【純粋】愛は面影の中 ..
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87:高城涼子 34歳 著述家 ◆3hoyN3.pmOxR
14/03/31 17:08:56.47
>>79の続き

【音楽家東瑠利子、華麗なる愛】第二部 ■第十二回■
深まる秋の中で両親は議論を重ねていた。

両親の前には瑠利子の通信簿とテストの答案用紙があった。
通信簿の評価は全部「5」であった。
学校生活、人格形成、どの点をとってみてもパーフェクトであった。

「成績はきわめて優秀であり、ケチをつける点がない」
「人格は高潔で、やさしく、思いやりがあり、卓越したものがある」
「運動神経は抜群で、申し分がない」

テストの答案は全部100点であった。それ以外は1枚もなかった。
しかし、両親の顔色は冴えなかった。

それは瑠利子は同級生の中では孤立しているのではないかということであった。
どういうことかというと、瑠利子が余りにも優秀すぎて、同級生が全くついていけず、
そのことによって同級生たちの妬みや憎悪の的になりはしないかという懸念があった。
両親は瑠利子をアメリカかイギリスへ留学させることを検討しだした。
このまま小学生として日本で生活を続けるのは無理があるのではないか、
両親は議論を重ねるごとにその思いを強くしていった。

北海道からは雪の便りも届いた。明日はしばれるという。
父は窓辺に立つと、じっと月を眺めたまま動かなかった。

(第十三回に続く)


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