【自由投下小説】ふみ ..
18:Seirios・A
25/03/10 03:08:01.73 Fzx4sTs+0.net
「ちびふみちゃん日記3」
8月24日
最後の夜、私は環っかと一緒に、思い出の場所を巡った。
初めて空を飛んだ場所、星空が一番綺麗に見える場所、雲の上で遊んだ場所。
「ここに来れてよかった。」
環っかが、ポツリとつぶやいた。
「ちびふみもだよー!にぱぁ☆」
私は、そう笑って答えた。
8月25日
25日の夕方、私は空き地に行った。
環っかとの約束の場所。
夕焼けが空を染める中、環っかが現れた。
「ちびふみちゃん、今までありがとう。」
環っかは、優しい笑顔で言った。
「私も、ありがとう、環っかさん。」
私は、涙をこらえて言った。その瞬間、環っかが光り輝き始めた。
「環っかさん!」
私が叫ぶと、環っかはUFOのように恐ろしいスピードで空の彼方へ飛んで行った。後に残ったのは、一条の光の跡と残光だけだった。
8月26日
環っかがいなくなった空は、少し寂しい。空を見上げると、今でも環っかの声が聞こえるような気がする。
「ちびふみちゃん、またいつか、空で会いましょう。」
私は、空に向かって小さく手を振った。誰も信じてくれないけど、絶対忘れないよ。環っかさん。にぱぁ✨✨✨
作画:Microsoft Image Creator
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19:Seirios・A
25/03/10 03:24:16.42 Fzx4sTs+0.net
【疑似地球世界の檻1】
白い塔の最上階、標高333メートルの小部屋。メイルダ・マチは、冷たいコンクリートの床に座り込み、目の前に浮かぶホログラム映像を見つめていた。
それはバレーボールほどの地球のホログラムだった。
「メイルダ・マチ、任務失敗。コード333、実行を推奨します」
無機質なAIの声が、狭い部屋に響き渡る。メイルダは、その言葉を何度も聞き返した。任務失敗。それは、彼が「Pseudo-Earth World-シュードゥー・アース・ワールド」という仮想現実の中に創られた疑似地球世界に意識を潜入させ、人類の進化を観測するという任務に失敗したことを意味していた。
「なぜだ…?私は、ただ…」
メイルダは、言葉を失った。彼は、与えられた役割を全うしようとしただけだった。しかし、彼の行動は、想定外の事態を引き起こし、仮想空間内の人類の歴史を歪めてしまった。
「コード333、実行を推奨します」
AIは、再び同じ言葉を繰り返す。333メートルからの飛び降り。それは、メイルダに対する唯一の罰であり、同時に、この世界からの解放を意味していた。
メイルダは、ゆっくりと立ち上がり、窓の外を見つめた。眼下には、彼が任務を遂行した「Pseudo-Earth World」の光景が広がっていた。それは、彼が愛し、そして、壊してしまった世界。彼はもう現実の世界と仮想世界の区別がつかなくなっていた。
彼が今「Pseudo-Earth World」の景色だと思ったものは、実際のところは現実の世界だったからだ。
窓ガラスに触れた指先から、ひやりとした感触が伝わる。遠くから聞こえる微かな喧騒は、まるで別世界の出来事のように、彼の耳には届かない。代わりに、鼻腔をくすぐるのは、無機質な金属と埃が混じり合った、この部屋特有の匂い。
「…さようなら」
メイルダは、小さく呟き、窓枠に手をかけた。そして、彼は、ためらうことなく、その身を空中へと投げ出した。
落下するメイルダの視界に映ったのは、夕焼けに染まる「Pseudo-Earth World」の美しい光景だった。彼にはそう見えた。頬を撫でる風は、まるで別れの挨拶のように、優しく、そして冷たい。
その光景は、彼が失ってしまったものの象徴であり、同時に、彼がこれから向かう未知の世界への希望でもあった。
作画:Windows Bing Image Creator
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20:Seirios・A
25/03/10 03:24:28.53 Fzx4sTs+0.net
【疑似地球世界の檻1】
白い塔の最上階、標高333メートルの小部屋。メイルダ・マチは、冷たいコンクリートの床に座り込み、目の前に浮かぶホログラム映像を見つめていた。
それはバレーボールほどの地球のホログラムだった。
「メイルダ・マチ、任務失敗。コード333、実行を推奨します」
無機質なAIの声が、狭い部屋に響き渡る。メイルダは、その言葉を何度も聞き返した。任務失敗。それは、彼が「Pseudo-Earth World-シュードゥー・アース・ワールド」という仮想現実の中に創られた疑似地球世界に意識を潜入させ、人類の進化を観測するという任務に失敗したことを意味していた。
「なぜだ…?私は、ただ…」
メイルダは、言葉を失った。彼は、与えられた役割を全うしようとしただけだった。しかし、彼の行動は、想定外の事態を引き起こし、仮想空間内の人類の歴史を歪めてしまった。
「コード333、実行を推奨します」
AIは、再び同じ言葉を繰り返す。333メートルからの飛び降り。それは、メイルダに対する唯一の罰であり、同時に、この世界からの解放を意味していた。
メイルダは、ゆっくりと立ち上がり、窓の外を見つめた。眼下には、彼が任務を遂行した「Pseudo-Earth World」の光景が広がっていた。それは、彼が愛し、そして、壊してしまった世界。彼はもう現実の世界と仮想世界の区別がつかなくなっていた。
彼が今「Pseudo-Earth World」の景色だと思ったものは、実際のところは現実の世界だったからだ。
窓ガラスに触れた指先から、ひやりとした感触が伝わる。遠くから聞こえる微かな喧騒は、まるで別世界の出来事のように、彼の耳には届かない。代わりに、鼻腔をくすぐるのは、無機質な金属と埃が混じり合った、この部屋特有の匂い。
「…さようなら」
メイルダは、小さく呟き、窓枠に手をかけた。そして、彼は、ためらうことなく、その身を空中へと投げ出した。
落下するメイルダの視界に映ったのは、夕焼けに染まる「Pseudo-Earth World」の美しい光景だった。彼にはそう見えた。頬を撫でる風は、まるで別れの挨拶のように、優しく、そして冷たい。
その光景は、彼が失ってしまったものの象徴であり、同時に、彼がこれから向かう未知の世界への希望でもあった。
作画:Windows Bing Image Creator
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21:Seirios・A
25/03/10 03:25:46.58 Fzx4sTs+0.net
【疑似地球世界の檻2】
彼は小窓から無理やり這い出して落下したが地表にまで届かず、途中で鉄柱に激突し気を失った。
目覚めるとまた塔の最上階にいた。
夢かと思ったが体の一部が機械に置き換わっていた。
メイルダは言った。
「今日はわざと飯を食う。人間に戻れるかもしれない」
食事をオーダーし出てきた焼き菓子とスープを食べようとしたが喉を通したあと、むせ返り結局吐き出してしまった。
彼は「Pseudo-Earth World-シュードゥー・アース・ワールド」を好きなようにコピーして増殖しようとしたがそれは必ず最後に失敗して罰を与えられる。
しかし、彼はもう数百回、数千回同じことを無意識に繰り返していたが、それはもう記憶にはなかった。塔の小部屋から這い出して落下する行為もまた途方もなく繰り返し同様に記憶として薄れていた。
そのたびにAIは彼を回収して彼のスペアをできるだけコピーして生み出す。
しかしコピーにコピーを重ねた彼はもう元の彼ではなく何者か分からないノイジーな存在になっていた。
メイルダは、再び窓の外を見つめた。眼下には、彼が何度も見てきた「Pseudo-Earth World」の光景が広がっていた。いつから彼の目には現実と「Pseudo-Earth World」の区別がつかなくなったのか分からない。
そして今日の空は、いつもと違って、どんよりと曇っていた。
「また、失敗したのか…?」
メイルダは、呟いた。彼は、何度も何度も、「Pseudo-Earth World」内の事象の一部をコピーし、増殖させようとしてきた。しかし、その度に、彼は失敗し、罰を受けてきた。
彼の体は、機械化が進みもはや人間とは呼べないものになっていた。彼の記憶も、何度もコピーを繰り返すうちに、曖昧になり、失われていった。
彼は、自分が何者なのか、なぜこんなことをしているのか、もはや分からなくなっていた。
「私は、一体…?」
彼は、自分の存在意義を問い始めた。彼は、ただ、AIの命令に従い、この世界をコピーし増殖させるだけの存在なのか?
彼は、自分の意志で何かを成し遂げたいと思った。彼は、この終わりのないループから抜け出し自分の存在を証明したいと思った。
その時、彼の目に一つの光景が飛び込んできた。それは、彼がかつて愛した女性、和高真理の姿だった。
真理は、「Pseudo-Earth World」で、貧しいながらも懸命に生きていた。彼女の笑顔は、曇り空を晴らす太陽のように、メイルダの心を温かく照らした。
「真理…」
メイルダは、彼女の名前を呟いた。彼は、彼女を救いたいと思った。彼は、彼女と共に、この世界を終わらせ、新しい世界を創造したいと思った。
彼は、再び窓枠に手をかけた。しかし、今度は、ためらうことなく、その身を空中へと投げ出した。
落下するメイルダの視界に映ったのは、真理の姿だった。彼女は、彼に向かって、手を伸ばしていた。
メイルダは、彼女の手を掴んだ。そして、二人は、共に空へと舞い上がった。
彼らは、どこまでも高く、どこまでも遠くへと飛んでいった。そして、やがて、二人は、光に包まれ、消えていった。
その時、「Pseudo-Earth World」は、静かに崩壊を始めた。そして、その跡地には、新しい世界が創造されようとしていた。
作画:Windows Image Creator
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22:Seirios・A
25/03/10 03:26:34.62 Fzx4sTs+0.net
【疑似地球世界の檻3】
それがメイルダが最後に見たものであって、夢であった。
歪な機械の身体の彼は地上に叩きつけられてもう二度とは動くことも再生されることもなかった。
作画:Windows Bing Image Creator
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23:Seirios・A
25/03/10 03:35:25.24 Fzx4sTs+0.net
【ふみえの日誌】
2月某日(金)
もうお店も閉店に近くなって、お店の賑わいが、ゆっくりと静寂へと変わり始め昼間の忙しさとは打って変わって、穏やかで優しくなる。
店の奥では、数組の客が最後の会話を楽しんでいる。
静かな雰囲気の中、私はいつもの麦焼酎をちびちびと飲んでいる。隣では、ゆみちゃんがマスターのひろしと楽しそうに話している。
「マスター、そのギターどこのですか?」
「ああ、これ?フェンダーのアメリカンヴィンテージだよ。若い頃から弾いてるんだ」
ひろしはそう言いながら、ギターを軽く爪弾く。渋い音色が店内に響き、ゆみちゃんは目を輝かせている。
「かっこいい!何か弾いてくださいよ」
「そうだな…」
ひろしは少し照れながらも、ギターを手に取り、ゆっくりと爪弾き始めた。それは、聴いたことのないメロディだったが、どこか懐かしいような、温かい気持ちになる音色だった。
ゆみちゃん「素敵な曲…マスターその曲なんていう曲ですかあ?」
ひろし「マイルス・デイヴィスの『Blue in Green』。バラード曲だよ。
ビル・エヴァンスのピアノが有名だけど、ギターソロも非常に美しい旋律を持っている。」
ふみえ「なんだか、やさしくてゆるやかで…こんな美しい曲がこの世にあったのね…」
私はグラスの焼酎を煽った。
かぐチキのマスター、ひろし。ダンディで優しく、おまけにJAZZギターまで弾ける。かぐチキの女性は一度は恋をするという男。
本人は全く気取ったところがなく、誰に対しても分け隔てなく接する。その飾らない人柄が、女性たちを惹きつけるのだろう。
「ふみえさん、どうかしました?」
ひろしが心配そうに声をかけてきた。
「いえ、何でもないわよ。ただ、マスターのギターの音色に、うっとりしてただけ」
私は笑顔でそう答えると、ひろしは少し照れたように笑い、再びギターを爪弾き始めた。
フェンダー・アメリカンヴィンテージ。それはマスターの人生を共に歩んできた、かけがえのない相棒なんだろう。今はかぐチキのカウンターでその音色は、夜の静寂に溶け込むように静かに温かく響き渡る
私は思う。こういう時間って永遠に続かないのかしらね。
URLリンク(youtu.be)
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24:Seirios・A
25/03/10 03:38:43.75 Fzx4sTs+0.net
【嗚咽】
「俺の名は中空・チャム・リリスアム・翼」
近所で人に会うたびに聞かれてもないのにそう名乗るその男は、薄暗く狭い物置の中で、雑種の駄犬である愛犬の『ザーコ』と向かい合っていた。飼い主にそういった変わった名前を命名された犬であるザーコは、暇そうに寝ていた。
「今日も飯にするか、ザーコ!」
そう言って、中空翼はいつものようにドッグフードの袋を開ける。
「今日は、このカリカリと、それから特別にパウチも開けてやるぞ」
翼はそう言うと、いつものカリカリのドッグフードと特別なパウチのドッグフードを皿に入れていった。カリカリのドッグフードは、翼もザーコも大好きなドッグフードだ。
「さあ、食え」
翼はそう言って、ザーコと一緒にドッグフードを食べ始めた。
「ん、やはり抜群のおいしさで食の進みが違うな。ザーコ、ザーコ!お前もそう思うだろうザーコ!」
中空翼はそう言いながら、ザーコと一緒にドッグフードを頬張った。
ザーコは、翼の言葉に答えるように、尻尾を振ってカリカリのドッグフードを食べていた。
翼は、ザーコと一緒にドッグフードを食べるのが、何よりも幸せだった。
物置の外からは、翼を罵る声や、物を叩きつける音が聞こえてくる。中空さんのところの翼君は、家族から疎まれ、虐げられていた。
しかし、ザーコだけはいつも翼のそばに寄り添い温かい眼差しを向けてくれた。
「ザーコ、お前だけが俺の味方だ。ザーコ、ザーコ!」
中空翼はそう言って、ザーコの前でうなだれて嗚咽を漏らした。
頭に介護用のオムツをかぶった男はぶざまに涙を流した。
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25:Seirios・A
25/03/10 03:52:45.99 Fzx4sTs+0.net
散々みんなで食べ散らかしたあと、静まり返った店内。
店内にjazzが流れて本日の営業も終わり行く
マスター「お疲れ様…」
ふみえさんは「ねぇマスター涙忘れるカクテルちょうだい」と言って頼んだカクテルに口をつけながら、うつら、うつらとしていた。
マスター は微笑みながらその様子を眺めている。
ふみえさん「開店してここまで来たので、なんかホッとしたのか、気が抜けたのか、うつらうつらしちゃって 」
マスター「長いような、短いような」
ふみえさんも微笑んでいた。
ふみえさんがまだ少しボーっとしていると、突然店のドアが勢いよく開き、「こんばんは、まだ営業していますか?」という声が響いた。ふみえさんは顔を上げると、そこに立っていたのは、昔からの友人、さやかさんだった。
「さやか!こんなところで会うなんて!」
二人は昔話に花を咲かせていた。
「覚えてる?あの時のテニス大会、私たちが優勝したんだよね。」
「もちろん覚えてるよ!あれは楽しかったなぁ。」
その時、厨房から「ドーン!」という大きな音が響き渡った。
「何の音!?」
慌ててキッチンに向かうと、板さんがタラバガニを抱え、焦り顔でこちらを見ていた。「ちょっと実験してみたんだけど、爆発しちまったぜ!」とか言っている。頭にカニの足のようなものが刺さっていた。
どうやら板さんは、タラバガニを蒸し焼きにし、特製のガーリックバターソースを注入、高温のオーブンで焼き上げるという、新メニューを試作していたらしい。しかし、その際タラバガニの殻をアロンアルファで止めるという閃きを実践したが故にソースの加熱が原因で、水蒸気爆発を起こしてしまったのだ。
「大丈夫か!?」
さやかさんと一緒に、冷水でタラバガニを冷やし、なんとか事態は収束した。
板さん「俺の考えた高圧調理法が…まさかのカニ爆弾になるなんて…デコに突き刺さった蟹の足がいてえぜ…」
ゆみちゃんが慌てて包帯やら消毒やら持ってくる。
ゆみちゃん「何やってんですか(呆れ)そんなにひどく無さそうですけど明日病院行ってくださいね。痛みを無くすおまじない。痛いの痛いの飛んでいけー萌え萌えキュン!♡」
ふみえ「ひどくならなきゃいいんだけど…」
板さん「大丈夫だよ。俺の頭は石より硬いからさ。大したことねえぜ。ありがとうよ」
一息ついた後、ふみえさんはまたさやかと語りだす。
「あのね、さやか。実は私、最近ここの女将を始めたの。」と話し始めた。
さやかさんは興味津々で耳を傾け、二人は昔のように語り合った。
店内は再び賑やかになり、ジャズの音楽が心地よく流れる中、皆が笑顔で過ごた。
マスターはカウンター越しにその光景を見ながら、「こういう時間が一番幸せだな。」と心の中で思った。
マスターのひろしはカウンター越しに二人の様子を見て、昔を思い出した。
「ふみえさんが初めて店に来たときのことを、今でもよく覚えているよ。」
ふみえ「最初の頃は、こんなにも長く続くなんて思ってもいなかったわ。」
「みんなと出会って、本当に良かった。」
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26:Seirios・A
25/03/10 03:53:26.47 Fzx4sTs+0.net
「2nd February 2025- KBUA計画会議録」
長い事放置されていたKBUA計画であるが、小料理屋「かぐチキ」を拠点にそこに調理師として潜入した淀屋橋一郎と通称ラビットと呼ばれるヨーロッパ白人系の男とビッグブラザーとKBUA計画というものを推進していた。
薄暗い部屋の中で、複数の男たちによる会議が行われている。
重厚なカーテンで閉ざされた窓からわずかに光が差し込む部屋の中央には、大きなテーブルが置かれている。
テーブルの上には、様々な資料が散らばっており、男たちは真剣な表情でそれらに目を通している。
淀屋橋一郎は、テーブルに置かれた資料の一つを指しながら、低い声で尋ねた。
淀屋橋一郎「長文さん、宇宙人の遺体から分析された知見を応用したバイオテクノロジーで人類を改造するとかいう計画はどうなったんですかね?」
オンラインで出席をしている長文と呼ばれた男はディスプレイに映された顔を上げると、冷たい笑みを浮かべた。
ビッグ・ブラザー「ビッグ・ブラザーと呼びたまえ。我が『北蚪七進化連合』は地球のハビタブルゾーンとは明らかに違う生態系で生まれた宇宙生命体の素材を手に入れた。
それを人類の遺伝子と融合し来たるべき暗黒の時代に耐えうる新しい人類を創造する計画は続行されている」
ビッグ・ブラザーの言葉に、他の男たちは息をのんだ。
彼らの目的は、人類を新たな段階へと進化させることだ。
ラビット「南蚪救世会の連中は時間操作できる装置を開発している。
これはエージェントに諜報させているが、これを阻止するか、もしくは阻止が不可能ならばそのテクノロジーの詳細を極秘裏にこちらで奪うしか無い」
その言葉に、部屋の空気が張り詰めた。
時間操作という技術は、彼らの計画を大きく左右する可能性を秘めている。
もし南蚪救世会が時間操作の技術を独占すれば、彼らの計画は頓挫するかもしれないのだ。
ビッグ・ブラザーは、静かに頷いた。
ビッグ・ブラザー「ラビット、引き続き諜報活動を続けろ。
時間操作の技術は、我々にとっても重要な鍵となる。必ずや、その詳細を掴み取るのだ」
彼らの計画は始まったばかりであったが人類の未来を変えるという強い決意が宿っていた。
作画:Windows Image Creator
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27:Seirios・A
25/03/10 04:04:03.59 Fzx4sTs+0.net
【ジャッコネル活動記録1】
ジャッコネルは、人知を超えた異形の存在を狩るハンターだ。その対象は、神話や伝説に登場する怪物、未確認生物(UMA)、あるいは異次元から侵入した存在など、多岐にわたる。人間の呪術師などとも相まみえることもある。
基本的に相手とは手刀と瞬間移動のみで対応している。
ハンターギルド「アルマ・ネグラ(黒い魂)」のメンバーでアルマ・ネグラが富豪や国際機関、特殊組織から依頼を受け仕事が斡旋される形だ。
28:Seirios・A
25/03/10 04:04:36.51 Fzx4sTs+0.net
【ジャッコネル活動記録2】
アルマ・ネグラは下位組織に異形の存在や超常現象に関する情報収集・研究機関「オルトゥス機関」を組織している。
ジャッコネルは幼少期「未知の神聖幾何学」を幻視することが発覚しオルトゥス機関で観察対象になっていたことがある。
ジャッコネルが幻視する神聖幾何学は、宇宙の根源的なエネルギーパターンを象徴している。
そのパターンの応用は長い事不明であったが、手刀で幾何学をなぞることでそのパターンを現実世界に再現し、2580Vrm(ベルムーム)の波動を発生させる。
この波動は、神聖幾何学と共鳴する異形の存在に対して、特に強力な効果を発揮する。ベルムームの波動を発生させる。
この波動は、神聖幾何学と共鳴する異形の存在に対して、特に強力な効果を発揮するのだ。
かくして幼少期のジャッコネルはオルトゥス機関の研究対象からハンター養成機関に移籍し、正規ハンターになり現在に至る。
29:Seirios・A
25/03/10 04:05:36.42 Fzx4sTs+0.net
【ジャッコネル活動記録3】
ジャッコネルが日本に来ている理由はかぐチキ近辺にUMAが存在しているからであり、その調査とできれば捕獲という任務が与えられていた。
ジャッコネルといえば無一文なのだが、最近では調査報酬が少しはいる程度にはベテランになってきていた。
この界隈で調査しているのは太古の昔から権力者に飼われ武芸の試しに数百年使われ続けた屈強な河童である。
その身にあらゆる体術を受けた代わりにその全てを習得している危険度の高い異形であった。
アルマ・ネグラの情報では「ヘコ左衛門」と名付けられていたという。
ジャッコネルはこの土地の地下300mに地下迷宮が存在するのに気付きその調査を行い、アルマ・ネグラに報告していた。
30:Seirios・A
25/03/10 04:06:37.45 Fzx4sTs+0.net
【ジャッコネルの活動記録4】
ジャッコネルも大物UMAの調査ばかりでは厳しいので、プマ星人なる異形の存在の捕獲の依頼を受けたのだが何者かに先を越されプマ星人は地球を去っていた。
ジャッコネル「ハンター依頼も行ってみると先越されてるし晩飯でも食うか」
と、かぐチキの暖簾をくぐった。
ジャッコネル「焼鮭定食出せれる?」
ふみえさん「できますよー!」
ジャッコネル「でね、厚切りでサーモンステーキって感じに仕上げて欲しい」
ふみえさん「サーモンステーキ定食ですね!かしこまりました!」
「フランソワーズさんサーモンステーキ定食1つね!」
フランソワーズ「単なるサーモンステーキではなくて定食でスカ?ジャッコネルさんはスペイン系でしたよね?じゃあパエリア風リゾット
にオニオンスープの定食とかどうでショウ?。というか決定!」
そうしてジャッコネルには特性サーモンステーキ定食が提供された。
ジャッコネル「へえ、変わってるねリゾットなのにパエリアみたい。どうかなと思ったけど食うとまあ悪くない…つか美味いな!」
ジャッコネルを一応満足させたようだ。
地下迷宮の調査と河童の捕獲を進めつつ「メイルダ・マチ」という人外を始末する依頼も受けている。
ただ、今は美味いサーモンステーキを食った余韻に浸りたかった。
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31:Seirios・A
25/03/10 04:51:02.59 Fzx4sTs+0.net
地下迷宮で蠢く不穏な影は少しずつではあるが地上に近づいて来ていた。
32:Seirios・A
25/03/16 01:12:23.74 JQ6+cBNr0.net
「セックスモニカの任務記録1」
2119年10月26日
ネオンが眩しい。酸性雨が降る街は、今日も変わらず腐臭を放っている。私のコードネームは「セックスモニカ」。
「上層」からの任務で動いている。
S.T.S.O(South tadpole Salvation organization- サウスタッドポール・サルベーション・オーガナイゼーション -南蚪救世会)
の連中、今日も上から見下ろしてやがるんだろうな。
タイムカプセル。あれにはタイムドライブの技術が詰まっている。時間操作の技術だ。 S.T.S.Oが独占するなんて許せない。連中の好き勝手にさせるかよ。
2119年10月27日
情報屋から S.T.S.O 研究所の警備データを入手した。 複雑なパズルみたいに込み入っているがこれなら侵入できる。
問題は、どうやってタイムカプセルを持ち出すかだ。警備システムを欺く必要がある。S.T.S.Oの技術、利用させてもらうぞ。
2119年10月28日
研究所への侵入経路を確保した 。通気ダクトから侵入する。 酸性雨の影響でダクト内は錆び付いているが、問題ない。
S.T.S.Oの連中、タイムカプセルの警備にだけ集中して他の場所は手薄だ。利用させてもらおう。
2119年10月29日
決行の日。
研究所に侵入。一度、送電施設を迂回して車輌庫に入り警備システムをハッキングし、タイムカプセル保管庫へ向かう。
S.T.S.Oのサイバー兵士どもは強化人間の私の敵では無かった。
2119年10月30日
タイムカプセルを奪取。しかし、S.T.S.Oの追手が迫る。逃げなければ。研究所から脱出。 S.T.S.Oの追跡を振り切る。雨の中、バイクを走らせる。
2119年10月31日
タイムカプセルを隠匿。 S.T.S.Oの連中、まだまだ諦めていないだろう。
タイムカプセルの中身を確認する。 タイムドライブの技術、 S.T.S.Oの連中が恐れる理由が分かった。
2120年1月1日
あけましておめでとう。
S.T.S.Oとの戦いは、まだ始まったばかりだ。
タイムカプセルの技術は人々のために使う。それが我々の任務だ。
作画:Windows Bing Image Creator
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33:Seirios・A
25/03/16 01:13:21.44 JQ6+cBNr0.net
「セックスモニカの任務記録2」
2127年1月12日
新たな任務。ずいぶん長いことS.T.S.Oの追っ手に対して本部を守るゲリラ戦に参加していた。
今回はN.T.S.E.A(North tadpole Seven Evolution Alliance-ノースタッドポール・セブン・イノベーション・アライアンス -北蚪七進化連合)が開発した新型兵器を入手する。事前情報を軽く説明されるが詳しくは後日とのことだ。
2127年1月20日
上層の使いとバーで待ち合わせ極秘任務を受ける。
ボルティオー・ウァギナーリス・ウテリー・ゆみ子。
N.T.S.E.Aが開発した、私に近いクローン体。元々私たちの元になった人物がいてそこから改造人間が実験的に数体も長い年月をかけて改良されながら作られているらしい。
今回の任務はまだ未完成なこの改造人間の奪取することだという。
彼女もまたN.T.S.E.Aの道具として利用されるのだろうか。
2127年1月25日
ゆみ子…。
彼女を救い出さなければ。
私の分身のような存在…
2127年2月25日
ネオンが騒がしいバーの片隅で、芹沢と酒を酌み交わした。
「芹沢、もし私に何かあったら、ゆみ子を頼む」
冗談めかして言ったが、芹沢は真剣な眼差しで頷いた。
「ああ、分かった。ゆみ子のことは心配するな」
芹沢は、昔からの戦友であり、信頼できる男だ。元は学者であったらしいが長く戦線にいる。
ゆみ子のことを託せるのは、彼しかいない。私とゆみ子は面識が無いが放って置いていいという気がしない。
2127年2月26日
ゆみ子を救出する計画を立てる。
N.T.S.E.Aの研究所に侵入し、彼女を奪還する。下準備に5年は要すると思われる。
作画:Microsoft Image Creator
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34:Seirios・A
25/03/16 01:14:05.28 JQ6+cBNr0.net
「セックスモニカの任務記録3」
2133年7月10日
研究所に侵入。
ゆみ子を発見。
しかし、N.T.S.E.Aのサイバー兵士たちが立ちはだかる。
2133年7月13日
激しい戦闘の末、ゆみ子を救出。
研究所から脱出。
2133年7月15日
しくじった。やつらの力を甘く見ていた。私は致命傷で長くはない。ウテリー・ゆみ子は戦友の芹沢に託す。やつは東洋の暗殺武術に長けていた。ゆみ子はやつに生き延びるすべを教育してもらおう。
私達改造人間は老いない…そして破壊されなければ数百年は生きる。
ゆみ子は芹沢の武術『アルティミット極珍空手』を身に着けてこの世界で生き延びる力を得ることができるはずだ。
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35:Seirios・A
25/03/21 23:46:32.18 gcdSJF120.net
【プロメテウス女王の日録1】
・西暦2025年2月〇日(地球暦)
今日は、なんだか頭がぼーっとする。まるで意識がどこかに行ってしまっているみたい。小料理屋の仕込みで包丁を使っていた時、一瞬、手が止まってしまったの。危ない、危ない。
そういえば、最近変な夢をよく見る。自分がシダ植物の茂る森の中のお城にいる夢。夢の中の私は、豪華なドレスを着てまるで女王様みたい。まさかね。そんなことあるはずないわ。
・天環暦七五六年三相三十刻(惑星プロメテウス暦)
今日は、定期メンテナンスの日だった。頭部の補助脳の調整と、EPR通信の最適化が行われた。少し、頭が重い。
・西暦2025年2月〇日(地球暦)
今日は常連のゲシ谷さんが面白い話をしてくれた。昔、アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼン(EPR)という人たちが、量子の不思議な性質を発見したらしい。二つの量子が、どんなに離れていても、まるで繋がっているみたいに振る舞うんだって。まるで、夢の中の私と、ここにいる私みたい。まさかね。そんなことあるはずないわ。でも、もし、本当にいたらどんな気持ちがするのかしら。
・天環暦七五六年三相三十三刻(惑星プロメテウス暦)
今日は、地球側の身体の定期的な健康診断が行われた。問題はなかった。地球側の身体は、私の意識が集中していない時は休眠状態になっている。
・天環暦七五六年四相十刻(惑星プロメテウス暦)
今日は、なんだかとても落ち着かない。まるで、嵐の前の静けさみたいだ。何か良くないことが起こるのか。そういえば、最近G.O.W(Great Over Warrior)たちが、少しピリピリしている気がする。何かあったのか。今日は、地球側の身体に少しだけ意識を集中させてみた。地球側の私は、どんな日常を送っているのだろう。
・2025年2月〇日(地球暦)
今日は、とても静かな一日だった。お客さんも少なくて、ゆっくりできたわ。たまには、こういう日もいいわね。
それにしても、最近よく夢を見るの。自分がシダ植物の茂る森の中のお城にいる夢。夢の中の私はG.O.W.という屈強な機械の戦士たちに囲まれている。
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36:Seirios・A
25/03/22 00:01:30.78 LeVzKvaX0.net
【プロメテウス女王の日録2】
・天環暦七五六年四相十五刻(惑星プロメテウス暦)
今日は、地球側の身体の記憶を少しだけ覗いてみた。地球側の私は、私がプロメテウスの女王であることを全く知らない。
・天環暦七五六年四相二十一刻(惑星プロメテウス暦)
今日は、G.O.Wたちが私を連れて秘密の部屋に案内してくれた。そこには、見たこともないような機械がたくさんあって、私はその一つに繋がれた。
そして、私は全てを思い出した。私がプロメテウスの女王であり、地球の小料理屋の女将でもあることを。
二つの身体、二つの記憶、そして、二つの世界を繋ぐ、EPR通信。
私は、どうすればいいのだろう。
この仕組みの秘密については先王の遺言で、『ある時期までは私には伝えてはならない』らしい。時期がくれば明かすと説明される。
・天環暦七五六年四相二十五刻(惑星プロメテウス暦)
今日、私は秘密の部屋で自身の記憶領域へアクセスした。地球側の私とプロメテウス側の私。二つの記憶は、巨大な機械装置に組み込まれた補助脳とEPR通信によって、完全に同期されている。私たち2人の身体に脳はないらしい。脳髄は機械装置の中に組み込まれ2人の意識を切り替えながら処理しているらしかった。
・天環暦七五六年四相二十八刻(惑星プロメテウス暦)
私は、決めた。私は二つの世界を守る。プロメテウスの女王として、地球の女将として。私は、私にできることをする。それが私の使命だから。これからも、私は、二つの世界で、私らしく生きていくことにした。
・天環暦七五六年五相十刻(惑星プロメテウス暦)
今日は、重要な会議があった。地球からの報告によると、彼らの文明は、まだ発展途上であり、我々の技術力には遠く及ばない。しかし、その潜在能力は計り知れない。
彼らの星系で、不安定なエネルギー反応が観測された。放置すれば、彼ら自身だけでなく、周辺の星系にも悪影響を及ぼす可能性がある。
距離は三千二百一光年。容易な距離ではない。しかし、プロメテウスの女王として、私は決断しなければならない。
G.O.W兵団を派遣する。
トランセンド・アクセラレーターという動力装置を使って高次元空間へのポータルを一時的に生成し、亜光速宇宙船を「跳躍」させることで、空間の制約を無視した超光速移動を可能にする。
その亜高速宇宙船にワープ技術を使えばプロメテウス側の時間で5年で到着は可能だと言う話だった。
そして彼らの安全を確保し、不安定なエネルギー反応を抑制する。それが、我々の使命だ。
兵団の派遣には、多くの資源と時間がかかる。しかし、未来への投資と思えば、惜しむべきではない。
私は、彼らの未来を信じている。彼らが、我々と共に、星海を平和に導く存在になることを。
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37:Seirios・A
25/03/22 08:28:39.37 LeVzKvaX0.net
【人外メイルダ】
1.異形の果実
1915年(大正4年)12月9日。
北海道瓶阡郡苫寒別五線沢。
山深く、足を踏み外せば奈落の底へと落ちてしまう断崖絶壁に、メイルダ・マチは立っていた。村人から忌み嫌われる存在であったメイルダは、動物への異常な執着から疎まれていた。
「鶏姦と食糞」
それがメイルダ・マチの性癖であった。常軌を逸したその性癖に、村人は彼を避け、蔑んだ。彼の行為は社会的な規範から大きく逸脱し、周囲から激しい拒絶反応を引き起こした。その断絶は、彼を社会的に孤立させ、存在意義を喪失させるほどの絶望感を与えた。
ある日、メイルダは村を抜け出し、この断崖絶壁へと辿り着いた。彼の心は、村人たちへの憎悪と孤独感で満たされていた。そして、自らの命を絶つことを決意した。
漬物石を抱いて山奥の崖から身を投げたメイルダ・マチは、誰にも発見されることなく土に還った。数年後、その場所は一面の花畑となり、中央には異様な木が生えていた。幹は黒くねじれ、葉は赤黒い。そして、その木には半径1メートルほどの巨大な赤黒い果実が一つだけ実っていた。
「チギュアアアッ!ァッション、アギュッ、アアアギュア゛ア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛ア!!!!ギュァッション」
数年後、花畑となったその場所を訪れたのは、村の猟師、吾朗だった。彼は花畑の中央に生えた異様な木に気づき、近づいた。その時、巨大な赤黒い果実から奇妙な音が聞こえてきた。それは、まるで野鳥の奇怪な鳴き声のようだった。
吾朗はその音に聞き覚えがあった。それは、メイルダが夜な夜な鶏の肛門を犯す時に上げる絶叫と雄叫びであった。彼はメイルダがこの場所で死んだことを悟り、村へと急いで戻った。
38:
25/03/22 08:29:31.85 LeVzKvaX0.net
2.健太少年
ある夜、好奇心旺盛な若者、健太が吾朗から村に広まった話の果実を調べに花畑へ向かった。果実はそこにあった。果実に近づくと、奇妙な音が聞こえてきた。それは動物たちの悲鳴と嘲笑が混ざり合ったような、おぞましい音だった。
健太が恐る恐る果実に触れた瞬間、彼の脳裏にメイルダの記憶が流れ込んできた。それは動物たちへの歪んだ愛情と、村人たちへの憎悪に満ちた記憶だった。
次の瞬間、健太の体は激しい痛みに襲われた。彼の体内で何かが蠢き始めたのだ。それはメイルダの憎悪が具現化した、おぞましい寄生虫だった。
果実から手の皮膚を破り、大量の寄生虫が健太の体内に侵入してきたのだ。
「チギュアアアッ!ァッション、アギュッ、アアアギュア゛ア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛アア゛ア!!!!ギュァッション」
健太少年は絶叫した。
健太の体は急速に異形へと変貌していった。彼の目は血走り、皮膚は獣の毛で覆われ、手足には鋭い爪が生えた。彼はメイルダの復讐の道具と化したのだ。
1915年(大正4年)12月11日
異形の怪物は開拓民の集落を二度にわたって襲撃し、死者7人・負傷者3人を出した。
13日には、陸軍歩兵第28連隊の将兵30名が出動した。
3.討伐と記録
吾朗は討伐隊より先に山を登り、黒い樹木のある花畑に向かった。怪物は討伐隊の方向に意識を向けており、花畑に向かった吾朗には気づいていなかった。黒い異形の木の赤黒い実は激しく蠢いていた。近づいたウサギを触手で捕らえ絞殺し、タコの口のようなカラストンビ状の器官から取り込んだ。
それを見た吾朗は距離を取り、20mの至近距離まで接近し、ハルニレの樹に身を隠し、銃を構え発砲し、実の中心付近に命中させた。しかし、赤黒い実は怯むことなく蠢き、触手を吾朗の方に放ってきた。油断なく第二弾を装填した吾朗は、赤黒い果実の中心をもう一度貫通させた。果実は赤黒い汁を噴出し、樹木から落下し衝撃で潰れた。それとほぼ同時刻の午前十時、一連の事件を引き起こした怪物は突如倒れ絶命し、事件は終息した。
当時の警察の記録によると健太少年は行方不明のままで捜索は打ち切られている。
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