ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart21 at LESBIAN
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619:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 20:24:28 JaschuuF
以上です。
タイトルは「誓いの日」です。
誕生日にお世話してあげるサーニャ…。でも誕生日の部分薄いような…?
サーニャのプレゼントは指輪と迷った結果、指輪はエイラがプレゼントするもんだ!ということでネックレスに。

自分の力だと誕生日SSはこれが精一杯なのでエースの方々の甘いSSを期待してますw

それでは、読んでくださった方に感謝。失礼します。


620:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 20:37:11 WRytv54P
後から後からエースが続々と…
ここはどんだけスオムス空軍なんだよwww

みんなGJ、ゴッドジョブなんだナ

621:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 20:42:46 ISYQrLy0
SSもすごいがpixivの絵も秀逸なのが多いな
さすがのエイラーニャってとこか

622:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 20:49:45 3Sp8Zk5K
勢い出て来ましたね〜。超wktkです。皆様GJ過ぎます!

623:幸せのおまもり 1/2
09/02/21 22:25:07 euqHctE5
幸せのおまもり

{どうせ一週間後のわたくしの誕生日なんてどなたも、でも今日はエイラさんにとって特別な日ですものね}

ちょっとしたお祭り騒ぎのみんなとは対称的に、今朝のペリーヌさんはちょっぴり物憂げな表情でした。

「ねえリーネちゃんバターのやわらかさってこのくらいでいいのかな?」
「え〜っと、うんじゃあ次はお砂糖を少しづつ混ぜていってね芳佳ちゃん」

通常任務の隊長と坂本少佐を除いた私達はエイラさんのお誕生日会の準備で大忙しです。
サーニャちゃんがエイラさんの足止め係。
シャーリーさんとルッキーニちゃん、そして私と芳佳ちゃんはお料理担当。
残りのバルクホルンさん、ハルトマンさん、ペリーヌさんは飾り付け担当のはずでした。

「ねえペリーヌ来てない?」
「んにゃ、きてないよ」
「やっぱりここにもいないか、あいつさぼりやがったな」

それからペリーヌさんが帰って来たのは日も暮れかけた頃になってからでした。

「なにやってんだよペリーヌあんた飾り付けの担……どうしたんだその格好!」

ハルトマンさんは言い淀みます。
ペリーヌさんは左肩に猟銃、右手には一羽のうさぎ、そして全身泥だらけになっていました。

「ペリーヌ気が効くじゃないか、何か華やかさに欠けると思ってた所なんだメインディッシュはコイツで決まりだな」
「あっそれは……食材ではなくて……その……」
「心配すんなって、あたしがとびっきりの丸焼きに仕上げてやるからさ」

シャーリーさんはうさぎをひょいと取り上げるとステップを踏んでキッチンに向かいます。
違いますシャーリーさん!きっとペリーヌさんは幸運のお守り「ラビットフット」を作ろうとしてうさぎ狩りに出掛けたんです。
誰か気付いて、早くしないと、なぜ誰も気付かないの、今私が言えば間に合うかも。
ごめんなさいペリーヌさん、いいえ私に謝る資格なんてない事わかっています。
既にグリルからはセージの香が漂って来ています。私は黙って気付かないふりをしていたのでした。

お誕生日会が始まりメインディッシュのうさぎの丸焼きを芳佳ちゃんが運んで来るとみんなから歓喜の声があふれだしました。

「ペリーヌさんがさっき獲って来てくれたばかりなんですよ」
「アリガトナ、ペリーヌ」
「別にお礼を言われる筋合いは在りませんわ」
「じゃー礼は言わねーケドありがたく頂くヨ」
「そんなの勝手に召し上がったら結構でしてよ」

せめてペリーヌさんの思いを少しでも届けなきゃ。
私はエイラさんのお皿に前脚の部分を切り分けようとナイフを入れました。
あれ?前脚がない?
私はもも肉をエイラさんとペリーヌさん、それぞれのお皿に切り分けました。
するとシャーリーさんが席を立ちました。

「なんだリーネも気付いてたのか、気付かないふりとは役者だねぇ〜プレゼントの本番はここからなんだ、なぁペリーヌ?渡してやりな」
「これは……ラビットフット!いつのまに」

シャーリーさんは初めから気付いていたんですね。
ペリーヌさんって動物の革を剥いだりした事なさそうだし、もしうまく出来なかったらせっかくのプレゼント渡すのやめてしまう。
そんなペリーヌさんの性格まで考えていたんですね。

624:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 22:30:11 euqHctE5
「一人で仕上げたいってガリア貴族のお嬢様のプライドもあるだろうけどさ、少しはあたしらを頼ってくれよ」
「ですからわたくしは!……もういいですわ、エイラさん早く受け取りになって下さいます」
「もいちどアリガトナ、オマエの泥んこ顔拝めただけで十分すぎるプレゼントダヨ」
「全くあなたって人は一言も二言も(ガルルルル)」
「アレ?ペリーヌなんかコレ、二つあるケドどうやって使うンダ」
「あ〜それね、おまえの大切な人に片方渡してくれ、ペリーヌじゃそこまで気が回らないだろうとシャーリーお姉さんからの気配りだ」

シャーリーお姉さん……気を配りすぎです。
みんながにやにやし始めています、私はどきどきし始めちゃいました。
サーニャちゃんはそわそわと、そしてエイラさんはかちかちに固まっています。
どうする?どうするエイラ?そんな視線がエイラさんに注がれています。

「ンギャー!」

エイラさん……壊れました。

「ペリーヌ、ワタシからの少し早いバースデープレゼントダ!クレテヤル」
「何ですの!人に向って物を投げ付けるなんて、しかも差し上げたばかりのプレゼントを!」

エイラさんサーニャちゃんに渡せなくて結局また逃げたんですね。
幸せのチャンスはきちんと自分で掴まないと、せっかくのラビットフットも台無しになっちゃいますよ。

「ウルセー、オマエが厄除けしてくんねーとコッチまでトバッチリ来るんダヨ」
「そのお言葉そっくりそのままお返し致しますわ、このプレゼントにお誕生日を祝う気持ちなんてこれっぽちもないんですからね」

エイラさんとペリーヌさん、掴み合いつねり合いの喧嘩始めちゃいました。
そんな二人はほおっておいてみんなはサーニャちゃんに詰め寄るのです。

「これで良かったの?これじゃこの一年、エイラはヘタレのままだよ」
「このままじゃペリーヌとエイラ、お揃いのお守り付けて歩く事になるんだぞ本当にいいのか?」

うんうん、芳佳ちゃんとバルクホルンさん、二人がお揃いのお守り付けてるなんて私だったら耐えられないよ。
サーニャちゃん取り戻すなら今しかないよ。

「あの……さっき……エイラからとても素敵なお守り、もらいましたから……私のお守りはエイラですから……」

サーニャちゃんは顔を赤らめながら両手で顔を隠してしまいます。
誕生日なのにプレゼントあげてばかりですね、エイラさん。
人前ではまだ無理でも、エイラさんやる事やってました。
二人きりの時間にいったい何があったのか、私達はそれ以上問い詰める事はなく、ただ声をそろえてこう言ったんです。

「ごちそうさま」


みなさんお疲れさま。
エイラおめでと。
ペリーヌちょっと早いけどおめでと。
一週間後も、もっともっと祝福で溢れますように願いをこめて。

625:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 22:51:02 dpOMbYmu
>>624
GJ!ペリーヌもサーニャもエイラもいい!
ハッピーなお話ごちそうさまw

626:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 22:59:41 utG5Qda9
>>624
あなたの優しさに感動した
エイラの誕生日をネタに、あえてリーネ視点で、ペリーヌを主に描くという…
すごいな。話のすすめ方とキャラの動かし方、尊敬に値する!
んでエイラーニャは一体なにをしたのかな?ごちそうさまでしたGJ!!

627:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/21 23:25:18 +K2carA1
483kbだ
俺帰れないからスレ立て頼む

エイラすまねえ…

628:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 00:08:50 jJWT+Q3Z
規制で無理ダナっぽいけど、トライしてくるわ。

629:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 00:13:55 jJWT+Q3Z
出来たんダナ。
スレリンク(lesbian板)

630:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 00:44:44 2kq58h3c
>>629
乙なんだナ

埋めネタ募集中

631:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 01:35:34 bTDGoLdB
>>629
乙!! 

しかし早いなぁ、もう22スレか

632:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 01:37:19 j31FN8t4
SSの大量投下で1000行く前に埋まるからな、それにしてももう22とか異常だなw

633:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 02:39:00 nl7DSqQk
>>629乙です!


二期にはニパニパやハイディやらレンちゃんがでればいいのになー
501とこのメンツの絡みが見たいし、どういうキャラなのかももっと知りたいし。得に喋り方とかが

634:Sign,Shine,Kind-後 1/4
09/02/22 04:47:24 EAPHF4ES
>>592の続き 埋まらない
――
***

テラスに出て一人、夜風に吹かれていると何故だか涙がこみ上げてきた。
背後から漏れてくる光は無い。目の前に広がるのは星の瞬きとか細い下弦の月の頼りない明かりばかり
だけれど、私はそれについてはちっとも心細い気持ちにはならないのだった。だってそれは私の生業と
いっても過言ではない、夜間哨戒の時の景色そのものだからだ。暗闇に慣れた瞳は三等星の星の、心
ばかりの輝きさえも容易く見分けることができて、私は空を眺めながらその星と星とをつないで私オリジナル
の星座を作るのがささやかな楽しみでもあった。暗い趣味だ、と誰かには笑われるのかも知れない。だけど
暗い暗い夜の空で独りぼっちで過ごす方法なんてそれぐらいしか私には思いつかなかったから。

ほら、あれがネコペンギン座よ。そうエイラに語って聞かせたときは、流石にエイラも苦笑をしていたっけ。
それでも直後には「じゃああれはサーニャ座ナ!」なんて言ってすぐに乗っかってくれたから、とてもとても
嬉しかった。…ラジオのことを芳佳ちゃんに話したときエイラはどうしてか少し拗ねていたけれど、でも、
本当は二人だけの秘密なんてもっともっとたくさんあって、ラジオのことはそのうちの一つにしか過ぎない
ことにエイラは気がついていないのだろうか?

501のみんなにスオムスから来た客人を含めた13人での大騒ぎ…もとい、エイラの誕生日会はすっかり
お開きになっていて、きっとみんな部屋で寝静まっている。アルコール度数の強いお酒のせいか、それと
も出撃の憂い無く騒ぐ機会を得た開放感からか、みんな相当興奮していたから疲れ果てていることだろう。
食堂が屍累々になる前にそれぞれの部屋に引き上げることが出来たこと自体奇跡なのかもしれない。
主役のはずのエイラがつぶれ始めたみんなをたたき起こして「早く寝ろ、バカ!」と発破をかける様子は
どこか滑稽で笑いがこみ上げてしまったけれどそれはまさか、言うことなんて出来ない。

はあ、と。
こぼれると息はすっかり溜まってしまっていたもの。鼻の頭がつんとするのは、流してしまいたい気持ちが
あるから。
手すりにもたれかかってうつむく。さっきからため息が止まらない。今日はとてもとてもおめでたい日で、ため
息なんかとはおおよそ関わりないと分かっていながらもどうにもすることができないのがひどく悲しくて、情け
ない。本当はもっとずっと、笑っていたいのに。エイラが私に与えてくれるものを、私もエイラに上げたいから。
どんなときだって笑顔でいて欲しいから。私なんかの心配で、彼女の顔を曇らせたくないから。

さっきだってそうだ。エイラはとてもとても優しいから、部屋の隅っこでつまらなさそうにしている私を心配して
くれたのだろう。いつもひょうひょうとしているから、一見彼女の何を考えていることはわからなさそうに思え
る。けれど私は知っている。エイラはちゃんと"観ている"のだ。自分の視界に映るすべての人を、物陰に
隠れている人にいたるまで、しっかりと。こと私のことに関してはそれが顕著であるのではないかと思うのは
もしかしたら自惚れなのかもしれないけれど、真実であれば良いなと思う。

意識を集中して魔力を放出したら、満天の星空から星々のささやきさえも聞こえるような気がした。もしか
したら未だ見ぬ、異星の人からのメッセージなのかもしれない。そんなことを考えながら空を見やる。すう、
と無意識に息を吸って吐き出したら、はあ、と白い吐息が口からこぼれて霧散していった。それが簡単の
息だったのか、単なるため息だったのか、私には分からなくて。もしかしたらどちらでもあるのかもしれな
かった。宇宙の広大さに圧倒される。漆黒の空にちりばめられた星々の数多さに、私は己の矮小さを思い
知るのだ。
だけれども。
そんな、遠くにあって届かないほどのものの声を聞けることが、何の意味を持つだろう?私と来たらすぐ
目の前にいる人の気持ちも満足に受け取れずにうつむいてしまうのだというのに。それもこれもこの特殊
能力のせいだ、と責任転嫁をするのは簡単だった。…けれどもきっと、あの人なら、エイラなら、私と全く
同じ能力を備えていたとしても他人をないがしろにすることなどしないのだろうと思うのだ。だってそんな
エイラ、想像さえ出来ないから。だからきっとたぶん、これは私自身の問題で。


635:Sign,Shine,Kind-後 2/4
09/02/22 04:48:06 EAPHF4ES
はあ。
ため息をもう一度。あんなに楽しかったはずのパーティのその最中に、ずっとずっと溜め込んでいたもの。
エイラがそれを知ったらどんな顔をするんだろうな。きっととてもとても残念そうに顔を歪めるんだろう。
それでもたぶん、私を責めることは決してしない。どうしてなのか、なんてかんがえるまでもない。それが
エイラだからだ。少なくとも私にとっては。

そう、たぶんこの場に居合わせたとしても、エイラなら自分にとって今日の日がどんな意味を持つかなんて
そっちのけで私のことを心配してくれるのだろう。それはとても申し訳のないことだと分かっているのに、
そうして甘えてしまいたい自分が情けない。

「サーニャ、」

ほら、こうして私の名前を呼んで、

「そんなところにいたら、風邪ひくヨ?」

私の肩に、上着を掛けてくれたりして。
ありがとう。肩に掛けられた心地よい重みに反射的に例を言って、私はそれを引き寄せる。魔力を放出
している間は平気だけれども、その逆にそれを止めたあとは寒さが容赦なく襲ってくるのだ。だいじょうぶ?
尋ねる声がしたから、うん、とうなずいた。心がホワンと温かくなるのを感じた。ああ、エイラがいるんだ、
私のすぐ傍に。それだけで私はたぶん寒さなんて感じずに済むだなんて、気恥ずかしくて決して言えない
けれど。

「エイラ」

彼女の名前を呼んだら、なんだ?と返事がすぐに帰ってきた。そこで私はあることに気がつく。

「……エイラ!?」
「な、なんだヨ、急に大きな声出して」
「…エイラなの?」
「……じゃなかったらなんだってんだヨー」

文字通りの夢見心地で、空想の中のエイラとやり取りをしているつもりでいた私は目をぱちくりさせるばかり。
どうしたんだよ、とエイラが笑う。変なサーニャ。今日ひとつ大人になったはずなのに、私の知っているどの
表情よりも子供っぽい笑顔でそんなことを言って、私の頭に手を伸ばすのだ。もうすっかり感じ慣れたエイラ
の手が、慣れた手つきで私の頭をやさしく撫でていく。子ども扱いされている。分かっていてもついほだされ
てしまう私はやっぱり子供だ。だってこんなにも、甘やかしてもらえることが嬉しいのだもの。

「な、なんでここに…」
「いや…シュールストレミングまみれになったニパを風呂落として、適当な空き部屋に突っ込んできたんだ
 ケド…ええと、その…」

困ったように頬をかく。言い難そうに口をつぐむのは、何かを遠慮しているからのだろうか。何しろ暗がりの
ものだから、いくら夜目に慣れた私の目であろうともその機微を表情から読み取ることは容易いとは言い
がたい。

「さ、さーにゃがどこ探しても見当たらなかったカラ、心配になってサ!!…い、言いたいことあったシ!」
「…わたしを探して…?」
「う、うん」
「べ、べつに寂しかったからとかじゃないんだからな、ただ外にいたら風邪引くかもって探してただけで!」

なぜか焦って手をパタパタと動かしている。首をかしげると、ウウ、と不思議な唸り声を漏らすのだった。


636:Sign,Shine,Kind-後 3/4
09/02/22 04:48:37 EAPHF4ES
「その、あの、今日はアリガトナ!!シャーリーに聞いたんだ、サーニャがみんなに呼びかけてくれたんダロ?
 誕生日会しようって。あとスオムスのみんなにも声かけてくれたッテ…」
「…私はただ呼びかけただけだよ。私よりもずっと、みんなのほうが…」
「で、でも、私は嬉しかったんダ!!!………だだからその、お礼を言いたくテ…」

今日はすごく楽しかった。本当にありがとう。
暗がりでもはっきりと浮かんで見える、朗らかな笑顔でエイラは再び感謝の言葉を繰り返す。すごくすごく、
楽しかったよ。そんなの誰だって、パーティの最中でのエイラの態度を見ればわかることだったろうに。いち
いち言葉にしなくても私にだって、分かっていたのに。
みしりと胸が軋むのは、彼女の笑顔がひどくまっさらで、まっすぐなものだったから。だって私がエイラが
楽しんでいたそのときに考えていたことといったら。溜めていたものといったら。それを思い起こした瞬間
浮かべようとした笑顔は打ち消されてうやむやになってしまった。どうしたしまして。答えようとした言葉さえも
上手く音にならずにやみの中に消えていくばかり。ごまかすように空を見れば、あざ笑うように瞬く満天の
星。毎晩のように見ることが出来るのにはるか遠くにあって届かないそれは、エイラに少し似ている。一つ
大人になって、一歩近づけたと思うのに、またすぐに遠ざかってしまう。手を伸ばしても、背伸びをしても、
届かない。

なあ、サーニャ。
自然と辺りを包んだ沈黙を打ち消すように、ポツリと風に乗せられた言の葉。私は何も答えることが出来
なかったけれど、エイラはさして気にしなかったようだった。

「私たちは、いつまで戦い続けるんだろうナア」

それは沈黙に解けていくような静かな言葉だった。妙に感慨深げなその台詞に、私はやっぱり言葉を見つけ
ることが出来ずに押し黙るばかり。

「私が大人になる前に、戦いが終わるとイイナ」

オトナ。エイラの口からこぼれ出たその一つの単語はひどく物珍しくて、私はつい、「どうして?」と尋ね
返してしまった。大人。それは私にとってはまだずっとずっと先の話で、それはエイラも同じだと、ずっと
ずっと思っていたのに。
そんなことをいうものだから急に、エイラが私なんかじゃどうしたって追いつけないようなオトナそのものに
なってしまったかのような間隔を覚える。私にはまだ全然見えない『将来』が、エイラにはきっと見えている
のだ。
だって、ほら。エイラはそう言って、小さく息を吸った。一拍置いて、続ける。

「早く平和な世界にして、一緒にサーニャのお父さんとお母さん、捜しに行きたいダロ?」
戦いが終わるのを指くわえて待ってるなんてヤだからな、私。

ああ、もう、どうして!
何かを彼女に伝えたくて、けれどもどういえば良いのかわからなくて、私はその感情の赴くままにエイラの
胸に飛び込むことにした。ワアアアア!とあのエルマさんやニッカさんに負けないくらいの大声を上げる。
アアそう言えば、昼間にシャーリーさんやルッキーニちゃんに無理やり大きな箱に詰め込まれて、やっと
出してもらえたと思ったらそこにエイラがいた。そのときの気持ちに似ている。願ってやまなかったものが
目の前にあって、ようやっと手に入れられたときの喜び。たぶんきっと、そういった感じのもの。真っ暗闇の
箱の中から、私はまた、あなたという光を見つけたのだ。

ああもうどうして、私ばかりが与えられているだろう。今日はこの人の誕生日だというのに。それを少しでも
返したくて、今日という日のために入念な準備をしてきたのだというのに。
抱きしめる手に力を込めたら、どくどくと大きな音を打ち鳴らしているエイラの鼓動が耳に飛び込んできた。
そして同時にまた、頭の上にふわり、と優しい感触。エイラ。衣服に顔を押し付けて呟く。まるでエイラの胸に
直接語りかけるように。


637:Sign,Shine,Kind-後 4/4
09/02/22 04:49:33 EAPHF4ES
歳の割に大人びている、とか私はよく言われるけれど、本当は全然違う。少なくともこの人の前では私は
まだまだ甘ったれの、小さな小さな子供だ。
もういい歳なんだからもう少し落ち着け、とエイラはバルクホルン大尉にたしなめられていることがある
けれど、本当は全然違う。少なくとも私にとってはこの人はずっとずっと大人で、私なんかよりもずっと物事
をわきまえている。
たかが年齢が一つ縮まった、とか二つに離れた、とか。そんな小さなことを気にしてくよくよして、一人で
拗ねていた私はきっとひどく子供だ。だってエイラはそんなことお構い無しで、それより先の未来のことを
口にするのだ。『一緒』という言葉を使って、それを語って教えてくれる。私にとっては細切れでしかない
その月日を、彼女はいとも簡単に一つの線上に捉えることが出来る。そんな彼女は私はとても、とても
とても愛しく思うのだ。

「エイラ、」
「なんだ?サーニャ」
「誕生日、おめでとう」
「…ウン」
「生まれてきてくれて、ありがとう」
「……うん」

永遠を語れるほど私は大人ではないから、だからせめてこういおうと思った。

「ずっと一緒にいてね」

だってほら、そうしたら、たかが1年と半分の年の差なんてきっとちっぽけなものに思えるでしょう?
こんな小さなくよくよなんて吹き飛ばすくらいに傍にいて。不幸せになんてならないから。
それぐらいの誓いの言葉がこの胸には溢れているけれど、それを伝えるのはまだ少し気恥ずかしい。

うん、と答えてエイラがぎゅうと私を抱きしめてくれる。温かいなあ、なんてのどかに言うから私も気が抜けて
しまう。
ぼーん、と遠くから、時刻を知らせる音が鳴り響いたのを聞いた。ああ、きっともうすぐ明日が来る。
日付が変わるまではこうしていよう。こうしていてもいいよね?
なんて、いつもどおりだと言われたらそれまでだけれど、でも。

「しあわせ?」

尋ねたら、無言の頷きと早まる鼓動が答えてくれたから、それでいいのだと思った。


――
以上です。遅れてしまい申し訳ない
今日は猫の日だから使い魔と中身入れ替わりとかサーニャが猫化とかそう言うネタをみんな
温めてるんだろうなあ さすがです
お手数ですが>>592の「ニパさん」を「ニッカさん」に訂正をお願いします
そして、タイトルを未題からSign,Shine,Kindに変更しました

スレに追いつけておらず全然読めていないのですが、投下されたすべてのSSにGJGJ!
もう22スレ目とかすごいな!しかも2月22日にとか何という結束力


638:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 09:55:34 WvnwlUFb
埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め埋め
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639:名無しさん@ローカルルール変更議論中
09/02/22 10:08:58 mdhPwSK/
                                      _  ..., , ....._
                                      ,...::'": : : : : : : : : : :.`:.:. 、
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      ./:/:: :|:::::::/__l/x_-‐!'"::/ノ l:!::::::::::::li:l   . |:..:l l.|: /i! ...弋;;ソ      / .il:::c|!ヽ .l: :.:l: !:l'     _,'∠∠_/ .l  , .,'l .N
     l/i:/`.l:::::,'イ゙灯cl`i` l/::/__‐十-l::: :::|:ll  ....|: :ヽ.l/9   ////      辷ソ .'./´!: ,' ,'.l! i     .l/_//`ヽ' ./l_z,,l_l l
    . l! .'!.i゙ .',:::l.  ゞソ  ./ 伜ッ`i l-、:::/:ll ,-、...|: : :ゝ`_.、         .ゝ /// ./ .l:.,';/./.;.l    lィ'i仞ciヾ //ノ_/,_ .l/`
    ┌.ヽ . ヽ!u        ゞ'' /∧. ヽノ' . ヽ_ヽ_: : : : :.| ゙i、    /``ヽ     ./  ,'// .....!l    .l .弋;ソ  /...伜ciヽ ,|
. 、  (.ヽフ:,-,゙.ヘ.         '  ..// l!∧ .ヘ  / / /`ヽ: :',:.| \..  ゙、_,/   .,ィ'  /    l!;     | ///    弋シ .'/.l.,'
. ヽ /~,'"7ヽl_,lヽ|ヽ  ‐ 、._   /  .'  '.,. ヘ/ / / .l .〉:.:',:!   ヽ、  _ .、 <: :l  (゙ヽ  '、ヽ .l!',   .|    r- 、_ ' // / ,','
. ヘ../ ./../ /〉 . _| . >.、_ ,  ィヽ      ' ,'     ヽ': :..:',- 、   "l┐: : : : :..:',  ヽ \/~7''7‐、, ト |゙i.、  、___.ノ   ノ.// ./
 ...'.,     . ヽ./ ',    .l~ヽ、ヽ:::\     .' ,      ヽ: :.',  .``r 、,〈.ヽ'_,: : : :..:',‐- ヽ_/ /../ .l.〉ヽヽ| .ヽ、 _ , 、 .<./l///
  .∧    .', .ハ\   ,'i  `、o-::ヽ、     ' ,     ..',: :.', ̄|..| |.l l´〉、ヽ: : :..:.'., ̄l ´ヽ    .ヽ_.,/~!_   ト、-、
  ./:: ::V    l . ハ `>‐〈 .l.l゙l゙ll .l ̄ ̄` ヽ   ,、i     .l: : :',~r--、rz-‐‐,l .ヽ: :..:..:', .l  .l    .',〈  `'ァr'" ヽ::::`ヽ‐-‐ヽ
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