アニメキャラ・バトル ..
331:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 02:42:47 RYHpF7lS
332:読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg
07/11/23 02:43:28 s2H/XUtY
「大体これほど書物が支給されている時点でおかしな話だ。
これを凶器にする訳でもあるまいし
大体本当に殺し合いをさせたいのなら本など支給する必要はあるまい。
では本とは何だ?」
「いや、なにって本は本でしょ?」
「たわけ。本とは情報だ。
この舞台。施設といい、図書といい。奴の発言といい。
あからさまなまでに参加者を釣る情報と言う餌がばら撒かれいる。
まるで何かに気付いた下さいと言わんばかりにだ。
は。これでは釣堀か何かのようではないか。
ここまで露骨過ぎては釣られてやる気にもならん。
もっとも、釣り餌に喰らいついた者(さかな)の末路など語るまでもないだろうが」
嘲笑うかのような冷笑。
それはきっと、ギルガメシュの言うところの釣られた魚に向けられたモノだろう。
あのオッサンがキャッチ&リリースするようなエコロジストでもない限り、釣られた魚はまな板の上ということか。
「結局のところ奴は情報を開かしてなにがしたいのか?
何故明かす? 何故見せる?
何を明かす? 何を見せる?
その意図は? その意味は?
いったい奴は、何を期待している?」
矢継ぎ早にギルガメッシュは問いを投げる。
その問いかけは誰へ向けたモノか。
あたしに対してか、己に対してか。
それとも、ここいない誰かへか。
少なくとも答えを知らないあたしは押し黙るしかない。
「まあよい、残りは宿題だ。己で考えて置け」
元から答えなど期待していなかったのか、それとも、既に答えを得ているのか。
金ピカはあっさりと問答に見切りをつけ読書を再開する。
先ほどの話で色々気になるところはあったのだが、こうなってはもう駄目だろう。
こいつに一度失った興味を取り戻させるなど、この殺し合いを生き残ることより困難だ。
333:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 02:44:03 mDpQkLrO
334:読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg
07/11/23 02:44:34 s2H/XUtY
金ピカが先ほどから熱心に読み耽るのはやたらと分厚い一冊の本。
ティム・マルコー著『今日の献立一〇〇〇種』。
本を読み進めながら、ギルガメッシュは満足げな笑みを浮べている。
献立見ながら笑う様はなんかアレだ。
「……ねぇ。面白い、それ?」
「悪くはない。
生きた人間を材料に錬金術を用いた”賢者の石”とやらの創り方が書かれているが。
この錬金術も、我の知る―穴倉の輩が使う―錬金術とも形態が異なるようだ」
…………スゲエ献立だな、ティム・マルコー。
「足りぬものを一から創るのではなく、既にある余所から持ってくるのは効率的だ。
増えすぎた余分なものから使える部分を抽出して、道具を生み出すこのやり方は理想的とも言えるだろうよ」
本当に感心したような声でそう呟くギルガメッシュ。
だが、さっきこいつは、その材料が、なんであると言ったか?
「余分なモノって……人間がってこと?」
「そうだ。今の世は余計なモノで溢れている。
我の時代の話なのだがな。
十人の奴隷を選び、その中で“いなくともよい”モノを殺そうとした事がある。
どうなったと思う?」
我の時代、という謎発言はスルーして。
無視する訳にもいかないので、一先ず考えて見る。
「そうね……全員殺した、とか?」
奴隷なぞ皆殺しだぁ、とか言って。
こいつの性格ならやりかねない。
だが、ギルガメッシュはあたしの言葉に頭を振る。
「いやいや。それがな、一人も殺せなかった。
いかな人足とは言え無駄なモノなどいなかったのだ、かつての世界には。
だが、現界してみればどうだ?
今の世ならば十人どころか何千という人間を選んだところで、殺せない人間など出てこまいよ。
なんとも人間に優しい世界になったものだ」
そう言ってギルガメッシュは皮肉げに肩をすくめる。
その様は酷く残念がっているようにも見えるし、酷く楽しんでいるようにも見える。
「ただ無価値なものが数ばかりが溢れている世界なぞ、見ているだけで気色が悪い。
わかるか? 多いという事は、ただそれだけで怖ましい。
怖ましきは一掃するが正義というものだろう?
我は豪勢な物を許す。装飾華美など最も愛でるべきものだ。だが余分なモノに与える意義などない。
そんな無意味で無価値な余分なモノなぞ、生きる権利をすら持ったいない。
せめて穢れた生の苦より救うために死を遣わせるのが、情けと言うものであろう?」
驚くほど冷たい赤い瞳。
こいつは本気で多いというだけで人を無価値と断じている。
そしてこいつは、本気でそんな理由だけで人が殺せるのだろう。
335:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 02:44:57 RYHpF7lS
336:読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg
07/11/23 02:45:46 s2H/XUtY
「まあ、この場所に集められたものはある程度の人選はされているようだ。
多少の小石はあれど、無価値なものは少なかろう。その点はよい。
だが、 選定はあくまで我が行う。奴の定めた人選なぞ、畜生にも喰わせてしまえ。
弱者はいらん、我が統べるに値するはあくまで強者のみだ。
この程度の事態で脱落するような輩は我が統べるに値しない。
蜘蛛女。我の従者となれたこと、もっと喜んで良いのだぞ」
あーそーっすか。光栄すぎて涙がでそうだ。
モノレール早く来ねーかな。
「まあ、このままこの実験とやらが進めば、必然的に我が統べるに値する強者が生き残るだろうが。
こんな遊戯は早めに潰すに限る。これ以上おめおめと人間が殺し合うのを放置しておくのも性にあわぬからな」
正直、驚きだ。いや、マジで。
この自分のこと以外考えていない、散々人を無価値と断じてきた男から、まさか、他の参加者を心配をするような発言が飛び出すとは。
「……どういう風の吹き回しよ。アンタがそんなこと言うなんて?」
「驚くことはあるまい。我は、我以外の者が人を殺める事を善しとせん。
人が人を降せばつまらぬ罪罰で迷おう。その手の苦しみは楽しくもないからな」
本に目を落としたままギルガメッシュはそう言った。
むちゃくちゃな奴だけど、こいつにはこいつなりの正義心があるのかもしれない。
まあ、その正義心もむちゃくちゃなのが問題なんだけど。
「さて、モノレールも見えて見たか、直に放送だ。準備しておけよ蜘蛛女。
定時内容の他に、きっと奴がつまらんことを抜かすぞ」
くっ、と喉を鳴らしながら、ギルガメッシュは本を(あたしの)リュックに仕舞い込む。
「つまらんことって、何よ?」
「さてな。聞けばわかることだ。
精々聞き漏らさぬようにすることだ」
そう言ってギルガメッシュはベンチから立ち上がった。
あたしも同じく席を立つ。
太陽は高く、時刻は時期正午。
ここは端っこジーワン駅。
人気はなく喧騒もなし。
モノレールが駅に到着する。
静寂に鳴り響くブレーキ音。
それを掻き消す様に天上から声が響いた。
337:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 02:46:00 mDpQkLrO
338:読書の時間 ◆Wf0eUCE.vg
07/11/23 02:46:52 s2H/XUtY
【G-1 道路/一日目 昼】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:健康、眼帯を外したい
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン、全てを見通す眼の書@R.O.D(シリーズ) 、奈緒が適当に集めてきた本数冊 、『原作版・バトルロワイアル』 、『今日の献立一〇〇〇種』
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
1:とりあえず金ぴかと一緒に行動する
2:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い
3:藤乃にはあまり会いたくない
※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。
※ドモンの発した"ガンダム"という単語と本で読んだガンダムの関連が頭の中で引っ掛かっています。
【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:巳六@舞-HiME 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、シェスカの全蔵書(1/2)@鋼の錬金術師
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】【王の財宝】の入手。
1:モノレールを用い、北上する。出会えば衛宮士郎を殺す。具体的な目的地のキーワードは【高速道路】【河川】
2:異世界の情報を集めておく。
3:宝具、それに順ずる道具を集める
4:目障りな雑種は叩き切る
5:ドモンに不快感
6:エレメントに興味
※学校の図書館には様々な異世界の歴史を記した本があります。
(ただしどれだけ関係ない話があるか、どこまで詳細かは不明。
少なくとも参加者の名前や能力については述べられていない。
また1stガンダム〜ガンダム00まで全黒歴史を紹介するなど、関係ない情報も相当数紛れている)
※主催者による監視を警戒しています
※今日の献立一〇〇〇種はシェスカの全蔵書から出てきた物です。
※参戦時期は原作死亡時。
339:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 02:47:06 RYHpF7lS
340:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 09:37:53 QiW7zeOh
>>472-473
荒し仲間として教えてあげよう。
ここは投下専用スレ。そのルールを守ろうとする人が、ここで議論するわけがない。
2ch側とかしたらば側とか自称しても、証拠も何もない。
荒し同士で議論してるフリをして、議論に参加しなかった人を追い出す、という策は脆くも崩れたわけだ。
ご愁傷様。
341:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 14:03:14 vEVFUrx/
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>ID:s2H/XUtY
2chのスレで決められた運営ルールは守りましょう。
したらばでいくらテンプレを作って強引にスレ立てしたってこのスレの住人は納得しませんよ
移動はあなた方の代表と話し合って決めて、しかもそれに対して何度も通告してます。
削除依頼を出せというのは、あなたがたの代表のお話です。
十二分に時間は与えた筈です。
アニメサロンに自ら行くと仰られたのですから、その自己の発言には責任を持ちなさい
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342:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 14:05:49 NUBfvQ8P
>>492
ここに住人がいるって事がなによりの証拠やん
何寝言言ってるんだ?
343:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 16:37:09 aOp3zC+i
ほらほらー、お前が正しいと思ってんなら言ったとおりにSS削除依頼だせよー♪
できるもんならなーw
まぁ、SS職人が認めないんじゃ議論も無効だね、それで終わり。
344:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 16:41:18 aOp3zC+i
493君ことゴッキー君無駄だよーーん、どんなにがんばってもテンプレ変更はないし、書き手は移動しないよーんw
永久にがんばってね、ばーかw
345:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 17:39:18 YMLA8Y3Q
なるほど、今度は荒らしにかまってる住人がいるふりをしようという腹か
IPチェックこの間の削除の時にされてるだろうから、IPに気を使えよ
とりあえず、皆さん
荒らしは今まで通りスルーで。
>>495や>>496の発言は9割9分Gです。Gは削除を逃れるために何でもやってきます。
ここを乗り切れば終わりでしょうし。とりあえず自分の発言ごと削除依頼出してくる。
346:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 19:15:14 PToDQVX7
495 名無しさん@お腹いっぱい。 sage New! 2007/11/23(金) 16:37:09 ID:aOp3zC+i
ほらほらー、お前が正しいと思ってんなら言ったとおりにSS削除依頼だせよー♪
できるもんならなーw
まぁ、SS職人が認めないんじゃ議論も無効だね、それで終わり。
↑完全な荒らし宣言じゃんwwwwwwwwwwwwwwwwwww
347:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 19:55:21 PEbwyM/i
, - ─- 、_
/ `丶
rー‐<::/ ン-―ー- 、 、 \
{(こ 〆.:::/ ____ \ ヽ..::::ヽ
__/'´/ 〃7了.:.:.:.:.:.:.:.:`ヽ.j ::ヤ¬寸
/,イ>/ .:::/,':::{:::::!:::::::::::::::::ヽ ::|:. ::::Vヽ_,イ
レ/,イ ::/ :{:ハ\{ ::、::ヽ ::::::}::_|_: :::::l >::|
{/::| :!{.::ィ'f坏ト\{ヽ ,><ム:!:::::::: Kヽ:ト、
|::::ヽ::i:ヽi. r'_;メ ヽ´ イ圷ハ|::::::::::|\/ヽ>
|i:::::::トl::ハ. , r';ン´j::::::::: l: V したらばSSに
|i::::::::!:::: ヘ {>ーァ /:!::::::::/::/ 削除依頼だしてきたわ
lN:ヽ:ヽ::',:::ヽ、ヽ _,ノ ,.ィ::/::::::/ /
ヾ /}::}八::::ヽ>.-‐か/7::/∨
r<¨ リ\`ヽ、\__ { 〉/イ l )} もう我慢も限界でしょ?
f⌒ \ \ヽ )' \ニニ∧ | |!彡ヘ
| \ ヽム ヽ‐' .| | }ヘ,__,イ
r-ヽ  ̄ )\ Vrj/ ̄ヽ ヽ
| \ // /)ミ ー-∨ / ̄ ヽ
| (>―‐'/ /勺ヽ¨ア / }
| \三三‐'ノ ^ヽ/ /-―一 '
348:読子達がみてる ◆UCRiZtpozI
07/11/23 21:35:06 LAqBoxeM
「だからその紙を置け、紙を」
スパイク・スピーゲルは温泉に入りながら微妙に命の危機を感じていた。
目の前には紙を構えた読子・リードマンがおり、その紙がなぜかは不明であるが鋭利な刃物となることを知っていたからである。
混浴だからと言って一緒に入ったのが問題であったらしい。
とはいえ、リードマンの裸などに興味はない。
「水着着てるんだから、見られて困るようなモンはないだろ」
それにリードマンは混浴だということを事前に知っていたため何処かから調達した水着を着ていたのだ。
これでは裸を見られるも何もあったものではない。それを知っていたが故に自分は混浴の温泉に入っているのだ。
流石に、裸婦のいる浴場に突入して紙手裏剣や風呂桶が飛んでこないことを予測できないわけがない。
「……むぅ」
読子は膨れっ面で紙や本を入れている風呂桶を持って湯から上がり、
「俺も上がるか」
スパイクも重い腰を上げ後に続く。
H2Oという空間からスパイクの裸体が介抱され、周囲に晒される。
手ぬぐいという邪魔なものなど一切身に着けてはいない。
正真正銘の丸裸である。
その体は180を超える長身を誇り、普段の鍛錬で引き締まった筋肉は女性を魅了するに相応しい。
また、無駄な贅肉が付いていないため男が憧れるのも無理はないと言うべき姿である。
だがこの場に唯一存在する女性にはまったく魅了の効果を発揮せず、
逆に背中を向きスパイクの方を見もせずに顔を背けさせる効果しか持たなかった。
「スパイクさんには恥じらいが足りません」
「わりぃ、貧乏なんだ」
スパイクの方に振り向こうともしない読子の非難に、彼は至極あっさりとした冗談を返した。
■
349:読子達がみてる ◆UCRiZtpozI
07/11/23 21:36:38 LAqBoxeM
「なあ、機嫌直そうぜ」
体を拭き服を着たスパイクと読子は廊下を歩いていた。
だが読子の機嫌は斜め右下に進んでいた。
30というおばさん呼ばわりされても不思議ではない年齢の彼女とて、スパイクの無神経ぶりには御立腹なのであった。
「俺が悪かったからさぁ」
図太い神経を持つスパイクでも流石に調子に乗りすぎたと考え、
なんとか機嫌を直してもらおうと浴場を出てから何度か謝罪の言葉を紡ぐがいっこうに効果は上がらない。
読子がスパイクの先を歩いているため彼に彼女の表情など窺えないが、背中越しからでも考えていることが理解できる。
ああ、流石のこいつでも怒るんだ。と。
数時間ほどの付き合いで流石も何もあったものでは無いが、
これまでの行動からスパイクはリードマンのことをあまり怒らない人種の人間だと判断していた。
「もういいッ!! 全員黙れッッ!!!!」
そんな二人が廊下を当ても無く歩いているときだった。玄関先から聞こえた若い青年の声が耳朶を振るわせたのは。
スパイクと読子はお互い顔を見合わせ疑問符を浮かべる。
いったい何が起こっているのか?
二人は無言で小走りに廊下を歩き、曲がれば何かが起こっているであろう場所の手前で立ち止まり壁に隠れながら玄関の様子を窺う。
「突然だが、ここはゼロを筆頭とする、反螺旋王組織『黒の騎士団』の指揮下に置かれる!
以降は、そこに居られるゼロが全ての指揮を取る! 異論は認められない!!」
玄関では複数の人間と猫達がいた。
先ほどまで共に行動していたはやて達である。
他にも見知らぬ学生達にどこぞのヒーロのコスプレにメカメカしい猫、と奇人変人のオンパレードである。
いったい何をしているのか?
スパイクは読子と共に様子を窺うことにした。自分でも知らず知らずの内に銃を握り締めながら。
だがスパイクが予想していたような血なまぐさい展開は起こってはいなかった。
ただ青年が声を張り上げ演説をし、全員の注目を集めているだけであった。
しかも内容は非常におざなりなものと言わざるえない。目的だけ駆け足で言っているだけだ。
あれならば、まだビシャスの方が口が達者だ。案の定はやて達からは非難の声が聞こえる。
350:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/23 21:37:55 /k0aZ8/S
351:読子達がみてる ◆UCRiZtpozI
07/11/23 21:38:25 LAqBoxeM
だがたった一声で、非難の声が突然止まる。こちらに背を向け全員の注目を集めている青年の一言で。
「やって欲しいことはこれだけだ。 エリア中心部に行き、他の参加者に接触し、使えそうならば我々の仲間に誘う。
我々に害を為すようなら排除する。それだけだ。頼む。協力してくれ」
青年がそう言い放った瞬間、その場にいたほぼ半数の者達が同意する。
そのままはやて達は屋外へと出て行ってしまった。なぜか倒れた青年を無視して。
「……なんだぁ?」
スパイクには何が起こっているのか理解できない。声を掛けるという発想すら思いつけないほどに奇妙な状況であった。
「スパイクさん、ちょっとこちらへ」
だがそんなスパイクの困惑を無視するかのように読子は彼の腕を掴み、以外な力を発揮してその場から離れようとする。
「おい、痛いって……」
「静かにお願いします」
「どこに連れて……」
「黙っていて下さい」
スパイクは言葉を紡ごうとは思ったが、読子から発せられる何かに押しとどめられ黙ってしまう。
リードマンからは先ほどまで発せられていた朗らかな空気は消え去っており、
逆に自分のようなカウボーイたちが発する硝煙の臭いに似た何かに取って代わっていた。
リードマンは真剣な表情でそんな気配を纏いながら、自分を手近な部屋へと連れて行く。
「スパイクさん、たぶん非常に厄介なことになっていると思います」
部屋の扉を閉めると、開口一番に何を言おうとしているのか分からないことを言い放つ。
何が厄介なのか、この女の一言ではまったく分からない。
「いや、いきなり厄介なことになったと言われても……」
「あの男の子は特殊能力を持っているんですよ」
「ハァ?」
「だから、相手の行動を操る類の能力を持っているんですよ。一般には催眠術と呼ばれるようなものを」
リードマンの答えは予想を遥かに超えた珍解答であった。
とりあえず黄色い救急車を呼んで、病院に連れて行くのが一番だろう。
「いいかリードマン。温泉に入ったからといって脳までふやけるのは人間としてどうかしているぞ」
「ふざけないで下さいスパイクさん」
「ふざけているのはお前だろうが」
「スパイクさんも見たはずです、いきなりはやてさん達の行動が変化したのを。あれは彼の仕業です」
「……たまには人間変わったことをしたくなるもんさ」
「それでもおかしすぎます。温泉に入っていた私達を放っておいてどこかに行くものでしょうか?」
「そりゃあ……」
そこで言いよどむ。たしかにリードマンの言うとおり、あっさり自分達を放って一言もなしにどこかに行くのは妙である。
猫と男の方は我が強く人の言うことを簡単に聞くとは思えず、はやての方も何か一声ぐらいは掛けそうな性格だ。
それに、はやてはたしか自分が風呂に入る前にリードマンに鞄を返したいなどと言っており、
その時にはリードマンが風呂に入っていたために、上がってから返すつもりだったはずだ。
あの少年が青臭い正論を吐いたからと言って、彼の言葉を第一目標にするのはおかしい。
そうするにしても、相談の一つぐらいあっても良さそうなものなのだ。
しかし、人を操る超能力をあの少年が持っているなどと言われ簡単に信じるのは馬鹿がやることだ。
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