松田聖子 118 「 the ..
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61:名無しの歌姫
19/12/24 00:24:49.91 .net
● 「ハートのイアリング」 松田聖子
作詞:松本 隆 作曲:Holland Rose(佐野元春) 編曲:大村雅朗 (1984年発表)
松田聖子、19作目のシングル作品。
本作の作曲者である佐野元春(=Holland Rose)は、
ポップスに対して独自の美学を持っているせいか、他人への曲提供が極めて少ない。
しかし、少ないながら80年代歌謡史に残る大きな仕事を二つ残しており、
ひとつはジュリー(沢田研二)の粋なロックスピリットに火を付ける、
そんな導火線役を担ったような作品「彼女はデリケート」。
そしてもうひとつのポップナンバーが、本作「ハートのイアリング」である。
佐野元春にとって、80年代最高のポップス・ディーヴァ・松田聖子の世界に、
遅まきながら参加できたのは大変意義深いことであったであろうし、
この作品があったからこそ、松田聖子はその華麗なる第二章を、
有終の美を以って締めくくることが出来たのだ。
筆者が「第二章の有終の美」と書いたのは、
この作品を以って松本隆が「聖子プロジェクト」から一旦離れることによるが、
松田聖子を通して松本隆が創造した素晴らしい新世界は、
発表した一曲一曲が魅力的だったことはもちろん、
アルバムを合わせて 百曲近くにも及ぶ作品群がまるで、
一組の男女の恋物語の一瞬一瞬がパラレルに散らばって、
永遠を描いたパズルのピースのように思えてしまうところである。
ただ無邪気に好きでいられた彼らも、月日が経つと次第に駆け引きを覚え、
時に互いの心を深く傷つけ合うようになっていく。
そのエピローグのひとつの可能性として、
この作品では苦さと痛みを伴う「失恋」を迎える。
佐野元春ならではのヘビーな旋律に引きずられるように、
松本の描く「失恋劇」のカタストロフィーは、
感情の混濁とでも呼びたくなるような心理劇へと進行していく。
破れた心の悲鳴のように響く聖子の歌声。
立ち上がることも、振り向くことさえ出来ない悲しみが、
煌めく世界の片隅て、かき消された灯火としてそこにある。
タイトルは文字通り「ハートの形のイヤリング」だが、
それは離れていく恋人の気を引くため、
他の男性からもらったと嘘をつくための小道具であり、
傷ついた心を飾る美しき偽りと言う意味も持ち合わせている。
この徹頭徹尾貫かれた虚構美こそ、松田聖子ポップスの真骨頂だろう。


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