ダイの大冒険のキャラ ..
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271:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/07 21:51:14 LgguilBn
乙です
何ヶ所かコルペールとなっていたんですが、コルベールではないでしょうか…?


272:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/07 21:59:29 u663jJh9
>>271
人名を書き間違えるとはまた致命的なミスを……。
wikiの方で訂正しておきます。失礼しました。

273:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/07 22:13:34 u663jJh9
わお、確認してみたらギト―もギド―になっていた。
どうも濁点とか細かなとこを勘違いをしたまま覚えていたようです。
お許しください。

274:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/08 10:06:26 B7nZkcH8
ギドーだとボスの名前みたいだな

275:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/08 16:22:10 12d1KJ8D
>274
○ドーですね、わかります。

276:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/08 16:32:28 8pv6i7XX
ゲド―でも外道をいじくった感じでよさげ。
ともあれ投下乙です。
悟りの書の正体に期待。


277:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/08 21:14:03 sMazWe4q
逆に濁点なくしてキトーにしてみると、下品な名前になってしまう

278:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 12:04:36 kU0Ray/1
全国のキトウ(鬼頭・木藤・木頭・その他)さんに失礼だ

279:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/09 16:27:46 PXUJKmDT
亀「おっと、俺の事忘れt(自主規制

280:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/11 18:10:46 3vyLepl0
支援

281:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/12 16:18:48 j62j1485
今更だけどヒュンケルはオスマンの声を聞いて何か思うところは無いのだろうか?

282:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/12 17:13:12 vpKplo9w
声優ネタは人を選ぶからなぁ

283:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:38:29 YAZ0oiFd
今から13話を投下します。

ダイ大のアニメは随分見ていないから、
オスマンの声がハドラーと同じとか全然気付かなかったぜ。

284:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:40:35 YAZ0oiFd
#1

森の中を走って一時間も経った頃、ロングビルは馬車から降りるようルイズ達に告げた。
彼女が言うには、この近くにフーケの隠れ家があるらしい。
馬車で近づくのは色々と目立つし、ここからは歩いていこうとロングビルは提案した。

「なにやってんのヒュンケル? 早く行くわよ!」

馬車の前で靴紐を結ぶように屈んでいたヒュンケルをルイズが急かした。
ヒュンケルはすぐに立ちあがると、ルイズ達と並んで歩く。
フーケの隠れ家は、馬車を置いた場所から十数分のところ、木々が少し開けた場所にあった。
それは打ち捨てられたような小さなボロ小屋で、人の気配がまったく感じられない。

「フーケは留守なのかしら? それとももう逃げちゃったとか?」

そう言って無用心に廃屋に近づこうとするルイズを、ヒュンケルが制止した。
昨日のことといい、どうにもこの娘は勇み足でいけない。
ヒュンケルが見た感じ、ルイズはどこか急き立てられているような印象を受けた。

「落ちつけルイズ。偵察には俺と……タバサで行こう。お前はここで待っているんだ」

しかしルイズは、ヒュンケルの言葉に不満そうに頬を膨らませた。

「嫌よ! 使い魔が行くっていうのになんで主人のわたしが留守番なのよ?」
「……主人を守るのが使い魔の役目。そう言っていたのはルイズではなかったか?
 危険がないか見に行くだけだ。少し待っていてくれ」

渋々頷くルイズの頭を、ヒュンケルがなだめるようにぽんぽんと叩いた。
そうしてから、また子供扱いしてとぶうたれるルイズをスル―し、キュルケとロングビルの意見を確かめる。
キュルケは肩をすくめると、ここでルイズの子守りをしていると言い、
ロングビルは用心のために周囲を見回ってみると言って森の方へ歩いて行った。
それぞれの役割を確認し終えると、ヒュンケルはタバサに頷きかけた。

「念のため、『静寂』をかける」

タバサはそう言うと杖を振るい、二人の足音を消した。
恨めしげなルイズをその場に残し、ヒュンケルとタバサは慎重かつ素早く廃屋に接近したが、
相変わらずそこからは物音ひとつせず、人の気配もしなかった。

285:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:42:00 YAZ0oiFd
「思いきって中に入ってみるか」

ヒュンケルはタバサに小声で言うと扉に手をかけ、ゆっくりとそれを開けた。
二人は音もなくするりと室内に入ったが、やはり人の姿はない。
廃屋は一部屋のみの構造で家具も少なく、隠れられそうな場所はありそうもなかった。
埃の積もった様子を見るに、ここでフーケが生活しているとはとても思えない。
もしや、ロングビルの掴んだ情報は誤ったものだったのだろうか。
ヒュンケルが嫌な予感を感じた時、タバサが「これ」と囁いた。
タバサはテーブルの上に無造作に置かれていた本を手に取って、何かを確かめるようにじっと見つめた。

「まさか、それが『悟りの書』か?」

ヒュンケルの言葉にタバサは「たぶん」と頷くと、自然な動作で本を開こうとした。
どうやら彼女はまだ『悟りの書』を読むことに未練があるらしい。
ヒュンケルが溜め息をついてその手を掴むと、
タバサは相変わらずの無表情で「冗談」と一言言って、『悟りの書』をヒュンケルに差し出した。
どうにも変った娘だと苦笑してヒュンケルがその本を手に取った時―そのことは起こった。

「ヒュンケル! タバサ! 小屋から離れて!!」

外からまずルイズの叫び声が聞こえ、次いで頭上の屋根が砕ける音が耳をつんざいた。
間一髪、窓から外へ飛び出した二人の背後で、廃屋は杖を失くした老人のように呆気なく崩れ落ちた。
ヒュンケルはタバサを助け起こすと、廃屋を叩き潰した張本人をぎらりと睨んだ。
襲撃者の正体は言うまでもない。
ヒュンケル達の目線の遥か上、フーケの巨大なゴーレムが、ヒュンケル達を見下ろしていた。

「小屋に人がいた形跡はなかったが―もしや情報自体が罠だったか?」

つぶやくヒュンケルの横で、タバサが真っ先に魔法を唱えた。
少女の、背丈ほどもある杖から強力な竜巻が巻き起こる。
生身の人間なら造作なく吹っ飛ばせる魔法だが、巨大なゴーレムはびくともしないでその場に留まり続けた。
タバサに続いてキュルケが炎の魔法を、ルイズが例の爆発魔法を使うが、ゴーレムの巨体からすれば効果は微々たるものだ。


286:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:43:56 YAZ0oiFd
「こんなのかないっこないわよ!」

呻くキュルケの横でタバサが「退却」とつぶやき、口笛を吹いて風竜シルフィードを呼び出した。
即座に空から現れた使い魔に乗って、タバサはキュルケやヒュンケル達に手招きする。
肝心の『悟りの書』は取り返せたのだから、タバサの判断は賢明なものだと言えるだろう。
ヒュンケルとキュルケは彼女に従おうとしたが、しかし何故かルイズだけは頑としてそこを動こうとしなかった。
ルイズは何度も何度もゴーレムの表面に爆発を起こし、巨大な質量を砕こうと躍起になっている。
早く乗れと急かすキュルケの声に、ルイズは「嫌よ!」と、振り返りもせずに拒絶した。

「嫌よ! ここで逃げたら『ゼロ』だから逃げたってまた笑われちゃうじゃない!!そんなのできっこないわ!!」
「そんなこと言ったってあなた……ロクな魔法も使えないじゃないの!」

キュルケの言うことにルイズは言葉に詰まるが、それでも一歩も退こうとはしなかった。

「魔法を使える者を貴族と呼ぶんじゃないわ……! 敵に背を向けない者を貴族と呼ぶのよ! 邪魔しないで!」

そう言って攻撃を続けるルイズにキュルケは「あのバカ」と唇を噛んだ。
人一倍誇り高いルイズが『ゼロ』と蔑まれ、どれだけ悔しい思いをしてきたかキュルケはよく知っていた。
ルイズは汚名を晴らそうとひたすら努力し、それでも駄目で、また頑張って、どうしようもなくて―。
ルイズの気持ちは分かるが、それでもこんなところで死なれては目覚めが悪い。
強引にでもルイズを逃がすため駆け寄ろうとしたキュルケだったが、ゴーレムがその腕を振るう方が先だった。
肩を震わし、目を見開くルイズに近づく巨椀。
ルイズのちっぽけな体などバラバラにしてしまうであろう凶器。
昨日の再現のようなその攻撃はしかし、昨日と同じ人物によって受け止められた。
ただし今回の結果は昨日と違って、その人物はゴーレムに押し負けずにそのまま踏みとどまっている。

287:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:45:47 YAZ0oiFd
「……無事か、ルイズ?」

ルイズの目の前、ヒュンケルが魔剣でゴーレムの一撃を食い止めていた。
衝撃で数メイル後ずさり、足は地面に埋まってしまっているが、ヒュンケルは渾身の力でゴーレムの腕を押しのけた。
そしてすかさずルイズを抱えると、シルフィードの前まで連れて行く。

「離してヒュンケル!これは命令よ! わたしは戦うの!」

腕の中で暴れるルイズに、ヒュンケルは無言で頷いた。
てっきり反対されるとばかり思っていたルイズは虚をつかれ、振り上げた拳の行き場をなくす。
しかしヒュンケルは嘘をつくでも誤魔化すでもなく、真剣にルイズの望みに応えようとしていた。

「そこまで言うなら俺も共に戦おう。しかしルイズ、戦いにはやり方というものがある。
 お前はゴーレムの攻撃が届かぬところから攻撃しろ。あのデカブツと直接やり合うのは俺の役目だ」

さっきまで失念していたが、周囲の偵察に出たロングビルの姿がまだ見えなかった。
彼女の無事が確認できない以上、一目散に逃げることも憚られる。
それになにより、敵わずとも立ち向かおうというルイズの言葉にヒュンケルは心打たれていた。
自棄になっているような面もあるのだろうが、ルイズの横顔には凛とした気高さが浮かんでいた。
魔法が使えなくとも―いや、魔法が使えないからこそ育まれた、魂の力のようなものがそこには根付いていた。
ヒュンケルはルイズのことをただ守るべき対象としか見ていなかった己の認識を改め、
できることならルイズの望みを叶え、自信を与えてやりたいと、そう思った。

「タバサ、キュルケ。お前達は上空から援護しながらロングビルを探してくれ
 あるいは怪しい人影を見つけたらそいつを捕らえろ。フーケを倒せばゴーレムも消えるだろう?」

言ったヒュンケルに、キュルケがやれやれと首を振った。
一緒に逃げられないとあれば、キュルケのやることも一つしかありえない。

「しかたない、付き合ってやるわよ……デ―ト1回分と引き換えで。もちろん費用はルイズ持ちよ?」

キュルケはそう言うとタバサと目配せし合い、風竜で飛び立った。
ゴーレムはそれを見てのそりと動いたが、タバサとルイズ達のどちらを狙うか迷ったように、少し首をかしげている。
ヒュンケルはタバサ達を見送ると、ルイズの顔を見た。
マァムと同じ色の髪をした少女は、緊張と興奮で頬を紅潮させていた。


288:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:47:08 YAZ0oiFd
「ルイズ、これを持っていてくれ。なくすんじゃないぞ?」

そう言うとヒュンケルは懐から『悟りの書』を取り出してルイズに押し付けた。
―共に戦うのはいいが、絶対にやられるな。
この任務の一番の目的、学院から盗まれた秘宝を託すことで、ヒュンケルはルイズにその意を伝えた。
ルイズはしっかり本を服の中に仕舞い込み、ヒュンケルに向かって頷いてみせる。
ヒュンケルだけを前線で戦わせることに不安も不満も感じるが、
それが一番の布陣だということはルイズも分かっていたし、ルイズはこの偉そうな使い魔の力を信じたかった。

「ご主人様に指図するなんて使い魔失格なんだからね! 後で説教してやるんだから……死ぬんじゃないわよ!」

ルイズはようやくいつもの調子に戻るとそう言った。
直後、ゴーレムの巨大な足が振り下ろされ、ルイズとヒュンケルは前後に分かれる。
ルイズは森の方から後衛を務め、ヒュンケルはゴーレムのそばで前衛を担当する―。
主人と使い魔の、初めてのパーティーバトルが今始まった。


#2

振り下ろされた足をかいくぐり、そのままの勢いで斬りつける。
土くれでできたゴーレムの足はたやすく裂けたが、すぐに地面から土を補給して体を再生しはじめた。
ルイズも今は手数よりも威力を意識し、なるべく大きな失敗―もとい、
爆発を起こそうと努めたが、その傷も瞬く間に再生されてしまっている。
ヒュンケルはいつのまにか鋼鉄製に変わったゴーレムの腕を大きく飛びのいてかわし、息を整えた。
するとその隙を見計らったようにゴーレムは足まで鋼鉄製に変わり、ヒュンケルは思わず舌打ちをする。


289:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:49:47 YAZ0oiFd
戦いは長期戦の様相を呈していた。
ヒュンケルはまだまだ動ける自信があるが、
失敗魔法とはいえ爆発という形で魔法力―この世界では精神力―を放出しているルイズはそろそろ限界のはずだ。
上空にいるタバサ達が術者のフーケを探しているが、森の木々に遮られてそちらの状況も芳しくない。
フーケがゴーレムの維持にどれほど精神力を消費しているのか分からないが、
このまま戦いが長引けば消耗したルイズを抱えて戦うか―あるいは逃げることになる。
ルイズの安全と心境を思えば、それはできようはずもなかった。
かくなれば、再生の暇もないほど早く切り刻むか、一撃必殺で倒すほかない。

「アバン流刀殺法―海波斬!」

ヒュンケルは昨日ゴーレムの腕を斬り飛ばした技を連続して放ったが、
今やみっちりと鋼鉄で固められたゴーレムの腕は、半ばのところでその斬撃を食い止めた。
スピード重視の海波斬では一撃の威力において少々心もとない。
とはいえ、速さの技に対して力の技―大地斬では手数が足りない。
となれば……

「おい相棒! いいかげん俺を抜けよ!」

ヒュンケルが必殺の剣を構えようとした時、すっかり忘れていた声がその動きを呼び止めた。
背中から、デルフリンガーがすねた声でヒュンケルに訴えかける。

「俺っちだって剣だぜ!? そっちばっかり使ってないで俺も使ってくれよ。頼むからさあ……」

戦いの緊迫した雰囲気からはかけ離れたその様子に、ヒュンケルは思わず笑みをこぼした。
とはいえ、自分には二刀流の心得はないし、一刀で戦うなら使い慣れた魔剣の方がいい。
ヒュンケルは率直にそう言いかけたが、デルフが憤慨したようにそれを遮った。


290:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:52:16 YAZ0oiFd
「心得も何もねえって! 相棒は『使い手』だろう? 剣を握りゃ勝手に体が動くんだよ!」
「使い手とは―『ガンダールヴ』の―ことか?」

ゴーレムの攻撃をかわしながら聞くと、デルフはあったりめえだろと一笑に付した。
むしろ、素でその力を出せてる方がおかしいぜと呆れ半分の調子で続ける。
ヒュンケルは頭上のタバサをちらりと見上げると、ようやくデルフの柄に手をかけた。
何故か懐かしい感触を覚え、ルーンを刻まれた左手を見やった。
もしもタバサやデルフの言うように自分が本当に『ガンダールヴ』ならば―
そしてもしあの決闘の時感じた感覚が本物ならば―
剣を二刀使うくらい、俺には容易いはずだと自分に言い聞かせた。
目の前のゴーレムを倒し、ルイズに誇らしい記憶をつくってやる。
それだけを胸に置き、懸念も何も体から追い出した。
闘志が体の奥から、ふつふつと溢れだしてくる。

「相棒! 俺を抜け! ガンダ―ルヴは心の震えで強くなる! 闘志をみなぎらせ、剣に伝えろ!!」

声に応え、ヒュンケルはついにデルフリンガ―を抜き放った。
ゴーレムは今、タバサとキュルケが風竜の速さを活かして翻弄している。
ヒュンケルは両の手に二刀の魔剣を携えて目を閉じ、リラックスするように肩の力を抜いた。
瞼の裏に、無駄な力や動作を省いた必殺の軌跡を心に描く。
そしてゆらりと剣を持った両手を上げると、あらかじめそれが決まっていたような自然さで上段に構えた。

「アバン流刀殺法―二刀!」

ここまで意識を集中させてこの技を使うのは何年振りか。
ヒュンケルは初めてこの技を成功させた時のことをふと思い出した。
今振るうはアバン流の初歩にして、大地をも割る力の剣―

「大地斬!!!」

カッと目を見開き、ヒュンケルは二対の魔剣を振り下ろした。
二柱の斬撃は強烈な衝撃波を生み出し、ゴーレムの鋼鉄の四肢をVの字に斬り裂いた。
刹那の瞬間、手足を失ったゴーレムの胴体が宙に浮く。
―好機。


291:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:55:02 YAZ0oiFd
「タバサ! ゴーレムを浮かせろ! キュルケはヤツの頭を攻撃するんだ!!」

ヒュンケルの言葉に応え、タバサが即座に詠唱を完成させた。
あらかじめ力を蓄えていたのだろう、今までの比ではない威力の竜巻が、四肢を失い軽くなったゴーレムを持ち上げる。
ゴーレムの再生のために地面から巻きあがっていた土くれも、風の力で吹き飛ばされた。
次いでキュルケのとっておきの火炎の魔法が、ゴーレムの頭を超高熱で焼きつくす。
今やゴーレムは、ただの大きな土の塊でしかなかった。
ヒュンケルは鎧の魔剣を地面に突き刺すと、左手のデルフリンガ―に語りかけて言った。

「デルフ、お前が俺の相棒を名乗るなら、この魔剣に劣らぬところをみせてみろ。
 俺の最強の一撃を、こいつと遜色ない威力で出してみせるのだ」

ヒュンケルの言葉を、デルフは威勢よく笑い飛ばした。
ガンダ―ルヴの左手、デルフリンガ―にしてみれば、そんな挑発は望むところである。
ヒュンケルの腕から流れる闘気に身を任せ、デルフは己の内にそれを蓄えた。

「任せろ相棒! あの魔剣に新参者となめられねえよう、俺もいいとこ見せちゃるゼ!」

叫ぶデルフの刀身が、錆びの浮き出たそれから、魔剣にも劣らぬ白銀の輝きに満ちたものへと変わった。
しかしヒュンケルはその変化を何故か当然のようにして受け入れ、浮き上がって再生力を失ったゴーレムを見つめた。
タバサの竜巻の力は徐々に弱まってきている。
ここはもう、一撃で決めるほかあるまい。

「ルイズ! 俺の技に合わせろ!」

ヒュンケルは片手を前に突き出し、デルフを握った方の腕を弓のように引いて力を溜めこんだ。
背後からはルイズがヒュンケルの声に応え、早口で魔法を詠唱する声が聞こえてくる。
師を襲い、弟弟子を傷つけた必殺剣を今、別の何かのために使う。
奇妙な感慨が、ヒュンケルの胸に去来した。
背後のルイズが、詠唱を完了させて杖を振り上げる。
「やれ!!」とデルフが叫び、ヒュンケルは裂帛の勢いで剣を突き出した。


292:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/12 23:56:21 YAZ0oiFd
「ブラッディースクライドォ!!!」

回転力を加えたその突きは螺旋の渦を描き、ゴーレムの胴体部分に大きな風穴を開けた。
そして次の瞬間、でかでかと広がった空洞から大きな爆音が響き渡った。
ルイズの失敗魔法と言う名の強力な爆発が、内部からゴーレムを爆散させたのだ。
タバサが生み出した竜巻が消えた時、地面にこぼれ落ちたのはもはやただの塵芥に過ぎなかった。
ヒュンケルは一応身構えたが、ゴーレムの残骸はそのまま動くことなく、ただの土くれのままそこにある。
おそらくフーケの精神力も既に限界なのだろう。

「終わったな」

からから笑うデルフに向かって、ヒュンケルはそう言った。
あとはフーケ本人を探して捕まえるか、『悟りの書』を持ってそのまま帰ればいい。
ルイズもあのゴーレムを倒したことで自信はついたろうし、ヒュンケル個人としてはフーケの捕縄には特に興味もなかった。
タバサやキュルケも風竜から降りてきて、安堵の笑顔でヒュンケルの手を握った。

―しかし、そんな油断がいけなかったのだろう。

突然、ルイズの悲鳴が背後で響いた。
声の源を辿ればそこにはルイズともう一人―
最後の同伴者、ミス・ロングビルがナイフを構えて立っていた。


293:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/13 00:05:30 m3/EKDnP
以上で投下終了です。
ルイズ達も活躍させたくて魔法を強めに書いたつもりだったんだけど、
全体的にどうにも地味な感じになってしまった。

次回の投下はたぶん週の半ばになると思います。
15話でキリよくフーケ編を終わらせる予定です。

294:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/13 00:13:11 yOkBaADl
 ゼロの剣士の作者さん、乙でした。

 待ってましたのブラッディー・スクライド! デルフと鎧の魔剣の二刀流も
見れたし、今回は個人的に大盤振る舞いですね。

295:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/13 00:36:25 IVbpaDt8
乙ですー

まあフーケに苦戦するわけがないので仕方ないというか
ベースがボンクラ高校生な原作主人公ですら大して苦戦もしていないですからねえ…
初期のダイですら自分の体よりでかい岩をバターのように斬り、
それだけの斬撃でさえ司令の指一本で止められてしまうという世界の召喚モノでは…

296:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/13 04:48:06 kLHOBV0C
乙です。

二刀流はできない、残念。そう思ってた時期が俺にもありました。
・・・そうじゃん!ガンダールヴじゃん!武器何でも使えるじゃん!
ヒュンケルさんのチートっぷりにすっかりその設定忘れてたぜ。



297:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:21:48 XQxzZmP3
今から14話を投下します。

298:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:23:57 XQxzZmP3
#1

「お前が土くれのフーケだったのか」

眼鏡を外し、ナイフを握ったロングビルにヒュンケルがそう言った。
人質に取られたルイズは恐怖よりも混乱が先立ち、目を白黒させている。
ロングビルは盾に取ったルイズの肩越しにヒュンケルを注意深く見つめつつ、笑みをこぼした。
これまで見せてきた上品なものではなく、猛禽類のように凶暴で、それでいてどこか妖絶な女の笑みだ。

「そう、私が『土くれのフーケ』よ。さあ、この娘の命が惜しければ全員武器を捨てな。
 ちょっとでも怪しい動きを見せたらこいつの命はないよ? 」

杖を失ったメイジは無力だが、それは剣を失ったガンダ―ルヴも同じだろう。
キュルケとタバサは目を見合わせ、次いで同時にヒュンケルの方を見た。
ヒュンケルは隙を窺うようにフーケを注視していたが、やがて無造作に剣を遠くに投げた。
キュルケ達もそれを見ると観念したのか、自分達も杖を手放す。
満足げに鼻を鳴らすフーケに、抑えつけられたルイズが少し声を震わせながら尋ねた。
ちなみにこっちの方はとっくのとうに、力ずくで杖を奪われている。

「それで、ど、どういうつもりなのよ。あんたがフーケなら、どうしてこんなとこにわたし達を誘いだしたの?」

そう、土くれのフーケがここに潜伏していると情報を出したのはロングビル―当のフーケ本人だった。
一体なんのつもりで追っ手をわざわざおびき出し、どうぞとばかりに『悟りの書』を放置していたのか。
人質として囚われた小娘としては随分まともな問いに、フーケは口笛を吹いて感心してみせた。
フーケの腕の中で、かえって馬鹿にされたような気になったルイズが顔を赤らめた。

「別にあんた達を誘った覚えはないんだけどね、まあいいさ。
 あんた、あの使い魔から『悟りの書』を受け取っただろう? 早く出しな」
「い、嫌よ、出さないわ―ひッ!」


299:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:26:54 XQxzZmP3
拒んだルイズの頬の上で、フーケがナイフを滑らせた。
傷こそつかなかったが、冷たく鋭い感触を覚えてルイズは悲鳴を上げる。
ルイズは思いきり目をつむったが、そこで不思議に穏やかな声がルイズを呼んだ。
目を開けると、ヒュンケルがルイズに向かって頷きかけた。

「ルイズ、『悟りの書』を出すんだ」

ヒュンケルの言葉にも躊躇ったが、フーケがまたナイフをちらつかし、ルイズは震える手で『悟りの書』を取り出した。
そのまま後ろ手でフーケに本を渡そうとするが、何故か彼女は受け取らない。
本をよこせという意味ではないのか。
ルイズが目に疑問を浮かべると、フーケは忌々しげに答えた。

「さっきの質問、何故あんた達を誘い出したかだったね。あんた達もこの本の噂を知っているだろう?
 正しく読む者は悟りを開く……不届き者が読むと呪われる……選ばれし者にしか読めない……そんな噂を?」
「だからそれがどうしたってのよ?」

苛立たしげにキュルケが聞いたが、その答えはフーケではなく、キュルケのすぐ隣の少女が答えた。
タバサが、眼鏡を直して言った。

「……つまり、フーケには悟りの書が本物かどうか分からなかったということ」

タバサの言葉に、フーケはフンと鼻を鳴らした。
そして口をポカンと開けるルイズとキュルケに言い含めるように教えた。

「そっちのお嬢ちゃんの言う通り。私としたことがウッカリしていたのさ。
 正しい手順で読むか、選ばれし者が読むかしないと本の効果は現れない。
 効果が出ないんじゃ、これが本物かどうかも分からない。
 教師達の様子から偽物ではないと思ったけど、使い方が分かんないんじゃどうもね」

フーケの言葉にルイズ達は呆れたが、それで彼女の狙いは分かった。
おそらくフーケは、本当はオスマンや学院の教師など、『悟りの書』の秘密を知っていそうな人を誘い出したかったのだ。
そしてロングビルの顔をして隙をつき、脅すかどうかして秘密を聞き出したら改めて逃げる。
そんな計画だったに違いない。
ルイズは自分が捜索隊に名乗り出たことでフーケの計画を挫けたのだと思って溜飲を下げたが、
何故かフーケは微塵も焦りを感じさせない顔で言葉を続けた。

300:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:29:27 XQxzZmP3
「持ち主が危機に陥った時に発現するタイプのものかと思ったが、どうも当てが外れたようだね。
 だけど、そこの使い魔の戦いぶりを見て確信したよ。ガンダ―ルヴを召喚したあんたにならその本を読む資格があるってね!」
「ガ、ガンダ―ルヴ……?」

目を丸くしてヒュンケルを見るルイズに、フーケは「さあ本を開きな!」とナイフを突きつけた。
フーケは何故か、ルイズが読めば『悟りの書』の謎が解けると思っているらしい。
不安そうな顔をするキュルケ達の前で、ルイズはわけもわからぬまま両手に抱えた本を見つめた。
もしかしたら噂の通り、読んだら呪いを受けるのではないかと思って手が震えた。
ルイズはゆっくりと本を開くと、ついに学院の至宝―『悟りの書』の秘密を目の当たりにした。

「こ、これが『悟りの書』……!?」

一瞬ルイズは、それがなんなのか理解できなかった。
呆けたようにその『絵』をじっと見つめること十秒後、
ルイズは突然顔を真っ赤にし、両手で目をふさいでうずくまろうとした。
ルイズの手から、『悟りの書』がこぼれて地面に落ちる。
キュルケ達は慌ててルイズに走り寄ろうとしたが、興奮したフーケの声に遮られた。

「近づくんじゃないよ! さあ、どうだい? 『悟りの書』の効果は? これはどうやって使うんだい!?」
「つ、使い方って言ったって……」

ルイズは体をブルブル言わせたままそこで言葉を切った。
そして固唾を呑んで見守るキュルケ達とフーケに応えて、耐えかねたように叫んだ。

「これ……これ……ただのエロ本じゃないの!!!!」
「エ、エロ本!?」

ルイズの突飛な発言に驚いたキュルケ達は、咄嗟に地面に落ちた『悟りの書』に視線を落とした。
ルイズが落としたその本は開いたままで―そこにはめくるめく桃色の世界が映し出されていた。
具体的に言えば僧侶の姿をした女性が―いや、よそう。
ともかく、うら若き乙女が目にするにはあまりに刺激が強すぎる代物だ。
エロ本……アダルト……春画……18禁……。
そんな言葉が頭の中を駆け巡り、とりあえずキュルケはタバサの目を手でふさいだ。
タバサは本を目にした瞬間に思考停止したのか、顔を真っ赤にしたままされるがままになっている。

301:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:30:58 XQxzZmP3
「フーケ、この本の使い道を知りたいなんて―あなたって意外とウブなのかしら?」

寒々しい沈黙の後、比較的早く回復したキュルケがそう言った。
しかし当然のことながら、フーケの質問の意図はそんなものではない。
二十代前半独身の盗賊は、計算違いの動揺と怒りに頬を染めてかぶりを振った。

「そ、そんなわけあるかい! お前たちだってこの本に魔力を感じるだろう? この本がただのエロ本なはずがない!
 そうだガンダ―ルヴ、あんたはオスマンと何か話してたね? あいつから本の正しい見方を聞いたんじゃないか!?」

たしかにフーケの言うとおり、キュルケも『悟りの書』からは不思議な魔力を感じた。
『エロ本』という姿は『悟りの書』の真の姿を隠すカモフラージュ。
そう思い込んでも仕方ない力を感じた。
そしてルイズが読めば、そのかりそめの姿が剥ぎとられると何故か確信していたフーケは、
ひどく動揺した様子で手にしたナイフをヒュンケルに向けた。
再び緊張が高まり、ヒュンケルが躊躇った様子で口を開きかけたが―まったく別のところから返事は届いた。

『そんなものありゃあせん。それは単なるエロ本じゃよ。エロ本』
「オ、オールド・オスマン……!?」

声の主は学院の長、オールド・オスマン。
声がしたのはフーケのすぐ近く―股の下だ。
フーケが仰天して足元を覗きこんでみると、そこには一匹のハツカネズミがいた。
オスマンの使い魔の、モ―トソグニルがいた。
その背中に括りつけられた小さな人形から、再びオスマンの声が漏れ聞こえる。

『やっぱり君は白より黒が似合うのう、ミス・ロングビル?』

その瞬間、フーケの注意は完全にルイズ達から逸れていた。
ルイズは思いきりフーケの足を踏んづけると、彼女の腕からもがれ出た。
フーケは咄嗟にナイフを振り上げ、ルイズを攻撃しようとしたが―すんでのところでその腕は止められる。
何か強靭な糸で縛りつけられたかのように、体の自由が利かない。
自分を拘束する力の源を見て、フーケは思わず悲鳴を上げた。
丸腰のヒュンケルの腕から、何か黒い霧のようなものが湧き出して、フーケの体にまとわりついていた。

302:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:32:14 XQxzZmP3
「せ、先住魔法……!?」

ハルケギニアには杖を媒介とするメイジの魔法とは別に、先住魔法と呼ばれるものがある。
フーケの目に、精霊の強力な魔法を行使するエルフの姿が、ヒュンケルのそれと重なった。
しかし普通の人間の耳をしたヒュンケルは、これは魔法ではないと言うと、氷のように冷徹な瞳でフーケを睨んだ。

「闘魔傀儡掌。練り上げられた暗黒闘気は糸となり、敵の動きを封じる。
 あまり使いたい技ではないが―躊躇っている場合でもあるまい」

そしてヒュンケルは、フーケに向けた手の中指をクイっと動かした。
するとナイフを持ったフーケの腕が、意思に反してありえない方向に曲がろうとする。
フーケは耐えがたい痛みに必死に抗いながら、今度こそ己の認識の甘さを後悔した。
剣を失ったガンダ―ルヴ―ヒュンケルを、杖を失ったメイジと同列に見ていた自分を心底呪った。
ヒュンケルがもう一度指を動かした時、固く握りしめていたフーケの手がぎこちなく開いた。
その手に握られていたナイフが、ぽとりと地面に落ちた。

#2

「それで―説明していただけますかしら、オールド・オスマン?」

ルイズ達の視線の先、机に座ったオールド・オスマンが重々しく頷いた。
ここはトリステイン魔法学院・学院長室。
フーケを捕らえた一行は衛兵にその身柄を渡すと、まっすぐこの部屋にやってきた。
オスマンの机の上には例の『悟りの書』が鎮座しており、
ルイズ達は努めてそれを見ぬよう老メイジの顔の皺に意識を集中させた。
オスマンは傷でもないか確かめるように『悟りの書』を撫でながら、四人に質問を返した。

「それで、何から話せばよいかな? 君達の方から質問してくれると助かるんじゃが」

オスマンの言葉に、ルイズ達は顔を見合わせた。
正直言って、聞きたいことが多すぎる。
ルイズ達は考えをまとめるためにしばらく愚図愚図していたが、やがてルイズがオスマンに質問を始めた。

「あの―それ、本当にその本が『悟りの書』なんですか?」

ルイズはそう言って、忌々しそうに机の上に置かれた本を指さした。
あの時見た衝撃の映像は未だ頭を離れない。
これが学院の秘宝だなんて嘘ではないか?
半ば祈るような気持ちでルイズは言ったが、オスマンはコイツは何を言ってるのだという顔つきで首をかしげた。

303:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:33:55 XQxzZmP3
「もちろんそうじゃとも。これは紛れもなく学院の秘宝『悟りの書』じゃ。取り返してくれて感謝しとるぞ」

さも当たり前のごとく言うオスマンを見てルイズはくじけかけたが、そこで選手交代。
今度はキュルケが慎重に言葉を選びながら質問を続けた。

「でもそれなんていうか……ただの春画じゃありません?」

キュルケが言うと、オスマンはとんでもないとばかりにかぶりを振った。
ただの春画なわけがなかろうという憤慨の声を聞き、ルイズ達の胸は希望にまたたいた。
ああ、やっぱりフーケは正しかったのね。
わたし達が命懸けで取り返したものがただのエロ本なはずないのよと、ルイズ達は帰ってきて初めて達成感を味わった。
しかし直後のオスマンの言葉は、そんな幻想を壊して余りある破壊力を持っていた。

「これが『ただの』春画じゃと!? 見たまえ、このリアルな質感、色遣い、淫靡なオーラ!これほど見事な絵は見たことがない!
 これこそまさに二次元に舞い降りし天使の書! バイブルじゃ!何人の紳士がこれを欲したことか―」

『悟りの書』をふりかざして力説しはじめたオスマンは、そこで言葉を止めた。
室内にはしら〜っとした空気が流れており、オスマンは孤立無援の果てしない寂しさを覚えた。
コルベール辺りでも同席させればよかったと後悔したが、後の祭りである。
オスマンは同性のよしみで助けを乞うようにヒュンケルを見つめたが、彼は処置なしという風に目を閉じていた。

「う、うむ、君達にはなにか褒美を―」
「じゃあミスタ・ギト―の言っていた女性云々っていうのは、そういうことでしたの?
 男性教師達はこれがただの春画だと知っているから、命を賭けてまで盗んだりはしないと?」

ご機嫌を取るように言いかけたオスマンの言葉を、キュルケが遮った。
意識的か無意識的か、キュルケは杖を握って、それで誰かを丸焼きにしたそうな顔をしていた。
見れば、隣りのルイズもいつのまにか杖を取り出して、今にも魔法の実践練習を始めようとしている。
オスマンは冷や汗をかきながら頷いた。


304:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:37:07 XQxzZmP3

「う、うむ。そういうことじゃろう。 ワシもさすがに女性には見せておらんかったし、彼らも女性には口外せんかったろう。す、少しばかりハードな内容じゃからな」
「それじゃ、選ばれし者にしか読めないとか、呪いを受けるとかいう噂は?」
「それはあれじゃ。この本があまりに魅惑的なもんで、学業を疎かにするもんが続出してな、
 こいつなら大丈夫と思った者にしか見せないことにしたんじゃ。
 かのモット伯などはのめりこみすぎてしもうて、未だにこういった本の収集に私財を投じているようだしのう」

しかたのないヤツじゃと溜め息をついたオスマンに反論したいのをグッと堪えて、ルイズは達は質問を続けた。

「この本は何か魔力がこめられているようだけど?」

もはやタメ口が自然になっていたが、今のオスマンに文句が言えるはずもない。
オスマンは一つ頷くと、自身もその正体は分かっていないのだと白状した。

「しかしな、道を踏み外す者が続出する一方で、この本を読んでからグイッと実力が上がった者も沢山いたんじゃ。
 もしかしたらこの本から感じる不思議な力がそうさせているのかもしれんな」

オスマンはそう言うと、まだ質問はあるかと首をかしげた。
ルイズ達はまた顔を見合わせると、最後に一つだけ問いかけた。

「あのネズミの使い魔はどうやってあそこまで? 学院長はロングビルがフーケだと御存じでしたの?」

オスマンはその質問を聞くと頭を掻いて、ちらりとヒュンケルの顔を見た。
意味ありげなその仕草にルイズ達が疑問を浮かべると、閉じていた目を開いてヒュンケルが答えた。

「あのネズミを連れてきたのは俺だ。出発前にオールド・オスマンに頼まれてな、懐に入れてきたのだ」

ヒュンケルの言葉を聞いて、ルイズは森に到着した時にヒュンケルが何かしゃがみこんでいたことを思い出した。
おそらくあの時にヒュンケルは、懐に入れていたモ―トソグニルを森に放していたのに違いない。
ヒュンケルは窓の外を見るともなしに眺めながら説明を続けた。

305:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:38:37 XQxzZmP3
「オールド・オスマンはネズミを俺に渡しながらこう言った。
 『危険を感じたら逃げてもいい。最低限、フーケの正体だけでも自分の方で掴むから』とな」
「―内部の者が手引きしたとは思っておったが、それが誰かまでは分からなかったんじゃ。
 ミスタ・ギト―はああ言っておったが、実際のとこはどうだか断言できんかったしな。
 まさかミス・ロングビルがそうだとはワシも思っておらんかった」

スタイルのいい優秀な秘書だったのにのうと嘆くオスマンに、一同は冷ややかな視線を送った。
オスマンはコホンと咳をつくと、居住まいを正してルイズ達に告げた。

「ともあれ、諸君の活躍には報いねばならん。
 ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプスト―にはシュヴァリエの、ミス・タバサには精霊勲章を申請しておこう」

ルイズとキュルケはその言葉に歓声を上げた。
シュヴァリエとは武勲に対して贈られる爵位。
純粋に功績と実力を認められた証だ。
タバサは何故かこの称号を既に持っていたようだが、学生の身でこれを得るのは並大抵ではない。
『ゼロ』と蔑まされてきたルイズは感激に目を潤ませたが、そこで何かに気付いて顔を曇らした。
オスマンの言う恩賞の中に、ヒュンケルの名が入っていないのだ。

「オールド・オスマン。ヒュンケルには恩賞はないんですか?」

ルイズが聞くと、オスマンは申し訳なさそうに首を横に振った。
例え申請しても、平民のヒュンケルが爵位を受けるのは難しいだろうとオスマンは言った。
ルイズやキュルケは納得がいかなくて口をとがらせたが、当のヒュンケル自身が宥めることで落ち着いた。

「まあ代わりと言ってはなんじゃが、わしが一個人としてお礼を差し上げよう。
 さて、今夜はフリッグの舞踏会じゃ。今宵は食って踊って、心身共に疲れを癒すがよい」

オスマンが言うと、ちょうど誰かのお腹がぐうっと鳴った。
音の出所を見ると、それまで黙っていたタバサが少し頬を赤らめ、「空腹」とつぶやいた。
普段無表情な彼女の意外な顔にルイズ達は吹き出し、意気揚々とパーティーの準備に出ていこうとする。
しかしそこで再びオスマンが、思い出したように一同に声をかけた。


306:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 21:40:56 XQxzZmP3
部屋の扉にさしかかっていたルイズ達は怪訝そうに振り返り、オスマンの顔を見た。
ちょっとだけと手を合わせるオスマンは、相変わらずただの気さくな老人のようだったが、その目は真剣味を帯びている。
ヒュンケルはルイズ達に先に行くよう伝えると扉を閉め、オスマンと向き合った。
オスマンは両手を組んでヒュンケルを見ていたが、やがて真面目な顔をして口を開いた。

「今日は御苦労じゃったなヒュンケル君。
フーケを捕らえたことはもちろん、生徒達を守ってくれたことに本当に感謝しておるよ」

そう言って頭を下げるオスマンを、ヒュンケルは口を閉ざしたまま見つめた。
ただ礼を言うためだけにオスマンが自分を呼びとめたとは思えなかったからだ。

「話しとはなんですか、オールド・オスマン?」
「うむ、君も疲れているじゃろうから用件は早く済ませたいが、その前に……ほれ!」
「……きゃっ!」

オスマンが杖を振ると部屋の扉がひとりでに開き、可愛らしい悲鳴と共にルイズが部屋になだれ込んだ。
ルイズはヒュンケルのことがどうにも気になって、ドアごしに聞き耳を立てていたのだ。
床に転んだルイズは鼻を赤くして立ち上がり、ヒュンケルとオスマンの顔を見てしどろもどろに言い訳をした。
しかしオスマンは狼狽するルイズを叱るでもなく、優しく椅子を勧めて言った。

「まあそんなに慌てんでもいい、ミス・ヴァリエール。
 メイジと使い魔は一心同体と言ったのはわしじゃからな、君をさしおいて内緒話をしようとはこっちも悪かった」

オスマンが宥めると、ルイズは決まり悪げにうつむいた。
ルイズはどうしてオスマンがこうもヒュンケルを特別視しているのか知りたかったのだが、
さすがに盗み聞きは貴族のすることではなかったと改めて恥じ入った。
そろりと窺うようにヒュンケルを見ると、彼もルイズがここにいてもいいと頷いた。

「それで本題じゃがヒュンケル君。先に言ったように君には公的に何の褒賞もあげられん。
 そこで君にはわし個人のお礼として、これを読む権利をさしあげよう」

言うとオスマンは、一冊の本を差し出した。
ついさきほど話題に上がった問題の本、『悟りの書』だ。
白い目で見てくるルイズを気にしつつ、ヒュンケルはオスマンの申し出を断った。

307:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/15 22:03:04 QG6ACUsb
ぽよ

308:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/15 22:06:00 2Yap46kv
さるさんを食らってます。
申し訳ないけどしばらく書きこめないので、ウィキの方に先に載せときます。

309:だいり
10/12/15 22:17:18 QG6ACUsb
「せっかくですが俺は……代わりにギーシュにでも見せてやってください」
「おお、たしかにミスタ・グラモンにも滋養のために見せんとのう。しかしそれとこれとは別じゃ。一目でも見るがよい」

ヒュンケルはここにいないギーシュに押し付けようとしたが、オスマンは意外な強さで粘った。
困惑したようにヒュンケルがその目を見てみると、いつぞやのようにその眼光は鋭い。
どうやら、冗談や酔狂で言ってるわけではなさそうだった。
ちょっと本当に見るの、と抗議するルイズの声を尻目に、ヒュンケルはゆっくり『悟りの書』に手を掛けた。

「痴の章―192ページを見るがよい」

早くも自分の判断に疑問を抱きながら、ヒュンケルは言われた通りのページを開いた。
そしてそれを見たとたん、目を見開いて驚きの表情を浮かべた。
ルイズはヒュンケルが驚いたことに逆に驚き、どんな絵が描かれているのかしらと内心妄想をたくましくした。
しかしオスマンはルイズとは対照的に、どこか悟ったような顔でヒュンケルに語りかけた。

「やはり君には読めるのか、その『文字』を。なんて書かれておるのじゃ、そこには?」
「『マリリンの日記 ○月×日 今日もあの人は来ないの……? あたしはまたひとりさみしく……』」
「ちょ、ちょっと待ちなさいヒュンケル!なに素直に読んでんのよ!」

どうやら『悟りの書』には絵だけでなく、官能小説もついているらしい。
呆然としたまま素直に音読するヒュンケルの腕から、ルイズは思わず『悟りの書』を奪い取った。
もちろんヒュンケルより先に本を読みたかったからではなかったが、
ルイズはなんとなく、なんとなくチラチラとそこを見てから、整った眉をひそめた。
そこに書かれている言語は、勉強熱心なルイズでも見たことのないものだったのだ。

「ヒュンケル、あんた何でこんなの読めるのよ? 普通の文字だって読めないって言ってたじゃない」

ルイズが聞くと、ヒュンケルはばつが悪そうに視線をそらした。
ほほう、まだ言ってなかったのかとオスマンが髭をひねり、ヒュンケルに代わって答えを寄越した。

「それはのう、ミス・ヴァリエール。彼がこの本と同じ世界から来たからじゃよ」
「同じ世界?」

奇妙な言葉にルイズが首をかしげると、オスマンはそうじゃと言って頷いた。

「彼もこの本もきっと異世界―ハルケギニアの外の世界から来たんじゃよ」
「い、いせかい?」

ルイズにはオスマンの発言の意味が、にわかには分からなかった。
いせかい、イセカイ、異世界……。
ルイズは頭の中でオウムのようにその言葉を繰り返し、ヒュンケルの顔を見た。
しかしヒュンケルはオスマンの言葉を否定せず、逆にそれを肯定するように頷いた。

「オールド・オスマン、この『悟りの書』はどこで手に入れたのですか?」

ヒュンケルが聞くと、オスマンは焦らすように微笑んだ。
皺の奥、懐かしさがまたたいているような瞳で、オスマンは『悟りの書』を眺めた。

「この『悟りの書』の本当の名は『神竜のエロ本』という。嘘か真か、竜の神から賜ったものだとその青年は言っておった」
「……青年? これは貰い物なのですか?」

頷くオスマンに、ヒュンケルは先を急ぐようにその名を問い詰めた。
オスマンは大事な秘密を打ち明けるような口調で、こう言った。

「青年の名はロト。異世界より来たりし冒険者―勇者ロトと名乗っておった」

310:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/15 22:19:54 QG6ACUsb
ここでまさかのロト伝説

311:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/15 22:33:50 uaUoVjrW
投下乙です

ダイの世界ではアバン=ロトだっけ?

312:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/15 22:56:14 XQxzZmP3
そろそろ書き込めるかな?
代理投下の方、ありがとうございます。

「破壊の杖」役やその持ち主はDQ3からの出典です。
詳しくは次の話で書きますが、DQ3をプレイ済みじゃなきゃいけないって内容でもないので
その辺は未プレイの方も安心して読んでもらえると嬉しいです。

313:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/15 23:54:02 dmazF7UE
ほう、ロトは神竜からエロ本を貰うような男だったのか…

そういえば傀儡掌もあったんだったね、すっかり忘れてた
確かに闘気とか使わないハルケのメイジなら弱体化した傀儡掌でも束縛できるな

314:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 00:01:07 PQInhUhy
乙です。
ハルキゲニアには存在しないであろう未知の技術、闘気。
オスマンですら初見と思われるのに、この場面で言及がなかったのはちょっと残念。
次回で描かれると期待します。

315:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 00:02:24 siakTo+/
>>312
乙の剣士

>>311
> ダイの世界ではアバン=ロトだっけ?
kwsk!!

316:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 00:10:22 dGZgX3ks
>>315
>> ダイの世界ではアバン=ロトだっけ?
>kwsk!!
回想シーンでのハドラーの服装が、竜王と酷似していただけ。
アバンの過去話とか世界地図とか、相違点の方が圧倒的に多い。

317:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 00:32:48 C0jDgWvX
>>316
確かに、アバン先生はIの勇者がモデルだから、言っていることは基本的に正しいけど、
仮にそうだとしても、それはロトじゃなくてロトの子孫だぞ?

318:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 00:50:12 NDR2o1lL
まあアバン先生は能力的にはDQ1勇者というよりはDQ3の全職業を兼業してるみたいな人だが…

319:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 00:58:04 NDR2o1lL
魔王を倒す(勇者)
武芸百般(戦士)
アバン流には素手戦闘も含まれる(武闘家)
攻撃魔法やドラゴラムなどを使う(魔法使い)
回復・補助魔法も使う(僧侶)
各種アイテムを作成する技術と魔法の罠なども含む広範な知識(賢者)
10Gで買いたたいた剣を勇者の剣と偽る話術(商人)
ギャグを飛ばす(遊び人)

320:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 01:25:10 siakTo+/
>>316
ありがと

321:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 06:24:18 IWQBaBfC
なるほどDQ3ネタ!
それに痴の章って官能小説かい!てっきり隠された何かがとか思ってしまった・・・
それにしてもオスマンが無能の爺さんじゃないのが凄い面白いですね。
ヒュンケルに読ませてこの世界の住人じゃない事と本の内容の把握なんて・・・・・・この爺さん、出来るっ・・・!

322:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 12:35:31 vcOU/rZM
投下乙です!!
おい、ロトw
誰かは知らんが仮にも勇者が何をやっとるw

でも、ロトの名が出るだけでやっぱりwktk、楽しみです

そういえばヒュンケル傀儡掌使えるんだったな、相手がミストみたいのでない限り有効だろうし
本人使いたがらないだろうけど便利ですね

323:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 13:48:12 NDR2o1lL
ミストの滅砕陣でもダイの空裂や昇格ヒムの踏みつけで簡単に破られてしまうことからして、
今のヒュンケルの傀儡掌では多少でも闘気技を心得た相手には殆ど効果無いんじゃないかな
無意識状態の当時のダイには紋章も無しで力任せに破られてしまったし、
まあ殆どのメイジには効くと思うけど、ミノタウロスとかには束縛を破られるかも…

大地斬や海波斬やスクライドだって見た目魔法だか何だかわからん剣技だし、
それらに言及ないのに傀儡掌にだけ言及されるというのも不自然、か?
まあ剣を使う技に関しては武器がマジックアイテムかまたはガンダールヴの特殊能力の一環と思われてるのかも知れんが

324:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 15:25:20 GFDc15wC
もしかしてエロ本の不思議な魔力とか読んだ人間の能力上がるとかって
性格システムかネタが細かいなwwww

325:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 15:39:38 dtc9OUuq
むっつりスケベなヒュンケルw

326:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 16:52:02 SMBPcbyF
>>323
ダイの空裂や昇格ヒムの踏みつけって相当なもんだと思うが
魔王と呼ばれる連中の攻撃より上だろこれ

327:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 17:59:39 1HlJl6Ro
たしか強かったもんなぁ、むっつりスケベとセクシーギャル。
っていうか、仮にも読んでしまったルイズとヒュンケルは
能力補正の恩恵を受ける代わりに性格が変わってしまうのか。

328:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 18:35:42 gkB3G7b8
>>326
ミストの滅砕陣を破ったのは鬼岩城の時点のダイの空裂
パプニカナイフで出したやつで、紋章は使用してない
魔王と呼ばれる連中の攻撃云々については攻撃の種類とかにもよるからなんともいえん

どうあれ今のヒュンの傀儡はミストのそれより遥かに弱い
光の闘気にも目覚めてなかった時期のダイに力任せて破られてしまう程度のもの
ミノタウロスのような怪力モンスターには破られかねないだろうな
まあ、この時期のダイでも自分の体よりでかい岩をバターのように切るくらいのパワーがあるわけだけど

329:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 18:41:55 omP++Ggp
しかしガンダのルーンはボンクラ高校生をテンション次第でスクウェアメイジに勝てるくらい強くしてしまうわけだが
パワーアップの割合的には竜の紋章とどっちが上だろうね
ま、ガンダのルーンはチートな防御力の闘気とかは出ないし総合的には竜紋のほうが上かな?

330:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 20:25:16 2ZdslDmW
>>329
元々岩を安物の剣で切り倒せる腕力持った少年が
半年くらいで天地魔界に敵無しな大魔王を倒せるのが竜の紋章
普通の人間がメイジに勝てるようになるのがガンダルーン

瞬間的なブーストだけで見るとガンダは結構強いと思うんだが
長期的視点で見ると紋章は経験値の蓄積率がハンパ無い上に
正式な紋章であれば過去の経験値の蓄積も継承者の物と出来るというまさに神の作った兵器だし
チートオーラによる地形変形レベルの攻撃が連打可能なわけで
上限もえらいことになってる

331:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 22:27:02 MvNiq4Uu
リスクについても比べようぜ!
ガンダルは未熟だと筋肉痛とかも凄いけど、鍛えれば抑えられて
竜の紋章はベホマとかが効きにくくなるくらいだっけ?

332:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 22:35:07 2ZdslDmW
体動かしたあと筋肉痛とかってそれはルーンのリスクと言っていいんだろうか
まあ一応普通ならそうそうリミッター超えて動けないからリスクでいいのか
竜の紋章は竜闘気を全開でブン回して、尚且つ体に負担が掛かった時は回復が効きにくくなるね
あと、竜魔人化してる間は人間性が失われる
消耗が激しいので考え無しに戦うとすぐガス欠とかもそうだな
ガンダは持久力という意味では底なしっぽいよな

333:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/16 22:48:19 MvNiq4Uu
底なしか、やはりきんにk


334:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/17 00:36:31 NT4JNR4p
 >>332
いや、ガンダールヴの効力には時間制限があると2巻でデルフが言ってる。

335:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/17 03:11:51 ViFHtCo3
>>334
あ、一応あるのか
作中ではルーンがガス欠起こしてピチンって話とんと見た覚えないから
てっきり時間制限は肉体依存なのかと思ってたけど

336:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/17 04:24:29 ExxZ8fpK
ピチンか、やはりきんにk

337:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/17 12:21:53 5mlLpxzH
制限時間というより、MPっぽい感じだと思う。
魂を揺さぶって発動させるという点を考えれば、精神力(MP)次第でその制限時間の上限も変わるかと。

338:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/17 12:53:40 SwLvmrpG
>>327
読み返してて気づいたんだが、フーケのパンツの色が変わってたwww
エロ本盗んだ日は白だったのに今回は黒になってるw

339:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/17 13:39:55 a11hHgg3
悟りって賢者タイム的な意味だと思ってたら性格の変更なのか・・・
ワンダーランドを思い出すなぁ。



340:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/20 14:55:56 huBXyVtA
これでヒュンケルの性格がむっつりスケベになったから
ラブコメ展開に切り込めるという伏線なわけだ。やるねぇ

341:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/20 18:58:25 6/uijDv1
!!

342:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/20 19:35:13 qumIJsV4
ちょくちょくマァムの名前が出てくるのは
ルイズ達女キャラが本気になった時、それ理由に身をかわす伏線なのだろうかと思ってたぜ

343:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/21 08:55:10 sABvFP/+
>>342
身をかわすまでもない。
立ったフラグは全て叩き折るのがヒュンケルさん。

344:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/23 22:33:10 Frb52xlB
こんばんは。今から15話を投下します。

345:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/23 22:35:23 2kyv4eaI
支援

346:名無しさん@お腹いっぱい。
10/12/23 22:36:42 i9QEAfNP
我らの剣がきよったでぇ

347:ゼロの剣士 ◆kXEeWCfTmI
10/12/23 22:37:01 Frb52xlB
#1

「青年の名はロト。異世界より来たりし冒険者―勇者ロトと名乗っておった」

オスマンの言葉に、ルイズとヒュンケルは顔を見合わせた。
その名はルイズにとってはもちろん、ヒュンケルにも聞き覚えのないものだったのだ。
しかし―勇者ロト。
その名前はなにかとても印象深い響きをもって二人の耳に入ってきた。
勇者という言葉でルイズが連想するのは、タバサがよく抱えている『イーヴァルディの勇者』という本だったが、
ヒュンケルが思い浮かべるそれはかつての勇者である師・アバンと、未熟ながらも世界を救おうと奮闘する弟弟子・ダイの姿だった。
ロトという青年も彼らと同じように、世界のため戦った英雄なのだろうか。
想像を膨らますヒュンケルを余所に、オスマンは懐かしげに思い出語りを始めた。

「あれは何十年前のことだったかのう。たぶん百年はいってないと思うが、まあそんくらい前のことじゃ。
 ある日森に出かけたわしは、そこでとても大きなワイパーンに襲われたのじゃ。
 不意を食らったわしは杖を失ってしもうてな、そこで命を落とすことを半ば覚悟した」

そこまで言って、オスマンは過去の情景を瞼の裏に思い浮かべるように目をつむった。
話の流れから考えるに、おそらくそこで勇者ロトが現れたのだろう。
物語の中の王子様みたいね、とルイズは思った。
もっともロトは、助ける相手を大いに間違えたようだが―。

「突然のことじゃった。ワイパーンが牙を剥き、今にもわしに襲いかかろうという時、剣を持った青年が颯爽と現れた。
 青年は剣でワイパーンの巨大な鉤爪を受け止めると、天に指をかざし、魔法を唱えた。
 ……なんという名前じゃったかな。ザムディン……いや、違うのう」

オスマンはまるで便秘中のようにウンウン唸った。
ルイズはいいところで話を切られてもどかしかったが、そこでヒュンケルが口を挟んだ。

「もしや……ライデインでは?」

ライデイン―それはヒュンケルの世界で、勇者のみが使える神聖な雷の呪文である。
まさかと思いつつ聞くと、オスマンはそうじゃそうじゃと陽気に頷いて話を続けた。


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