = (G_1)(H_1) である。
よって、>>556より G_1/(G_1 ∩ H_1) は H_0/H_1 と同型である。
同様に H_1/(G_1 ∩ H_1) は G_0/G_1 と同型である。

>>557より、G_1 ∩ H_1 は組成列を持つ。
よって、G_1 ⊃ G_1 ∩ H_1 ⊃ ... となる組成列がある。
帰納法の仮定からこの組成列の長さは n - 1 であり、
その組成因子の列は順序を別にして列 (G_(i-1)/G_i)、i = 2、...、n と同型である。
H_1 ⊃ G_1 ∩ H_1 ⊃ ... は長さは n - 1 の組成列である。
よって、帰納法の仮定から n - 1 = m -1 であり、よって n = m である。
その組成因子の列は順序を別にして列 (H_(i-1)/H_i)、i = 2、...、n と同型である。
よって、本命題が成り立つ(図を描いてみれば良くわかる)。
証明終

562:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 12:32:47.98
命題 230
有限群は組成列(>>555)を持つ。

証明
G を有限群とする。
G の位数 n に関する帰納法を使う。
n = 1 の場合は自明である。
n ≧ 2 とする。
G の正規部分群で G と異なるもの全体を Σ とする。
{1} ∈ Σ であるから Σ は空でない。
N を Σ の中で位数最大のものとする。
G/N は単純群である。
N の位数 ≦ n - 1 であるから帰納法の仮定から N は組成列を持つ。
よって、G は組成列を持つ。
証明終

563:132人目の素数さん
11/11/17 12:36:15.32
支援

564:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 12:49:54.74
命題 231
有限群が可解(>>550)であるためにはその任意の組成列(>>555)の各組成因子(>>555)が
素数位数を持つことであることが必要十分である。

証明
Jordan-Hoelderの定理(>>561)と、abel群が単純群(>>554)であれば、その位数は素数であることと、
逆に素数位数の群はabel群であることから本命題は直ちに得られる。
証明終

565:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 13:10:18.69
命題 232
可解群(>>550)の部分群は可解である。

証明
G を可解群とし、H をその部分群とする。
G の部分群の列 G = G_0 ⊃ G_1 ⊃ ... ⊃ G_n = {1} があり、
各 G_i(i = 1、...、n) は G_(i-1) の正規部分群であり、G_(i-1)/G_i はabel群である。
各 i に対して、π_i:G_(i-1) → G_(i-1)/G_i を標準的な準同型とする。
π_i は準同型 λ_i:H ∩ G_(i-1) → G_(i-1)/G_i を引き起こす。
この核は H ∩ G_i である。
よって、(H ∩ G_(i-1))/(H ∩ G_i) は G_(i-1)/G_i の部分群に同型であるからabel群である。
よって、H_i = H ∩ G_i、i = 0、1、...、n とおけば、
H = H_0 ⊃ H_1 ⊃ ... ⊃ H_n = {1} となり、
各 H_i(i = 1、...、n) は H_(i-1) の正規部分群であり、H_(i-1)/H_i はabel群である。
よって、H は可解群である。
証明終

566:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 13:15:08.74
命題 233
G を群とする。
N を G の正規部分群とする。
N と G/N が可解(>>550)であれば G も可解である。

証明
可解群の定義(>>550)から明らかである。

567:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 13:26:49.05
命題 234
G_1、...G_n を群とする。
G = (G_1)×...×(G_n) を直積とする。
このとき、G が可解(>>550)であるためには各 G_i が可解であることが必要十分である。

証明
必要性:
G が可解であるとする。
各 i に対して π_i:G → G_i を射影とする。
π_i の核を N_i とする。
G/N_i と G_i は同型であるから>>560より、G_i は可解である。

十分性:
各 G_i が可解であるとする。
n に関する帰納法を使う。
n = 1 の場合は自明である。
n ≧ 2 とする。
G/G_n は (G_1)×...×(G_(n-1)) に同型であるから帰納法の仮定より可解である。
よって、>>566より、G は可解である。
証明終

568:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 13:40:59.69
>>293の修正

定義 126
L/K を代数的拡大(>>90)とする。
L ⊂ E となる体(>>82) E で E/K が正規拡大(>>163)となるようなもの全体の集合を Ψ とする。
K~ を K の代数的閉包(>>128)とすると、K~ ∈ Ψ であるから Ψ は空でない。
N = ∩{E; E ∈ Ψ} は体であり、N ∈ Ψ である。
即ち N は Ψ の最小元である。
N を L/K の正規閉包(normal closure)という。

569:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 13:46:39.76
定義 235
L/K を分離代数的(>>248)な拡大(>>82)とする。
N を L/K の正規閉包(>>568)とする。
>>324より N/K はGalois拡大(>>251)である。
このとき、N/K を L/K のGalois閉包と呼ぶ。

570:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 14:28:37.12
命題 236
L/K をGalois拡大(>>251)とする。
σ: K → Ω (>>82) を任意の埋め込み(>>121)とする。
このとき、σ(L)/σ(K) はGalois拡大であり、G(L/K) (>>251)と G(σ(L)/σ(K)) は同型である。

証明
ほとんど自明であろう。

571:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 14:38:50.38
命題 237
K ⊂ M ⊂ L を体(>>82)の拡大の列とする。
M/K と L/M はそれぞれ有限(>>87)なGalois拡大(>>251)であるとする。
>>284より、L/K は分離代数的(>>248)である。
N を L/K のGalois閉包(>>569)とする。
G(M/K)(>>251) と G(L/M) はそれぞれ可解(>>550)であるとする。
このとき、G(N/K) は可解である。

証明
G = G(N/K) とおく。
>>306より、N は {σ(L):σ ∈ E(L/K) (>>262)} の合成体(>>291)である。
>>166より、任意の σ ∈ E(L/K) に対して σ(M) = M である。
よって、>>570より σ(L)/M はGalois拡大であり、G(σ(L)/M) は G(L/M) に同型である。
よって、G(σ(L)/M) は可解である。
>>507より G(N/M) は Γ = Π{G(σ(L)/M): σ ∈ E(L/K)} の部分群に同型である。
>>567より、Γ は可解である。
よって、>>565より G(N/M) は可解である。
M/K はGalois拡大であるから>>473より G(N/M) は G の正規部分群である。
>>488より G/G(N/M) は G(M/K) に同型であるから可解である。
よって、>>566より G は可解である。
証明終

572:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 15:51:58.09
定義 238
L/K をGalois拡大(>>251)とする。
そのGalois群(>>251)が可解(>>550)なとき L/K を可解なGalois拡大と言う。

573:Kummer ◆SgHZJkrsn08e
11/11/17 15:55:58.74
定義 239
L/K を拡大(>>251)とする。
可解(>>572)なGalois拡大 E/K があり L ⊂ E となるとき L/K を準可解拡大と言う。


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