【咲-Saki-】須賀京太 ..
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617:名無しさん@お腹いっぱい。
17/03/09 12:44:24.11 6fRCHnNd0.net
 幼い頃に受けた傷は意外と痕が残る。
 縫わなければいけない程の外傷ならば、間違いなく大なり小なり傷痕として証を刻む。
 じゃあ、目に見えない傷はどうだろうか。
 例えば、犬に咬まれたことで怯える者、悪戯の罰に倉に閉じ込められ暗所を怖れる者、高い所から落下して高所に心から震える者等々。
 精神に傷を残す体験がトラウマ、心的外傷を生み出す。
『京ちゃん』
 俺にもそれがある。
 忘れたくとも消えない、俺の精神を蝕む大きな傷があるんだ。
「…………」
「何を見てるんすか、京さん?」
 
 世界で人気を博す麻雀。
 この人気競技を取り扱う雑誌は数多存在し、その内の一つで取り上げられた女子高校生麻雀の特集記事。
 偶々開いていたページで俺の視線が留まっていることに桃子は気づいた。
「インハイチャンプの宮永照っすか」
 赤い髪に特徴的な癖毛。
 整った顔には笑みが乗り、暗い影など何もないとばかりの表情。写真の中の彼女は当に完璧なチャンピオン。
「知り合いっすか?」
「別に」
「そうすっか、……京さん」
 短い言葉から険を感じ取ったのか桃子は深く尋ねることなく身を寄せた。素肌の触れ合いに情念が少し再燃する。
「ん、あっ、……本当に京さんは胸が好きっすねぇ、んっ……」
 柔らかいおもちは手の中で形を変える。色素が薄く、固くなった先端を啄めば喘いだ声が桃子の口から零れた。
 そして衝動のままに身体を重ねる。
「ああ、京さん、んっ……あっ、ああ、あぁぁ、……京さぁん……」
 彼女は何度も艶声をあげ、シーツには皺と白濁と愛液で画かれた地図が出来た。
 疲れて寝入ってしまったように見える桃子の顔は安心と満ち足りた喜びの色で彩られている。
「照……」
 そんな彼女の隣に寝転がりながらも他の女のことを考えているのだから我ながら最低だ。
 そして明日は別の子と相瀬を伴にし、別の日にはまた違う子と過ごす予定なのだからどうしようもない。
 俺にはトラウマがある。
 忘れられない記憶がある。
 刻まれた思い出が俺を苛む。
『京ちゃん』
 幼馴染のお姉さん。
 憧れであり、初恋であり、大好きだった人。
「マセたガキさ



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