【ガヴリールドロップ ..
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607:名無しさん@お腹いっぱい。
17/07/21 01:40:45.22 zZCix6ga0.net
「ヴィーネ」
太陽のように眩しい笑顔を湛えるヴィーネ。
「ヴィーネ…」
喜怒哀楽にころころと表情を変えるヴィーネ。
「ヴィーネぇ」
時に厳しく間違いを正すヴィーネ。
「ゔぃー…ね…」
記憶を掘り起こしながら、届くはずもない名前を呼びながら。
私は一人意識を手放した。
……
「ぐえ、もう朝か…」
けたたましく鳴り響く不快な音に無理矢理意識を覚醒させられる。
時間は…今から急いで準備して走ればギリギリ?っていったところかな。
「あほらし…そんな面倒なことやってられるかっての」
「この天使様の貴重なお時間を学校様に捧げてやってるんだ、迎えくらい寄越して欲しいね」
自分をそんな上等な天使様だと思ってるわけでも無いけど。
でも行かなかったらヴィーネに何言われることやら。
ヴィーネ。
その名前が一瞬頭を過ぎっただけで、つい先ほどまでの傲慢な思考は息を潜める。
ヴィーネに会える。たったそれだけの要素で退屈なはずの学校が極めて魅力的に見える。
利口なヴィーネのことだ、とっくに学校には着いてるだろう。
一緒に登校、とは行かないのが残念だけど。
「今日は気が向いたから、行ってあげようかな…」
……
「げほっげほっ、おぇ…」
やっぱり運動は苦手だ。
柄にも無く遅刻を免れようと張り切ってしまった。
「だ、大丈夫…?」
「遅刻しなかったのは偉いけど、朝から保健室の厄介にならないようにね?」
きた。
疲労感に伏せた私の顔を心配そうに覗き込むヴィーネ。
遅刻なんか私としてはどうでもいいし、ここまで身を削る義理も無い。
でも遅刻したり休んだりしたらこのヴィーネが悲しそうな表情をするのが嫌なんだ。これ以上の理由なんて無い。
全く誰のためだと思って。
と、理不尽極まりない不満を抱くがさすがに心に留めておこう。


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