宗谷本線part17 ..
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176:名無し野電車区
08/08/10 14:40:24 WuIs/zkG0
夜通し走って来た急行「利尻」が抜海駅を緩慢としたスピードで通過する。
外はすっかり夜が明けているにもかかわらず、車内はまだ寝静まった人が多く、異様に静まり返っている。
聞こえているのはダタンダタン、ダタンダタン…という規則的な乾いたジョイントの音だけだ。
次は南稚内。もう間もなく終点というのに、不思議と下車支度をする慌ただしさがほとんどない。
「お早う放送」もまだ流れてこない。しかし、南稚内までの距離は11km余りもある。
時間にして約15分前後を要する長い道程だ。
とはいえ、この11kmの間が宗谷本線の最大の見所と信じている私は、もう既に洗面を済ませ、
目もぱっちり覚ましてこの先の車窓を楽しみに窓にかぶりついている。

今までサロベツ原野の端の方をほぼ直線的に走って来た線路は、終着駅を前にして緩やかではあるけれど、
うねった丘陵地帯を越えなくてはならない。そのため、右に、左に急なカーブが連続するようになる。
熊笹に覆われた丘陵越えにスピードは更に落ちる。
夏の旅行シーズン、ワイド周遊券を手にした若者たちで一杯の車両を10両以上つなげた「利尻」を、
たった1両で牽引するDD51には結構荷が重いんじゃないかというような走りっぷりだ。
でも、そのゆっくりとしたスピードのおかげで、一際間近に迫りくる利尻富士がスローモーションのように
左右に動く様は眺めていて飽きることがない。
しばらくして「利尻」は突然力行を止める。惰性で転がるも、登り坂でみるみる速度は落ちて行く。両脇の土手の熊笹が
手を延ばせばつかめてしまいそうだ。そして今にも止まりそうな速度まで落ちた時、突然進行左側の視界がゆっくりと、
しかし大胆に、ぶわぁ〜っといきなり広がるのだ。
その目前には圧倒的なスケールで凛々しく聳える利尻富士!



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