【音楽】古市憲寿、『平成ヒットavex』を語る。「エイベックスとは、平成そのものなのである」 at MNEWSPLUS
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19/04/25 14:14:13.68 MnVDA/4b9.net
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2019.04.25

♦古市憲寿 コメント
テレビや書籍では平成の振り返り特集が溢れている。僕もそのブームに便乗しようと『平成くん、さようなら』という小説を書いて、芥川賞候補になった(そして落選した)。
しかし、大上段に平成を振り返る番組を観ていても、いまいちピンと来ない。なぜなら、いくら平成の大事件を羅列されたところで、それは必ずしも個人の人生にとって重大な出来事だったとは限らないから。
中略
しかし例外がある。音楽だ。平成を振り返るには音楽がいい。なぜなら音楽は時代を映すと共に、最終的には個人に寄り添うものだから。国中が熱狂したヒット曲を聴くことは、それを聴いていた自分を思い出すことでもある。『平成ヒット avex』には、平成時代を彩ってきた40曲のヒットソングが収録されている。曲を再生してみると、驚くほどその時代のこと、その時代を生きていた自分のことが甦ってくるはずだ。たとえばglobeの「DEPARTURES」。“どこまでも限りなく 降りつもる雪と あなたへの想い”というサビは、僕たちを一瞬で1995年から1996年の冬にタイムスリップさせてくれる。当時、スキー場でこの曲を聴いたという人もいるだろうし、「JR SKISKI」のCMを思い出す人も多いだろう。
僕は、友達から「DEPARTURES」の収録されたアルバム『globe』を借りて、最後のサビにいく前の“あなたが私を 選んでくれたから”の箇所が好きすぎて、何十回もリピート再生していた。他の収録曲にも、数え切れない記憶がこびりついている。m-floの「come again」は高校のクラスメイトだったアンドウくんが授業中にまで楽曲の格好良さを熱弁していたとか、EXILEの「Lovers Again」は留学中のノルウェーで登場したばかりのYouTubeを通して知ったとか、三代目 J SOUL BROTHERSの「R.Y.U.S.E.I.」は50代の伊藤ようすけが無理をしてカラオケで歌っていたとか、そういったどういでもいい風景が次々に想起される。
音楽の強さはここにある。国中が同じ曲を聴いていたはずなのに、その思い出は本当に人それぞれなのだ。だから、平成を生きてきたすべての人は、『平成ヒット avex』を聴くと、自動的に「マイ平成史」を振り返ることになる。それは結局、時代を回想することでもある。JAMOSAの「何かひとつ feat. JAY’ED & 若旦那」は、僕にとって最も東日本大震災を思い出す歌だ。当時、とにかくいろいろな場所でこの曲を聴いた。発売されたのは震災前だが、“いちからやれば出来る” “いちからやり直せる”といった歌詞が、傷ついていた人々の背中を押したのだろう。浜崎あゆみの「SEASONS」に漂う絶望感と倦怠感は、不思議なほど2000年当時の日本の世相を反映している。あゆ自身は、極めて個人的な経験を元に作詞をしたはずだが、それが不思議と時代と符合してしまったのだ。
考えてみればエイベックス自体、平成という時代と共に歩んできた企業グループである。自社レーベル「avex trax」を設立したのは平成の始まった1989年。10代から20代の団塊ジュニアが消費市場を盛り上げた平成ゼロ年代にヒット曲を連発、平成10年代にはいち早くネット文化やLGBT市場に親和性の高い曲で注目を集め、平成の終わりには「PPAP」や「U.S.A.」で社会現象を巻き起こす。
エイベックスとは、平成そのものなのである。楽しみなのは、彼らが新しい時代にどんな進化を遂げていくのか。平成の31年間でCDは全盛期と衰退期を経験し、着メロ・着うたなど過渡期の文化を挟んだあと、音楽は配信とサブスクリプションが中心の時代になった。新曲の価値は相対的に下がり、代わりに『平成ヒット avex』に収録されたようなヒット曲は、10年後にも20年後にも、地道にファンを増やしていくのだろう。エイベックスが平成の間に築いた遺産は、そのまま令和の時代にも引き継がれる。
その膨大なアーカイブは、これからも僕たちの応援歌になってくれるはずだ。平成のヒット曲は、それぞれの曲が呼び起こす思い出と共に、平成が終わってからも続いていく日々を支えてくれる。『平成ヒット avex』を聴きながら、そうやって未来をあれこれ考えてみるのは楽しい。


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