アニメキャラ・バトル ..
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331:いくらなんでも
07/09/27 02:33:06 Lhu3A0gv
携帯でこんな事やりたくねえなあwwwww

332:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:33:10 e11UyVRZ

ロージェノムはこのゲームを実験と称した。
ならば、この殺しあいをモニタリングしているのではないか。
また、参加者の脱出や反乱を防ぐためにも、監視している可能性は高い。
それならば、こちらから接触することは容易い。
反乱分子とみなされるリスクもあるが、ほぼ無いことだと推測する。
実験を円滑に進めるには、殺しあいに乗る者がより多いほうよいからだ。
情報と引き換えに殺しあいに乗るとなれば、ロージェノムにとっても悪い話ではあるまい。
問題はロージェノムが望みを叶えなかったときだが、相手の目的がわかれば利用することもできるだろう。
それに、広間でのロージェノムの言葉からすると、優秀な者を選び出すことが目的の一環のはずだ。勝者を無碍に扱いはすまい。

そして、マスターアジアは決断を下した。
このゲームに乗る―ただし、参加者から情報や考察を聞き出したうえでだ。
さらに監視方法を特定し、早々にロージェノムと接触しなければない。

懸念はある。参加者のなかに強敵がいるかもしれないことだ。
一瞬にして異形の鎧姿となった、モロトフという男を思い出す。
あの攻撃を受ければ、自分もただでは済まないだろう。
だが、とうに覚悟はできている。
デビルガンダムと会った日、いや、四年前のガンダムファイト優勝直後、あの寂れた風景を見たときから。

地図を見直す。自分が【A-7】にいることは間違いない。
わざわざエリアの端に来る者はいないだろう。そう推測し、中央に向かう道を探す。
ちょうど近くに高速道路があった。慣れない道を行くより、一本道のほうがよいだろう。
そう決めると、デイパックを下に置く。そして、

「かあッ!」

かけ声と共に地を蹴った。
風を切り裂き上昇する。それはすでに飛翔であった。
だがそれにも限界がある。速度を落としていく最中、目に高速道路を捉えた。
あとは落下してゆくだけだ。それまで暇を持て余すだけなので、夜景を楽しむことにする。
そこで、マスターアジアは予期せぬものを見た。



それは、自分とほぼ同じ高さにいる人であった。



 ◆ ◆ ◆





333:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:34:15 xW3d/ZyO


334:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:34:15 uoskYpuH
             

335:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:34:25 Hc/q+VrX
 

336:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:34:44 e11UyVRZ
二人の視線がぶつかる。

その瞬間、研ぎ澄まされた五感、積み上げられた経験、第六感というべきものを含めた全てが互いに告げあった。

((目の前の男は――強い!!))

落下してゆくなか、お互いの姿が見えなくなるまで睨み合う。
そして着地と同時に、相手へと向かって猛然と駆け出した。

数秒もせずに、お互いを遮る壁―ショッピングモールの店舗の一つが見え、二人はさらに加速する。
そして、同時に跳躍。十数メートルはある店舗を易々と飛び越え、屋上へと降り立つ。
ついに、二人は相対した。

もう一度睨み合いが始まり、張り詰めた空気が場を支配する。

緊迫した空気を先に破ったのはアルベルトだった。

「ジジイ、貴様何者だ。この下らんゲームに乗っているのか?」

殺気と威圧感の籠もった声を叩きつける。しかし、アルベルトにはわかっていた。
これは確認でしかないのだと。これから始まることの確認に過ぎないのだと―。

殺気や威圧感など、どこ吹く風といったマスターアジアが笑う。

「乗った、と言ったらどうする? 若造」

明らかに挑発だった。同時に、相手もこれが確認だとわかっている証拠でもある。

「どうもせん。わしは降り掛かる火の粉を払うだけだ」
アルベルトは猛禽のような笑みを浮かべ、返答した。
その答えに、マスターアジアはますます笑みを深める。

「ならば、わしらのやることは決まっておるな」
「ああ、そうだな」

一瞬の静寂。それはすぐさま打ち破られた。

「武闘家なら武闘家らしく、拳で語るまでよ!」
「ぬかせ! ジジイが!」


337:毒吐き進捗
07/09/27 02:35:04 nK/P3aDq
1099 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:44:39 ID:???0
聖水とかにんにくとか十字架とか塩とか、ゾンビ特効みたいなモノって不死者に全く影響なし?
あと、いわゆる「唯一殺す方法」以外に殺す方法がないってのはなんか確認されている描写ってあったっけ?

諸々、設定について詳しく手っ取り早くわかる巻を教えてほしいんだぜ!

1100 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:46:01 ID:???0
ただの鎖だとしてもそこらへんの空間から不意に現れ、
自動的に相手を縛り上げる鎖は十分に恐るべき凶悪兵装だw

1101 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:46:13 ID:???0
原作1巻で設定されている、とアニメ見てない人間が言ってみる。

1102 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:47:53 ID:???0
よっしゃとりあえず一巻だな。
アニメ待ってたら不死者がいなくなりそうだw

1103 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:49:58 ID:???0
まあとりあえず不死者ってのは
十字架もにんにくも聖水もその手のやつとはまったく無関係な存在だから効果はないよ

1104 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:49:58 ID:???0
生きている不死者だからなー
死んでから不死者になった吸血鬼やゾンビとはまったく別物

1105 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 01:57:00 ID:???0
もう二時か…朝までには投下されんのかなぁ…
何かもう流れでgdgdになっちゃってはいるが、予約期限はしっかりと守って欲しいよなぁ…

1106 :やってられない名無しさん:2007/09/27(木) 02:07:21 ID:???0
>>1105
今日中に投下されれば、御の字さ。
あの二人を書いてくれるんだから。
どっちも俺には無理。

338:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:36:02 e11UyVRZ

マスターアジアが構えをとり、アルベルトは両手を赤く光らせる。

―闘いの火蓋が切って落とされた。

両者とも一足跳びに間合いを詰め、お互いの腕を打ち合わせる。
その瞬間、確かに大気が震えた。
それが二度、三度と繰り返されると、マスターアジアが攻勢に出た。
間髪なく打ち出される拳の弾幕。
常人には手が増えたとしか思えない攻撃を、アルベルトは全て受けきる。

弾幕の隙を抜い、アルベルトが反撃に出た。
動きを止めるためのボディーブロー。
それを避けられぬと悟ったマスターアジアは―防御をせず、逆に攻撃した。
顔面へのカウンター気味のパンチ。
互いの攻撃がしかと決まり、鈍い音が響き渡る。
マスターアジアの腹が抉れ、アルベルトの顔が歪んだ。

両者は一旦距離をとって対峙する。

「やりおるな、若造」
「ふん、貴様もな」

身体能力はほぼ互角―そう悟った両者は、どう攻めるか思案する。

先に動いたのはアルベルトだった。
力を溜めるように、背を反らしていく。
二つの手のひらに赤黒いエネルギーの奔流―衝撃波が生まれる。そして、

「かあッ!!」
気合いとともにマスターアジアを狙い撃った。
屋上を抉りながら一直線に迫り来る衝撃波。
マスターアジアの顔に驚愕の色が浮かぶが、すぐに元に戻る。

「はッ! これしきの攻撃、避けられぬとでも思うたか!」
そう言いながら横に跳ぶ。そして反撃に移ろうとした次の瞬間、目にしたのはこちらへと片手を向けるアルベルトの姿だった。


339:336へ
07/09/27 02:36:21 FXxDk7ju
>一瞬の静寂。それはすぐさま打ち破られた。

>「武闘家なら武闘家らしく、拳で語るまでよ!」
>「ぬかせ! ジジイが!」


文章としてこりゃダメだろ

340:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:36:35 xW3d/ZyO


341:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:36:46 DHZ1PoRw
  

342:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:37:14 uoskYpuH
               

343:甘い。
07/09/27 02:37:51 d8/xZnJb
状況説明だけで書かれた典型的な厨房の文章

-----------------------------------------------------------
先に動いたのはアルベルトだった。
力を溜めるように、背を反らしていく。
二つの手のひらに赤黒いエネルギーの奔流―衝撃波が生まれる。そして、
-----------------------------------------------------------

ここらへんとか特に

344:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:38:24 DHZ1PoRw
  

345:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:38:39 uoskYpuH
        

346:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:38:49 e11UyVRZ

「なら、当たるまで続けるだけだ!」

左右の手から連続して衝撃波が放たれる。
しかし、マスターアジアは驚異的な身体能力と反射神経で衝撃波を避けてゆく。

「どうした? ジジイ。逃げてばかりではわしを倒せはせんぞ」
「ほざけ! 若造が!」

だがすでに、追う者と追われる者の構図ができあがっていた。

二人は隣接する店舗の屋上を移動してゆく。
その間も衝撃波の嵐は止むことがない。
結果、屋上の破壊が増えるのみ。
しかし、連続する破砕音は確実にマスターアジアに近づいていた。

「これで終わりだ!」
アルベルトが跳躍し、とどめとばかりに一際大きな衝撃波を放った。
それは確実にマスターアジアを捉えるはずだった。
しかし衝撃波が当たる直前、マスターアジアの姿が掻き消えた。
―いや、違う。当たる直前、大きく地を蹴り、空高く跳躍したのだ。
それをアルベルトの目は捉えていた。
落下しながら上をみる。
そこには、月光に照らされたマスターアジアの姿があった。

「今のを避けたのは褒めてやろう。だが、動きの不自由な空中でこれを避けられるかな?」
両手に衝撃波を生み出し、力を溜めてゆく。
そんな絶望的な状況で、落ちてゆくマスターアジアは確かに笑った。

「まだまだ甘い、甘いわ!」
マスターアジアの腰布がほどけ、宙に舞った。
手の動きに応え、腰布はマスターアジアを中心に螺旋を描く。

今度驚愕するのは、アルベルトの番だった。
舞っていた腰布が、弾丸の如く撃ち出されたのだ。
先ほどまでの柔軟さを微塵も感じさせず、腰布は一直線にアルベルトの頭部へと向かう。


347:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:39:35 xW3d/ZyO


348:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:39:46 uoskYpuH
        

349:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:39:48 CFMwroBr


350:本スレの連中は読んでもいねーぜ
07/09/27 02:40:01 MicD09fb
935 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 00:34:18 ID:GkfA5Aew0
なるほどね、要するに空気+ここの>>895ってことか。
前書き手やってたロワではそういうのなかったからちょっと気になった。

936 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 00:40:48 ID:c/FLLUns0
その空気がいつできたかってのは俺もよくしらないが、1stのときからそうだったんじゃない?
まあ他ロワからきた書き手もいるだろうけど、知らなかったとしても問題はフライング予約になるくらいで、実際誰もそれしなかったんだから結果オーライってことで。

937 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 00:56:58 ID:u561Nt4w0
変な慣習だが少なくとも書き手はみんな納得しているんだから問題ない。

他ロワ出身の方のためにテンプレにいれといても良かったかもしれないけど、最初だけだからなー。

念のため、放送越えで書かないってのはわざわざ言わなくもどこのロワでも確立してるよね。

938 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 01:32:38 ID:Pb5/xVoA0
とりあえずこれ以降は第一回放送まで普通に予約できるから
安心しろ、何に安心しろなのかイマイチわからんが安心しろ

939 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 01:58:06 ID:ZksWAGSY0
俺が安心するお前に安心するな。
お前が安心する俺に安心するな。
お前が安心するお前に安心しろ。

940 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 02:10:25 ID:A1Xrjkh20
兄貴語呂悪いよ兄貴

941 名前:ツチダマな名無しさん :2007/09/27(木) 02:35:17 ID:ZksWAGSY0
語呂が良けりゃ偉いのか!?
てめぇら全員うまい事言いやがれ!!

351:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:40:42 e11UyVRZ

アルベルトも落下中である。避けるすべはないかに見えた。
しかし、アルベルトは両手に溜めていた衝撃波を噴射し、腰布の軌道から僅かに外れたのだ。
腰布が頭の脇を通り過ぎる。

「どちらが甘いか思い知らせてくれる!」

腰布を引っ張り、肉弾戦仕掛けようとするアルベルトだったが、それはマスターアジアの声で中断することなった。

「だから甘いと言ったであろうが!」

マスターアジアが急速に体を回転させ始めた。
すると不思議なことに、その動きに呼応するかの如く、腰布がぐにゃりと軌道を変える。
さらにアルベルトは驚愕することになった。
腰布が意志を持っているかのように、頭へと巻きついてきたのだ。

「うおおおおおぉッ!」

悲鳴をあげながらも腰布をほどこうとするが、腰布はますます頭を覆い隠してゆく。
ついに、腰布によって頭が見えなくなった。

「その首もらったぁ!!」

マスターアジアは回転を止め、腰布を渾身の力で引き、アルベルトの頭を切り刻もうとする。

しかし、それは不発に終わった。

「なにィ!」

手応えがまったくないことに驚きの声をあげる。
相手の頭があったはずの部分を注視するが、確かに首がない。
―では、なぜ手応えが?
疑問はすぐに氷解した。
にょきり、そんな音がするかのように、アルベルトの頭がスーツから飛び出したのだ。
その顔には怒りの色が浮かんでいる。

「このォ、クソジジイがッ!!」

怒声とともに衝撃波が放たれた。
それは、思いもよらぬ光景に硬直していたマスターアジアを直撃した。


352:あのさ
07/09/27 02:40:52 FXxDk7ju
放送超えて書くのはよくあるだろ

353:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:41:49 DHZ1PoRw
   

354:「うおおおおおぉッ!」 とか
07/09/27 02:42:04 3+NoZfgz
叫び声多杉

355:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:42:21 xW3d/ZyO


356:だめだこりゃ
07/09/27 02:42:46 FXxDk7ju
だめだこりゃ

357:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:42:51 uoskYpuH
         

358:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:43:54 e11UyVRZ

「うおおおおおぉッ!」

今度は、マスターアジアが悲鳴をあげる番だった。
ふんばって耐えようとするも、足場のない空中ではそれもできず、吹き飛ばされる。
従って、次の出来事は必然だった。

「しまった! 足場が!」
屋上が途切れたのだ。
そのまま、マスターアジアは落ちてゆく。
アルベルトが追撃をかけるために走り出した。
今、立っている店舗は二十メートルはあったが、あのまま落ちても死なない相手だと確信していたからだ。
しかし、屋上の端に辿り着いたアルベルト待ち受けていたのは、またしても驚愕だった。

「うぉりゃああああッ!」
下から、マスターアジアが体勢を横にし、回転しながら空中を駈け上がって来たのだ。
よく見ると、屋上のすぐ脇の壁に腰布が突き刺さっている。
その腰布を高速回転する体で巻きとっているのだ。
そう理解したとき、マスターアジアが腰布を巻きとり終わり、勢いそのまま真上へと飛び出した。

「馬鹿め。先ほどの手はもう喰わんぞ」

真上にいるマスターアジアに対して、アルベルトが言い放つ。
そして今度こそと、両手を上にかざす。
それを見ても、マスターアジアは不敵に笑った。

「それはどうかな?」

落下してゆくなか、マスターアジアの掌か前に突き出され、大きく円を描く。
その軌跡には梵字が浮かび上がり、梵字による円が完成する。
アルベルトが衝撃波を放つのと、マスターアジアが奥義を放つのは同時だった。

「くたばれッ!」
「十二王方牌大車併!」

如何なる原理か―十二個の梵字それぞれから、小さなマスターアジアの分身が生まれ、突撃してゆく。
十二の分身と衝撃波がぶつかりあう。
轟音が響き、煙が立ち込める。
押し勝ったのは―分身のほうだった。
それでも七体は相殺して消え、残りの五体がアルベルトに襲いかかる。


359:エージェント・774
07/09/27 02:44:08 bRxwDEAj
作品のせいもあるけど、
なんか幼稚

360:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:44:51 xW3d/ZyO


361:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:44:59 DHZ1PoRw
  

362:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:45:04 uoskYpuH
       

363:・・・
07/09/27 02:45:08 pyzWDkRo
>如何なる原理か―十二個の梵字それぞれから、小さなマスターアジアの分身が生まれ、突撃してゆく。


もうちょっと上手く表現できんかせめて

364:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:45:42 e11UyVRZ

「ちょこざいなッ!」

全力でないとはいえ、衝撃波が押し負けたことに動揺しながらも、アルベルトは迎撃しようとする。
両手で一息に二体の分身を打ち据え、消滅させる。
しかしその間に、残りの三体はアルベルトを囲むように屋上に着地した。

「一斉に襲いかかるつもりか? だが分身ごときでわしを倒せるか!」

しかし、三体の分身はアルベルトの予期せぬ行動に出た。
屋上を殴りつけたのだ。
轟音が響き、足下が崩れるのをアルベルトは感じとった。

「これが狙いかぁ!」

上を見ると、もうもうとした煙で相手の姿が見えない。
急速に思考を回転させる。
上に跳ぶ―恰好の餌食だ。
横に跳ぶ―どこから飛んで来るかわからない腰布を避けるのは至難。
そのまま落ちる―態勢を崩すのは痛いが、迎え撃つには十分!

落ちることを選択すると、上に向けて衝撃波を乱射する。
下手な鉄砲数撃ちゃ当たる、だけではない。
吹き荒れる衝撃波の嵐は煙を吹き飛ばす。
しかし視界が晴れるころには、マスターアジアが肉薄していた。

「ゆくぞ!」
「来いッ!」

天井を突き抜け落下してゆく最中、マスターアジアの攻勢が始まった。
足による高速連撃。最早常人には見切れないそれをアルベルトに放つ。
落ちながら闘う。そのうえマスターアジアは上で、アルベルトは下。
明らかに地の利はマスターアジアにあった。
そのためアルベルトは防御一辺倒になり、衝撃波を使っての移動も封じられる。

「ちぇりゃああああぁッ!」
「うおおおおおおおぉッ!」

お互い雄叫びをあげながら闘いを加速してゆく。


365:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:45:57 8ek/gN6U
リアルタイムで評価されるなんて幸せですね

366:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:46:04 uoskYpuH
            

367:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:47:22 xW3d/ZyO


368:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:47:31 e11UyVRZ

―このままではまずい。思考の大部分が防御に割かれるなか、アルベルトの戦闘経験が告げる。
数秒後に、アルベルトが床に叩きつけられるのは明白だった。
しかも、マスターアジアの連撃でますます加速していってる。

ここでアルベルトは賭けに出た。

防御せずに、敢えて攻撃を受けたのだ。
二撃、三撃とマスターアジアの攻撃が決まる。

「ふははははは! とうとう観念したか!」
「それはどうかな?」

攻撃をくらいながらもアルベルトは笑う。
そして次の瞬間、マスターアジアの両足を掴んだ。
マスターアジアの目が大きく見開かれた。

「貴様! 相討ちになるつもりか! 
 だが所詮は貴様が下! 意味などないわ!」
「いや、このまま心中する気はない。それにわしは勝つつもりだ」

そう言い放ちながらアルベルトは手を放した。

「手を放してどうする! 命乞いでもするつもりか?」
床に叩きつけようと、マスターアジアが自由になった足を振り上げる。
だがこのとき、マスターアジアは相手の攻撃方法を失念していた。

「こうするつもりだ!」
アルベルトが自由になった両手をマスターアジアのほうへと突き出し、すぐさま衝撃波を放った。

「うおおおおぉッ! その手があったか!」

下へと加速していたはずのマスターアジアが、横へと吹き飛ばされる。
その背後には壁が迫っていた。
態勢が不十分なままでぶつかれば、ただではすまないだろう。
しかし、それはアルベルトも同じだ。
床に激突するのは、あと僅かだろう。

しかし、さすがは東方不敗と十傑集。
素早く空中で態勢を立て直し、壁と床に足をつける。
そして、その反動で相手へと跳躍した。
空中で交差し、離れたところに着地し、また対峙する。


369:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:47:40 DHZ1PoRw
   

370:これだけでわかる程度の文章ってのもどうかと
07/09/27 02:47:57 KTzVXdAE
「このォ、クソジジイがッ!!」
「うおおおおおぉッ!」
「しまった! 足場が!」
「うぉりゃああああッ!」
「馬鹿め。先ほどの手はもう喰わんぞ」
「それはどうかな?」
「くたばれッ!」
「十二王方牌大車併!」
「ちょこざいなッ!」
「一斉に襲いかかるつもりか? だが分身ごときでわしを倒せるか!」
「これが狙いかぁ!」
「ゆくぞ!」
「来いッ!」
「ちぇりゃああああぁッ!」
「うおおおおおおおぉッ!」

ただせりふ抜き出しただけよ

371:ちょwwwwww
07/09/27 02:48:47 FXxDk7ju
>>370
本当だwwwwwww

説明いらないじゃんwww

372:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:49:13 e11UyVRZ



三度目の睨み合いが始まった。

今度、緊迫した空気を破ったのはマスターアジアだった。

「若造、ここらで痛み分けにせんか?」

このまま闘えば相討ち、たとえどちらかが勝っても、勝者は瀕死だろう。
それでは意味がない、マスターアジアには為さなければならないことがあった。

「ふん、いいだろう」

素直に退いたのは、アルベルトも同じことを感じとっていたからだ。
戴宗との決着を優先するアルベルトにとって、それは不本意なものだ。

「よし、決まりだ。ならば名前聞いておこうか。武闘家どうし、倒す相手の名前は知っていたほうがよかろう」
「ふん、わしは武闘家などではない。だが、それも悪くない。よかろう」

「我が名は流派東方不敗、マスターアジア!」
「わしはBF団十傑集が一人、衝撃のアルベルト」

お互い名前を名乗り合うと、それぞれ反対の方向へと歩きだす。

「いずれ、また会おう」

マスターアジアが声をかけた。

「ああ。いずれ、また」

簡潔にアルベルトが返す。

そのやりとりには、全てがあった。
再戦の誓い、強敵への敬意、そして武人という生き物どうしの、奇妙な友情が――。


373:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:49:52 FXxDk7ju
はぁ?!!!!!!!!!!!!!!!

374:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:50:12 DHZ1PoRw
   

375:両雄思案――そして激突 ◆8pP6SaUBG6
07/09/27 02:50:28 e11UyVRZ
【A-7/ショッピングモールの店舗の一つ/1日目/深夜】
【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:疲労大 頭と上半身、両腕にダメージ
[装備]:なし
[道具]:シガレットケースと葉巻 ※元から持っています
[思考]:
基本方針:戴宗と決着をつける
1:デイパックを回収し、高速道路経由で中央に向かう
2:脱出と戴宗の情報を集める
3:いずれマスターアジアと決着をつける
4:他の参加者と馴れ合うつもりはない
5:脱出不可能の場合はゲームに乗る
[備考]:
※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です
※支給品一式は近くにあります
※ランダム支給品を確認していません
※素晴らしきヒィッツカラルドがいることを知りません(名簿を戴宗の名前で見終わったため)

【東方不敗@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:疲労大 全身、特に腹にダメージ
[装備]:マスタークロス@機動武闘伝Gガンダム ※元から持っています
[道具]:なし
[思考]:
基本方針:ゲームに乗り、優勝する
1:デイパックを回収し、高速道路経由で中央に向かう
2:情報と考察を聞き出したうえで殺す
3:ロージェノムと接触し、その力を見極める
4:いずれ衝撃のアルベルトと決着をつける
5:できればドモンを殺したくない
[備考]:
※ガンダムファイト決勝大会の途中からの参加です(少なくともドモンVSアレンビー戦後)
※支給品一式は近くにあります
※ランダム支給品は確認してあります


376:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:50:32 xW3d/ZyO


377:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:51:25 DHZ1PoRw
   

378: ま
07/09/27 02:52:16 EgXM8j/O







379:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 02:53:15 FXxDk7ju
・・・なんてーか、すげーな。。。ムダに・・・

380:そして傷のなめあい ◆9uTrs4JcS.
07/09/27 02:56:42 pd5V10kQ
761 名前: ◆8pP6SaUBG6 投稿日: 2007/09/27(木) 02:11:56 ID:YAplu1DM0
ようやくできあがりました。
携帯からなので投下速度遅いですが、支援お願いします。

762 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/09/27(木) 02:13:47 ID:Lf3PfxiY0
しえn

763 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/09/27(木) 02:17:34 ID:4GXLRjw.0
け、携帯から投下とかどうやるんだ支援

764 名前:736 投稿日: 2007/09/27(木) 02:22:05 ID:GuFN6dA60
まったり支援

765 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/09/27(木) 02:22:30 ID:GuFN6dA60
いかん名前消し忘れOTZ

766 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/09/27(木) 02:34:54 ID:93kCbG2k0
支援DADADADADA

767 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/09/27(木) 02:54:21 ID:BfPDf.7s0
ギリアム・イェーガー!!!

燃えましたよ
更新ボタン何度も何度も押しましたよ

しかし初っ端からまたえらいガチバトルだなw

381:要約
07/09/27 03:00:22 2jepbYSe
「このォ、クソジジイがッ!!」 「うおおおおおぉッ!」 「しまった! 足場が!」
「うぉりゃああああッ!」 「馬鹿め。先ほどの手はもう喰わんぞ」 「それはどうかな?」
「くたばれッ!」 「十二王方牌大車併!」 「ちょこざいなッ!」
「一斉に襲いかかるつもりか? だが分身ごときでわしを倒せるか!」 「これが狙いかぁ!」
「ゆくぞ!」 「来いッ!」 「ちぇりゃああああぁッ!」 「うおおおおおおおぉッ!」 「ふははははは! とうとう観念したか!」
「それはどうかな?」 「貴様! 相討ちになるつもりか!   だが所詮は貴様が下! 意味などないわ!」
「いや、このまま心中する気はない。それにわしは勝つつもりだ」 「手を放してどうする! 命乞いでもするつもりか?」
「こうするつもりだ!」 「うおおおおぉッ! その手があったか!」

「若造、ここらで痛み分けにせんか?」 「ふん、いいだろう」
「よし、決まりだ。ならば名前聞いておこうか。武闘家どうし、倒す相手の名前は知っていたほうがよかろう」
「ふん、わしは武闘家などではない。だが、それも悪くない。よかろう」
「我が名は流派東方不敗、マスターアジア!」 「わしはBF団十傑集が一人、衝撃のアルベルト」
「いずれ、また会おう」 「ああ。いずれ、また」

ていうかせりふ抜き出しただけ。
これだけで十分すぎるほど状況がわかる

382:傷のなめあいセカンド
07/09/27 03:01:42 4rhiZ1Az


768 :名無しセカンド:2007/09/27(木) 02:57:50 ID:jdoKvlKs0
投下乙!
なんという漢どもよw
ある種のお約束とも取れてしまうほどだが、漢たるもの、やはりこうでなくてはな!!
GJ!
769 :名無しセカンド:2007/09/27(木) 02:59:33 ID:GuFN6dA60
>>767
投下終了宣言がまだだぜw
といってもなかなかこないので投下乙
まあ殴り合うだろうなとは思ってたがまじ思ってた通りだったww
770 :名無しセカンド:2007/09/27(木) 03:00:15 ID:Lf3PfxiY0
GJ!
これぞガチバトル!中の人コラボとしても申し分無し!!
携帯でこれを投下とかあんた本当すげーよ……。

383:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 03:02:09 FXxDk7ju
もうちょっと書く方法あるだろうに

384:日出ずる所の名無し
07/09/27 03:03:59 cvinlZRn
彼等のウリナラルールでは
書き手はネ申で褒め称えないといけねーから

385:国連な成しさん
07/09/27 03:08:21 K4yvvHP/
771 : ◆8pP6SaUBG6:2007/09/27(木) 03:01:32 ID:YAplu1DM0
途中で突然圏外になるアクシデントをくらいながらも投下完了。
こんな時間にもかかわらず、皆様がた多大なご支援ありがとうございました。

それにしても携帯投下は地獄だぜ。フゥーハハァー
gdgdだとか、戦闘シーンが間延びしすぎなどの毒、修正いつでも受け付けます。


■ ■ ■


欠陥がわかってるならさいしょから投稿するなというのは毒でも何でもねーぞ




386:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 03:11:50 FXxDk7ju
まあ批評なんていっっっっっくらでもできるんだけどね(笑い

387:感想
07/09/27 03:16:31 IImHcfdU
まあいかにも厨房というかなんというか
>>382の私怨の基地外さを見て、全体主義思い出した
気持ち悪い

388:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 07:26:41 PLcV1ngS
わざわざ全体主義の観察に居座ってる人もご苦労さんです

389:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 08:45:51 9dxmq29Z
主催者乙

390:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 15:09:59 +1+Qt1Yx
重複スレあるんだからそっちを再利用するとか
全く考えられないのかお前達は

391:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 15:27:50 bJT9TcGZ
考えるわけないじゃん

392:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 18:37:15 sEfRzlds
迷惑な話だな

393:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 19:06:18 73g33Pp+
おすすめ2chにロリショタが

394:ちょwww
07/09/27 19:17:12 V2StS3jo
ロリショタ、ギャルゲ、アニメかよ
しかもバトロワwww

もうちょっと健全な趣味もとうぜwwwwwww

395:厨が
07/09/27 20:10:36 4jNdCRgy
そろそろ戻る時間だな

396:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:32:27 PdAeN/pC
「それで、これからどうする気なのよ?」

つい先ほど、シモンと舞衣が出会った路地から数分歩いた位置にある喫茶店。
その店内に存在する椅子の一つに座りながら、舞衣がシモンに尋ねる。

「決まってる!!仲間を集めて、螺旋王をぶっ倒す!!」

テーブルを挟んで向かい合うようにしながら、答えるシモンの『言葉』は勇ましい。
だが、それは言葉だけだ。
喋っている彼の様子を見れば、大部分の人間はその言葉が信用に足るものではないと感じるだろう。
血走った目。青ざめた顔。絶えず音を鳴らし続ける白い歯。
そのどれもが、彼を『正常』では無いと証明している。

『おれ、こわいんだよ。
 戦わなきゃ、戦いを止めなきゃ、仲間を作らなきゃ…
 あんたを信じなきゃいけないのに、おれ、こわいんだ』

つい先ほど、彼自身が吐いた弱音。
運良く、最初の遭遇者である鴇羽舞衣を仲間にする事が出来た今でも、
シモンの中にある『疑心暗鬼』の黒い種は消え去っていない。
だが、そんな精神状態にあっても少年は、一心不乱に仲間を集めようとする。
『アニキならそうするから』『アニキに近づかなきゃいけないから』…まるで呪いの言葉のように、ただそれだけを唱え続けて。
それほどまでに、『アニキ』という人物が今まで彼に与えてきた影響は大きかったという事か。
先ほどの話を聞くに、今まで『アニキ』から受けた恩恵は、シモンにとっては計り知れない物だったのだろう。
しかし、その偉大な人物亡き今、少年の心は逆にその『アニキ』に縛り付けられてしまっている。
今のシモンは、悪い意味で後先を考えずに暴走している状態だ。
本来ならば、ここで舞衣が彼をなだめて押しとどめるべき立場にいるはずなのだが……。

(……ごめんね……私もさ、どうしていいのか…よく…わからないんだ)

自分が何をすれば、彼の中の黒い種を取り除く事が出来るのか。
冷静にそれを考える余裕は、今の舞衣には存在していなかった。
弟を殺され、弟を殺した自分の妹のように思っていた友人を殺して…
余りにも重過ぎる出来事を体験した舞衣の頭は、まだ薄ぼんやりと霧が掛かっている状態のまま、変わらない。

(何て言えば、シモンを止められるのか…何て言えば、シモンを救えるのかはわからない…でも)

ぐっ、とテーブルの下にある手を握り締める。
せめて、何があってもシモンは守る。今度こそ、守りきる。
もう……二度とあんな想いは味わいたくは無いから。

397:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:33:03 XQa4L59/
ほえ

398:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:33:04 8oStttwN



399:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:33:59 Ub4U0A9f
 

400:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:34:08 PdAeN/pC
「……そういえば…舞衣の武器って何なんだ?」
ふとそんな質問をされ、思わず舞衣がシモンの顔を見る。
「武器………?」
自分の持つ特殊能力、エレメントとチャイルドの事はまだ話していなかったはずだが…?
いぶかしげに目を細める舞衣に、今度はシモンが不思議そうな顔をした。
「コレの中に入ってなかったのか?俺のには、とりあえず武器になりそうなのはナイフしか入ってなかったけど…」
ああ、そういうことか。
ディパックを掲げているシモンを見てようやく合点が行く。
「支給された武器、って事ね……」
ふぅ、と思わずため息を付く。
つい先ほどまで茫然自失状態だった故に、支給品確認までは気が回っていなかった。
「ちょっと待って、今確認するから」
そういいながら自分のディパックを手元に引き寄せ、中を覗き込む。
コンパスや筆記用具にメモ用紙、ランタン、時計、水……大雑把に詰められているアイテムの中に、ふと奇妙な物を発見する。
「指輪…………?」
ディパックからその指輪をとりだししげしげと眺めてみるが、特に変わった点は見られない。
「もしかしてそれ、武器、とか……?」
「まさか……」
シモンにそう返事しながらも、なんとなく指に嵌めてみる。
そのまましばらく待ってみたが、特に何かが起きる気配は無い。
「どうみてもただの指輪ね……何でこんな物が支給されるんだか」
理解しかねる支給品に少し頭痛を感じ、思わず頭を抑えた。
指輪を外すのも億劫なので、気を取り直してそのまま再度物色を行う。
次に舞衣の目に入った奇妙なアイテムは……
「………ビニール袋?」
「は?」
「あ、待って。何か入ってる……」
ビニール袋ごと「何か」を取り出し、掲げ上げて中身を見てみる。
中に入っていたのは、木の枝とそれになっている幾つかの実。一瞬食料かとも思ったが、それにしては量が少なすぎると思い直す。
それにしてもこれ、どこかで見たような………?
「舞衣、今それを出したときにこれが零れ落ちたんだけど」
「え?」
声を聞きシモンの方を見ると、その手に握られているのは白い紙。
二つ折りされているそれを受け取り、中身を確認すると……?

401:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:34:28 9d/HQGx9
 

402:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:35:22 PdAeN/pC


『マタタビ:猫にマタタビ!これでシビアなアイツもイチコロだ☆』


思わず脱力し、顔面からテーブルに突っ込んだ。
「ま、舞衣!?どうした!?」
「あー……大丈夫よ……ちょっと主催者に対する疑問が湧いただけだから……はぁ…」
まさかこの殺し合いに自分に支給されたのが指輪にマタタビとは……。
螺旋王とやらは、自分に殺し合いをさせる気が本当にあるのか?
それにしてもマタタビね…そういえば昔、テレビの動物番組か何かで見たような記憶が……。
「け、結局それ……なんだったんだ?」
「あぁ、マタタビよマタタビ…参加者に猫でもいれば武器としても使えるだろうけどね…」
テーブルに突っ伏したまま、投げやりにシモンの質問に答える。
「マタ……タビ?マタタビって……何だ?」
「知らないの?よく言うじゃない、猫にマタタビって」
予想外の言葉に思わず顔を上げ、シモンの顔を見つめる舞衣。
まさかこのご時世にマタタビを知らない人間に出会うとは…。
舞衣の例えを聞いても、シモンは相変わらず顔をしかめて考えているままだ。
「結局、その…それ、食えるの?」
「ん?まぁ、食べられないって事は無いわ」
ふと、『マタタビ』なる名前の語源と言われる昔話を思い出す。
あの話が真実だとするならば、食べる事によるメリットはあれどデメリットは無いはずだ。
「むしろ体にいいかもね……精力とか付きそうだし」
「せいりょく?」
「あんた、精力ってのもわかんないわけ?精力って言うのは……」
ポカンとした表情のシモンに言葉の意味を解説しようとした舞衣の体が固まる。
『精力』……その言葉からまず最初に連想されたのは……まぁ……何というか……
花も恥らう年頃の乙女がそう簡単に口にしていい事では無いというか……
実際に日常生活でも使用される言葉であるし、今自分が考えている事の方がイレギュラーなのだろうが…
パッと思いついた物はそう簡単に頭から離れない訳で……
しかしこのまま意味を解説しないでいるというのも…目の前で不思議そうな顔をしている少年を見ていると無理そうで…
突然の極限状態の中で、舞衣は………………


「つ、つまりはその……気合いよ。気合い」


適当に思いついた近い意味の言葉を代用し、言葉を濁した。
間違いは言っていないはずだ…………多分。
「気合い………?」
鸚鵡返しに、シモンが呟く。
「そう、気合い……といっても、流石に申し訳程度だとは思うけどね…ハズレよ、これも」
このままこの話題を終わらせようと、マタタビをディパックの中に仕舞おうとする舞衣だったが………

「待ってくれ!」

その手を、シモンの悲痛な叫びが止めた。
「………どうしたの?」
思わず、シモンの顔を見る。呆然としてしまう程に、シモンの叫びには悲哀が満ちていた。
バッと、シモンが自分の手を舞衣に差し出す。
「た、頼む!!それ、俺にくれないか!?」
そう舞衣に懇願する少年の顔は、ただ事では無い。
息を荒くし、目を見開きながら必死の形相で舞衣に詰め寄ってくる。
「べ、別に構わないけど……」
シモンの様子に少し引きながらも、舞衣は彼にマタタビを渡した。
「あ、ありがとう……!」
手の上にマタタビが乗るや否や、それを握り締め、自分の胸元へ持っていく。
まるで、無くした自分の大切な宝物を、それで代用しているかのように。

403:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:35:47 9d/HQGx9
 

404:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:36:07 8oStttwN



405:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:36:28 PdAeN/pC
「シモン………?」
「……昔……昔さ…村から飛び出して……アニキ達と一緒に旅していた時……」

ポツリ、ポツリとシモンが呟き始める。

「一回…腹が減りすぎて、気合いも何も入らなくなった時が合ったんだ……」

誰に聞かれたでもなく。誰に聞かせるでもなく。

「でも、その時は……ブータが、自分の尻尾を俺達にくれて…それを食べた事で気合いが入って…それで、敵も倒せて…」

舞衣からしてみれば、よくわからない固有名詞が含まれる言葉で。

「ア、アニキはいっつも言ってた……気合いだって…気合いがあれば、大抵のことは何とかなるって、笑ってた……」

…………ああ、そうか。

「だ、だから……だから、俺も何かあった時は…コレを食べて、気合いを入れて…そ、そうすればきっとアニキみたいに…!!」

シモンは、言い聞かせているのだ。舞衣にではなく、他でもない自分自身に。

「そうだ……コレがあれば俺もアニキに近づけるんだ……!!」

舞衣は、黙ってシモンを見つめる。
いつまでも、いなくなった人間を求める浅ましい姿。
不安で、怖くて仕方なくて……そして、その『代わり』を別のものに求める、哀れな姿。
そして、そのネガティブで醜い姿が、舞衣の中の何かに引っかかる。


―――なんにもない、なんにも、ないよ。
―――信じてもいいよ、あたしのこと。


「…………っ…」
なんだ。わかってみれば、簡単な事だ。

自分も、この少年と何ら変わらない存在じゃないか。

いなくなった弟の事を、忘れられなくて、追い求めて。
こんな場所で偶然出会った少年に、弟の姿を勝手に重ね合わせて。

406:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:36:57 9d/HQGx9
 

407:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:37:30 8oStttwN



408:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:37:34 PdAeN/pC
「………私……もね……」
「え……?」
舞衣の呟きに、今度はシモンが反応する。

「……弟がさ、一人………いるんだ………」

―――お姉ちゃん。

「昔から、病弱でね………だから……私が頑張って守ってあげなきゃって思って……」

―――いつもごめんね、お姉ちゃん。

「いつも……あの子のために働いて……それで、不安にならないようにって、笑顔でいて……でも、それはさ…」

―――お姉ちゃんが、重いんだ。

「あの子にとって、全然良い事じゃなくて……逆に……重荷になって……」

森の中。戦っている二つの影。見知った顔。緑色の炎。消えていくチャイルド。光。緑色の光。忌まわしい記憶。

「それで……その後……巧海は………」

――お姉、ちゃん……
――嘘……!駄目だよ、こんなの………!!
――ごめんね……ありが……とう……
――っ……あ……あ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

「巧海………は…………」

――命………どうして……巧海を……?
――巧海………が……どうしたんだ……?







『アンタが殺ったんじゃない!!アンタが!!!巧海を……!!!カグツチィィィィィィィィィィィィ!!!!』







「…………ごめんね……これ以上は……言えない、みたい……」

409:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:38:05 9d/HQGx9
 

410:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:38:37 PdAeN/pC

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

気まずい沈黙が、喫茶店内を支配する。
俯いたまま、何も喋らない舞衣。
その舞衣を見てもどうしていいのかがわからず、ただ手の中のマタタビを弄ぶシモン。

先に口を開いたのは、舞衣の方だった。
それは恐らく、逃避からだろう。
これ以上黙っていると、あの忌まわしい記憶が次々に蘇ってきそうだったから。

「……私のほうの支給品は、今の二つでおしまいね」

何度目かのため息を付きながら、事も無げにそう言う。
元より、HIMEの能力を持っている自分に取っては武器など無用の長物だ。
特に重要な事では無いと自分の中で結論付けた舞衣だったが……その事実を知らないシモンに取ってはそうも行かなかった。
「舞衣には武器……無い、のか?」
唖然としながら呟いたかと思うと。
「じゃ、じゃあ!!俺の武器、変わりに使っていいから!!」
なんと、自分の持っているナイフを舞衣に差し出したのだ。
「え……でも、あんたさっき持ってる武器はそれだけだって…」
「い、いいんだよ!俺は、その、そこら辺で適当なのを調達すれば…だから、舞衣は丸腰じゃ……!!」
遠慮している舞衣を物ともせず、半ば強引に自分のナイフを受け渡そうとするシモン。
一体、何をこんなに焦っているのだろう?そこまでしてくれなくてもいいのに。
そこまで大事にして貰うほど、自分は―――。


「……別に……いいわよ、そんなの。私なんて……いつ殺されても、構わないんだから」


そう。そうなのだ。
自分にはもう、生にしがみ付くだけの気力など残っていない。
希望も、願いも、理由も、悲しみも…絶望すら、最早感じているのかどうかさえわからない。
胸の中にあるのはたった一つ、消えかけの蝋燭のような弱弱しい炎…目の前の少年、シモンを守りたいという想いだけ。
しかし、その炎は決して舞衣に希望を与えない。
今の彼女にとって、『誰かを守りたい』という事は、『誰かが無事ならば、自分はどうなっても構わない』という事と同意なのだから。
自己犠牲……エゴに満ちた贖罪とも言い換えられるその炎は、辺りを照らすことなくチリチリと舞衣の体を焼いていく。
まさしく、蝋燭の最後の灯火のように炎は更に燃え上がる。輝きを増しながら。さらに舞衣を傷つけらながら。
だが………………

411:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:39:40 PdAeN/pC
突如、テーブルが音を立てて揺れる。





「ふざけんなッッッッッッッ!!!!!」





目の前にあるのは、今までに無い強い表情をしたシモンの顔。
「え………?」
何が起きたのか、頭の理解が追いつかない。

「そんな……そんなふざけた事言うなッ!!」

シモンの怒号と共に、自分の体が強く引っ張られるのを感じた時、
ようやく『シモンが怒りでテーブルに拳を叩き付けた後に、舞衣の襟元を掴んだ』という事実に気づく。
だが、今の自分の言葉の何がシモンの逆鱗に触れたのか…それはまだ舞衣にはわからなかった。

「いつ殺されても構わないとか、死んでもいいとか、そんな事は絶対許さねぇ!!」

キッと舞衣を間近で睨み付けながら、シモンの叫びは続く。


「俺はもう、仲間が死ぬのなんて見たくないんだッ!!」


その顔のほとんどは、先ほどまでの病的な様子のシモンから変わらない。
しかし、今の少年の目の奥からは……先ほどとは明らかに違う、強い輝きが見えた。
今にも暴走しそうな危うい力が多分に含まれていながらも、それでも尚その光は強い。

荒い息を付きながら舞衣を見据えるシモンの手は、未だに彼女を離そうとはしない。
そのまま、しばらくの時間が流れる。
数秒だったか、数十秒だったか、数分だったか……それを正確に認識できる余裕は、今の彼らには無かった。
沈黙を破ったのは、またしても舞衣の方。

「………手…離して…苦しいからさ…」

ようやくそれだけ言葉を搾り出す。
それを聞いた瞬間、彼はハッとしたように舞衣を掴んでいた手を離した。
「あ、その……ゴメン……」
頭に上っていた血が下がり冷静になったシモンが、バツが悪そうに舞衣に謝る。
その目からは、もうあの輝きは消えうせていた。
「………………」
シモンには何も答えず、ただつい先ほどまで掴まれていた首元をさする。
彼女の脳裏にあるのは、今のシモンの言葉。
(………死ぬのは……見たくない、か……)
譲れない強い気持ちが込められた叫びを聞いた時……炎が、少しだけ揺らめいた。
所詮、自分がしたい事は自分が救われたいが為のエゴにすぎない。
だが、どうせ同じエゴなら……せめて、少年が望む道を選んでみるべきか。

412:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:40:32 9d/HQGx9
 

413:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:40:46 PdAeN/pC


――今の言葉は、シモンが自分のした事を知らないから言えた事だ。結局は、ただ死ぬのが怖いだけ。


心の中のどこかで、そんな声が聞こえる。
ああ、それも恐らくは真なのだろう。そして、舞衣はその事実を話す気にはなれない。
けど………もう、それでいいじゃないか。もう……それで。
投げやりのまま、乱暴にそう決め付ける。どうせ、今の自分には物事をまともに考える事など出来ないのだから。

だから、舞衣はシモンにこう言った。

「…わかったわ。私も、もう自分の命は捨てないようにする」
それでも………もし、誰かの命と自分の命のどちらかを選ぶならば、その時は……誰かの命を救う。

心の中で、そう一言だけ付け加えて。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

それから、舞衣は自分のHIMEの能力……すなわち、エレメントとチャイルドについてをシモンに説明した。
あまりにも突飛な内容に、流石のシモンも最初は不審そうな顔をしていたが、
実際に目の前でエレメントの生成を行い、軽い火炎放射や飛行をして見せたところ、驚きながらも納得してくれた。
シモンに話した内容は、以下の通り。

・自分のエレメントが出来る攻撃は、火炎放射による物のみ。
・また、腕を交差する事によりバリアーを作り出し、大抵の攻撃は防げる。ただし、守れるのは自分ひとりだけ。
・エレメントの効果で空を飛ぶことは出来るが、誰かを抱えたまま長時間飛行するのは難しい。よって移動には適さない。

チャイルドについては流石にこの場で呼び出す事はしなかったが、
とりあえず、『巨大な怪物を呼び出して攻撃させる』とだけ説明しておいた。
それを聞いたときシモンは『舞衣もガンメンを持ってるのか?』と言っていたが、
『ガンメン』なる物の意味を掴みかねた舞衣が逆に尋ねると、『じゃあ、別の物なのか…?』と言ったきり、黙り込んでしまった。


そして説明を終え、エレメントを消滅させた舞衣は、自分のディパックをテーブルの上に置きある物を探していた。


「仲間を集める、って言ってたわよね」
そういいながら、舞衣が自分のディパックから目的の物をを取り出す。
「あ、ああ……その…それ、何?俺のにも入ってたけど……」
舞衣が取り出したものを指差しながら、シモンが問う。
「見てのとおり、参加者名簿じゃない。もしかしたら、私の知り合いとかもいるかも知れないから…」
頭の中に、最初の犠牲者となった奇妙な鎧の男が浮かぶ。
あの男は、あの場にいた誰かと顔見知りのようだった。
ならば、自分の友人達も誰かがこの場にいるのでは……という簡単な推理である。
手早く、名簿の中に目を通す。
見知った名前は三つ。

すなわち……玖我なつき、結城奈緒、そして藤乃静留の三人である。

最後の人物の名前を見た瞬間、舞衣の表情に疑問が浮かんだ。
(どうして、会長さんが……?玖我さんに結城さんや私はHIMEだから呼ばれたとしても、会長さんには何も…?)
まさか、彼女もHIMEだと言う事か?…よく考えてみれば、その可能性は十分か。
「ま、舞衣…その……」
シモンが遠慮がちに舞衣に声を掛ける。
それを催促だと解釈した舞衣は考察を止め、名簿の中の名前を読み上げた。
「とりあえず、私の知り合いは三人いたわ。玖我なつきさんと、藤乃静留さんと、結城奈緒さん。
 最初の二人は仲間になってくれそうだけど、最後の一人は……あまり期待しない方がいいかもね」
言いながら、最後に見た結城奈緒の姿を思い浮かべる。

414:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/27 21:41:49 Ub4U0A9f
 

415:失ったもの/失いたくないもの  ◆WcYky2B84U
07/09/27 21:41:51 PdAeN/pC
些細なトラブルから、片目を負傷したその姿。
……少なくとも、あのまま誰かと手を組めるほどの余裕は無かったはずだ。
「とりあえず、玖我さんと結城さんは私と同じ力が合って…この二人が出すのはそれぞれ銃と爪だけど…、
 武器が無くても、十分に戦える人たち。それから、最後の藤乃さんももしかしたら同じ力を…」
「い、いやそうじゃなくて!!」
突然自分の台詞を中断され、舞衣がキョトンとした様子でシモンを見つめる。
「……どうしたの?」

「いや、その……俺、文字が読めないから……これに何て書いてあるのかわかんないんだ…」

そう言いながら自分の名簿を掲げてみせるシモンに、少なからず舞衣は唖然とした。
(文字が読めないって……小学校も出てないの?)
「そ、その……俺の仲間…大グレン団の誰かもここにいるかもしれないし…でも俺これ読めないし…どうすればいいんだか…」
滑稽なほどにうろたえているシモンを見ながら、恐らく今までで一番大きなため息を付く。
「……わかったわ。じゃあ、とりあえず思いつくだけ知ってる人の名前を言ってみて。私がその人たちがいるかどうか探すから」
「あ、ああ……えっと…まず男が……ギミーに、ロシウに、キタン…それにえっと…リーロン…も男だよな…?それから他には…」

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結局、シモンが一通りの名前を言い終わるのには十数分程の時間が掛かった。
「……これで、全部のはず……多分……」
流石に数十人はいる大グレン団全員の名前がわかる訳では無いが、とりあえず主要のメンバーは一通り告げたはずだ。
少し痛くなった喉を押さえながら、シモンはそう考える。
「……その、それだけ苦労させておいて言うのもなんだけど、シモンが言った名前のほとんどはここにはいないわ」
それを聞いた瞬間、シモンの心に安堵とも絶望とも取れない感情が浮かび上がる。
こんな殺し合いに巻き込まれた仲間がいないという安心と、こんな場所に仲間がいないという絶望。
だが、次に舞衣の放った言葉を聞いた瞬間…………

「ただ、二人だけ……ニアって娘とヨーコって人は、この殺し合いに参加してるみたい」


絶望が、心の中の全てを覆った。


「ニ……ア……?ニアだっ……て………!?」
ニアが。自分があそこで偶然出会った、あの少女が。自分に優しく話しかけてくれた、あの少女が。
この殺し合いの中に………イル?

「何で……何でニアがここにいるんだよ!?」
思わず、両手を目の前のテーブルに叩き付けた。
どうしてだ?何故?だって、ニアは……あの男の………!!
「と、突然、どうしたの……?このニアって娘が、何か………?」
「………ニアは……螺旋王の実の娘だ………」
「娘……娘って……主催者の子供って事………!?」
自分の子供を、この殺し合いの中に放り込む?
螺旋王の常軌を逸した行いが信じられず、思わず呆然と舞衣が呟く。
「……そうだ……早く、早くニアを助けないと……」
そんな様子の舞衣を尻目に、シモンが自分のディパックの中を漁る。
その頭の中では、自身が考えうる最悪の想像が何度もリピートされていた。

ニアが………殺される。死ぬ。
アニキのように。また、自分がグズグズしているせいで、また。
ニアガ、シヌ?

「どこだよ……どこにいるんだよニアは……!?」
乱暴にディパックの中にある地図を引っ張り出し、テーブルの上に広げる。
その上をシモンの視線が目まぐるしく動き回るが、かといってそれで目当ての人物がどこにいるかわかる訳でも無く。
「舞衣!!これ、この地図に何が書いてあるんだ!?ニアの場所とか、載ってないのか!?」
地図の上に書かれた文字列を指差しながら、苛立ったままシモンが舞衣に叫ぶ。
言っている内容が支離滅裂な事にすら、今の彼は気づけない。


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