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2:獄レしたいのは、王氏が、習近平体制下の中国共産党が「目標達成のために軍事、ビジネス、文化などの分野で『全ての国』に浸透している」と警告したことだ。 「全ての国」には当然、日本や韓国も入るはずだ。  日本では嫌韓意識を、韓国では反日意識を高めることが中国の国益となるということを考えてみよう。  日韓対立により、安全保障面で日米韓同盟にくさびを打つことができる。また、日本の輸出規制強化などで日韓の経済的対立が高まり、サムスンなどと日本企業の協業関係が崩れれば、日韓を追撃する中国企業にとっては大きな利益だ。さらに、韓国で反日感情が高まり、日本が米国との一体化を強調すれば、韓国世論が反米になり、日米より中国に親近感を抱く傾向が高まる。  もちろん、根底には、日本の安倍晋三総理と韓国の文在寅大統領の対立があるのだが、その対立を助長するために、ネット工作などを通じて、日本の世論を嫌韓一色に染め上げれば、安倍政権は韓国に妥協できなくなるだけでなく、支持率を高めるためにさらなる嫌韓の動きを強めるインセンティブを与えられる。韓国も同様だ。  日韓の対立が両国にとって「百害あって一利なし」であることは、経済産業省の現場や経済界などでは十分に理解されているにもかかわらず、韓国に融和的な態度を取ることが、世論との関係で非常に難しくなっている。その背後には、外部からの工作活動の影響があるのかもしれない。  さらに、台湾では、政治家に中国側から資金提供が行われていたとされ、豪州でも同様の疑惑が表面化している。  日本や韓国でも政治家への資金提供が行われている可能性はないのだろうか。もちろん、受け取った政治家は、それが「毒饅頭」であることに気付いていないのかもしれない。過去には、日本の政治家が米CIAから資金提供を受けていたということもあった。  安倍政権は、そうした教訓も踏まえて慎重に行動しないと、「支持率欲しさに、外国勢力の思うがままに操られる」というとんだ落とし穴にはまる可能性がある。  いや、もしかすると、もうはまっているのかもしれない。その穴は、もがいてももがいても這い上がれない蟻地獄。 「毒饅頭」とか「蟻地獄」なんて考えすぎだと笑い飛ばしたいところだが……。 ※週刊朝日  2019年12月13日号 https://dot.asahi.com/wa/2019120200066.html




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