左塔菓子11 ..
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959:940
10/03/27 00:31:20 O
「え?!ちょ、アベくん?!」

そんなはずないのに俺はガラスの向こうに叫ぶ
するとカラリと扉が少しだけ開いて見慣れた顔がちらりと覗いた

「お前うるせェよ、なに?一緒に入りたいの?」

いたずら好きの子供みたいな笑みでニヤニヤこっちを見ている
俺が大好きで、大好きで仕方なかった人が笑ってる
いやいやいや、俺まだ寝ぼけてんのかもしんない
混乱する頭を抱えていたら、キュッと蛇口の閉まる音がして湯気を纏ったアベくんが風呂場から出てきた

「気持ちよさそうに寝てたから、勝手にシャワー借りた」
「いや、まぁそれは別にいいんだけど・・・何で此処にいんの・・・?」
「はぁ・・・?俺ウエノんちの鍵持ってるじゃん、つかお前がくれたんじゃん」

そうだ、確かにそう、俺はアベくんがいつ来てもいいように鍵を渡していた
でも今してるのはそういう話じゃない

「違うって、そうじゃなくて・・・」
「なんだよ、いいから飯作ってくれよ、俺すげぇ腹ペコ」
「・・・わかったよ、ちょっと座って待ってて、あ、ちゃんと服きて頭乾かしなよ?」

何が何だか良く分からないが、ずっと会いたかったアベくんが此処にいる
この際夢でも何でもいい、せっかく会えたんだ、もっと一緒に居たい
真実を口に出してしまうと、またフッとアベくんが消えてしまいそうで
俺はもう何も言うまいと思いながら、部屋着に着替えてからアベくんの為に簡単にパスタを作った

960:940
10/03/27 00:33:12 O
二人分の皿を持ってキッチンを出るのはえらく久しぶりだ

「できたよ、おまたせ」

いつものソファに深く体を沈め、長い足を邪魔くさそうに組んで待っていたアベくんが
料理を見てまた子供のように無邪気に笑う

「ちゃんとからくした?」
「もちろん、でも俺も食えるレベルだけどね」
「ウエノが作るペペロンチーノ、俺すごい好きよ」

料理をするのは好きだけど、自分だけの為に作ってもつまらなかったから
いつもうまいうまいと言って食べてくれるアベくんの為に作るのが好きだった

さっさと食べ終わったアベくんは、勝手に冷蔵庫からビールを取り出し飲み始めた
2つ、3つとビールをあけていくアベくんを見ながら飯を食べ終え
洗い物が終わった頃にはすでにかなりの数の空き缶が転がっていて、軽くアベッキー様が降臨していた

「なぁなぁ、腹一杯になったら眠くなってきたんじゃけど」
「はぁ・・・よくそんな食っちゃ寝してんのに太んないよな、フトシなのにホソシじゃん」
「うっさい!ええからお前も一緒に寝んの!」
「いや、俺さっき起きたばっかだよ・・・」
「知っとるわ!俺と寝んのそげなに嫌なんか、久しぶりじゃから優しくしたろうと思っとんのに」

口を尖らせプイっとそっぽを向く
俺がかまってやらないといつもすぐ拗ねる
そんな可愛い恋人にいつも振り回されるが、そんな彼も大好きだ

961:940
10/03/27 00:34:58 O
「しゃあないなぁ、ベッド行くか・・・」
「そげな事言って、顔がにやけとるぜ、ホンマは嬉しいんじゃろ?」

ニヤニヤと意地悪そうに笑う顔はさっきまで拗ねてた奴と同じとは思えない
コロコロと変わる表情は見ていて飽きない
普段は無表情でクールだと思われがちだが、酒が入るとよく喋るしよく笑う

フラフラと足元の覚束無い長い体を支えてベッドまで連れて行き横たえてやると、彼はまたニヤニヤしている
この後に言うセリフ、俺はもう痛いほどわかっていた

「何でお前のココもうこげな事なっとるん?」

細く長い指が慣れた手つきで服の上から俺自身をなぞる
そんな事言ったって仕方ないじゃないか、俺はもうアベくんとベッドの前ではパブロフの犬状態なんだから

「何でなんも言わんの?コレをどうして欲しいん?」

アベくんはいつも意地悪だ、俺がちゃんと言わないと事を進めてくれない
酔っている時はいつも以上にタチが悪くなる

「さっき久々じゃけん優しくしようるって言ったん嘘じゃったんかよ・・・」
「でもお前こういう方が好きじゃろ?これが俺の優しさじゃぁ」
「・・・そげな優しさ要らん・・・ッ」
「素直じゃないのぉ」

962:940
10/03/27 00:36:17 O
アベくんはちょっとムッとしたような顔で強く俺の腕を引いた
その拍子にベッドの柱に強かに頭を打ち付け星が飛んだ

「いっ・・・!!痛いって!」
「素直にならんお前が悪いんじゃろ」

器用に俺を組み敷いて腕を締め上げる、ホントに痛い・・・

「わかった、わかったから離して、お願い」
「ほんなら自分でみな脱げよ、続きしてやるけぇ」

これ以上抵抗して痛い思いをするのも嫌だし
そんな事をされてもなお、俺の熱はまだまだ治まる気配がなかったので今度は素直に従った

「ええカッコじゃのぉ、あんなんされてもこっちはいきっとるんじゃぁ?」

指でピンと弾かれて思わず体が跳ねる

「意地悪せんで・・・」
「しとらんって、ほら気持ちよぉしてやるけぇもっとこっち来んか」

云われるまま近寄ってきた俺をまじまじ見てアベくんはククっと喉で笑った

「ホンマにお前はめんこいのぅ」

噛みつくようなキスをされて口の中に鉄の味が滲んだ気がした

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10/03/27 00:38:05 O
いつもよりたっぷりと時間をかけて、俺を愛してくれたアベくん
いや、もしかしたら時間はそんなに変わらなかったかもしれない

でも俺は彼の腕の中で跳ね、喘ぎ、熱に浮かされ
もう何度果てたのかも分からないくらいになった頃、いつのまにか意識を手放していたみたいだった


目が覚めるとあたりはすっかり暗くなり、頭がガンガンと痛んだ
俺の隣にはアベくんの姿はなく、先ほどの行為の痕跡さえ何もなかった

酷く重たいからだを引きずりリビングに行くと、テーブルの上に覚えのないメモがあった


『誕生日おめでとう、ちょっと先行ってるけどまだお前は来なくていいからな、幸せになれよ』


決して綺麗とはいえない、大雑把な走り書きでそう書いてあり
メモの横には彼のタバコとライターがそっと置いてあった

「幸せになれとか言いつつ、鍵は返してくんねぇのか・・・・アベくんも素直じゃないねぇ」

彼の置いていったタバコを一本吸ってから少し泣いた


ねぇ、アベくん
もし俺がしわっしわのじいちゃんになってからアベくんに会いに行っても
アベくんは俺だって気付いてくれんのかな?
俺の事を変わらず好きでいてくれんのかな?

俺はもう少しこっちで頑張ってみるから、浮気なんかしないでね

964:940
10/03/27 00:42:43 O
終わりです

エロネタはなんか恥ずかしくて端折ってしまいました><
広島弁はネイティブではなく親戚の言葉を思い出してなので変だったらごめんなさい

ウエノさん誕生日おめでとうございます

965:名無しさん@ビンキー
10/03/27 00:50:39 0
ありがとう>>940
泣ける…アベがシャワー浴びた辺りから最後が想像できて
アベのすることにイチイチ泣けた上に、最後の手紙はねぇよ…本当に涙がでる
本当にありがとう、そして誕生日おめでとう

966:940
10/03/27 00:53:57 O
>>965
ありがとうございます
初めてこういうのを書いたしネタがネタだったので不安でしたが嬉しいです

後厄だけど幸せになってほしいなー

967:名無しさん@ビンキー
10/03/27 01:18:30 0
>>940乙!!
泣いた…泣いたよ…
読んだの寝る前でよかった 涙が止まらない
手紙、煙草、鍵…

エラさん長生きしてくれー!
誕生日おめでとう

968:名無しさん@ビンキー
10/03/27 04:35:39 O
>>940乙!!
酔って方言出る鬼と感じて方言出る鰓に禿萌えた。
泣けるわ・・・・、ありがとう

969:名無しさん@ビンキー
10/03/27 21:41:27 0
(*`皿´)<こうちゃん誕生日おめでとう〜

(*´・ω・`)<おめでとう!

ミ*`_ゝ´彡<酒のみたい!

970:名無しさん@ビンキー
10/03/27 22:55:20 O
[=*.・з・]<みんなありがと〜

ってかお前もおめでとうって言えよw>[=*.・з・] ミ`<_´*彡<分かってんだからいいじゃん


971:名無しさん@ビンキー
10/04/01 02:22:44 O
‖´_ゝ‖ オレウエノさんよりアベさんが好きです

972:名無しさん@ビンキー
10/04/01 02:56:13 O
え?

973:名無しさん@ビンキー
10/04/01 03:35:26 O
   *   *
 *   + うそです
  n     n
+ (ヨ‖´_ゝ‖E)
  Y    Y  *

974:名無しさん@ビンキー
10/04/01 03:48:07 O
エイプリルフールに古典的な嘘をw


975:名無しさん@ビンキー
10/04/08 15:44:39 O
(*゜ё゜)リーダー元気かな…

976:名無しさん@ビンキー
10/04/11 23:48:49 O
パッチはDMG見に行かないのかい?

977:名無しさん@ビンキー
10/04/27 22:52:04 O
リーダーに会えてよかったねシンヤ

978:名無しさん@ビンキー
10/04/27 23:20:42 O
‖*´_ゝ‖

979:名無しさん@ビンキー
10/04/28 14:19:03 O
パッチは、パッチはどこー


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